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介護経営情報(2018年6月22日号)

◆介護人材確保のため定量的な目標値 設定しているのはわずか2県 介護保険事業計画達成状況の点検・評価も不十分 総務省勧告

――総務省行政評価局
 総務省行政評価局は、6月19日に厚生労働省に対して介護施策に関する勧告を行った。介護保険事業計画達成状況の点検・評価が不十分であるとしており、とりわけ介護人材確保のための取り組みが有名無実化している実態を明らかにしている。

 都道府県および市区町村は、3年を1期とする介護保険事業計画を策定している。今年度から2020年度までが第7期計画期間だが、総務省は前期となる第6期計画(2015年度~2017年度)の状況を20都道府県・40市町村等で調査。2015年度の達成状況の点検・評価を実施していない自治体が17もあることが判明したという。これは全体の28.3%に該当している。そのうち、介護保険サービスの利用実績と利用見込み量との間に50%以上の乖離がある自治体は58.8%もあり、介護保険事業計画が的確に進められていない実態が浮き彫りとなっている。

 介護保険事業計画の取り組みが遅滞している影響は、介護人材確保策の推進にも影響している。どのような計画でも、着実に推進するためには目標値の設定が欠かせないが、2015年度に介護人材の定量的な目標値を設定した都道府県はわずか2県だった。残りの都道府県は、2017年度もしくは2025年度の目標値のみを設定していることが判明している。厚生労働省が2025年度に介護人材が37.7万人不足する見込みを公表したため、そこに向けた目標値を設定したものと思われるが、毎年の目標値を設定せず「大目標」のみを設定しても実現が難しいのは明白。裏を返せば、自治体レベルでの具体的な対応策をとっていないことの表れともいえよう。

 驚くべきことに、都道府県が管内の介護職員数を把握できていない事実も明らかとなっている。独自の実態調査を実施して把握に成功しているのはわずか3県。また、都道府県が把握している介護職員数と厚労省が把握しているそれとが乖離していることもわかっており、約150人からなんと約1万5,000人もの差がある都道府県もあった。

 こうした実態を踏まえ、総務省は厚労省に対し、「効果的な目標設定や点検・評価方法」について都道府県に情報提供や助言を行うとともに、目標達成状況を毎年度点検して未達成の場合は原因の分析を徹底するよう勧告。その他、介護休業制度の周知促進や家族介護社の求職・就職実態の把握・分析や就職支援のあり方を検討することも求めている。

◆「処遇改善加算を取得しない理由」を重点調査
今年度の介護従事者処遇状況等調査 「加算I」の調査項目は縮小

――厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会
 厚生労働省は、6月21日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会で、今年度の「介護従事者処遇状況等調査」の実施案を提示。「介護職員処遇改善加算を取得しない理由」および「介護職員処遇改善加算IIの取得が困難な理由」について、具体的な事情を把握するための調査項目を設けるとした。一方で、「加算I」の調査項目は縮小する方針を明らかにしている。

 「介護従事者処遇状況等調査」は、文字通り介護従事者の処遇状況を調べるとともに、介護職員処遇改善加算の影響を評価するのが目的。調査結果は介護報酬改定の基礎資料として活用される。調査の対象は「介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、訪問介護事業所、通所介護事業所(地域密着型通所介護事業所を含む)、認知症対応型共同生活介護事業所及び居宅介護支援事業所並びに当該施設・事業所に在籍する介護従事者等」で、これは例年と変わらない。

 昨年度は、臨時の介護報酬改定を実施して月額37,000円相当となる「加算I」を新設。そのため、この調査でも「加算I」に関する項目が重点的に盛り込まれ、処遇改善加算の届出や「加算II」の届出を行わない具体的な事情を調査する項目は削除されていた。これは、調査項目数を増やすことで事務作業が煩雑化することを避けるための措置であり、今回「加算I」の調査項目が縮小されたのも同様の理由だ。今年4月に公表された昨年度調査の結果で、「加算I」を取得した事業所が64.9%に達し、要件がある程度周知されていることが確認できたことも、「加算I」の調査項目を絞った背景にあるだろう。

 また、処遇改善加算の届出や「加算II」の届出を行わない理由を重点的に調査するのは、処遇改善状況の底上げを図る狙いもあるものと思われる。これまでの調査で、処遇改善加算を取得している事業所が大半を占めていることがわかっていることもあり、「より上位の加算を」「少なくとも加算取得を」目指すことを促そうというわけだ。

 なお、今年度から介護医療院が創設されているが、前年度との比較ができないことや届出事業所数が少ないため、今回の調査では対象外となっている。

◆日本介護福祉士会、一部メディアの報道に対し声明 「介護を『単純労働』と表現することは妥当ではない」

――公益社団法人 日本介護福祉士会
 公益社団法人日本介護福祉士会は、6月15日に「この度、骨太方針2018(経済財政運営と改革の基本方針2018)の中で、新たな在留資格が創設される方針が示されたことについて」と題した声明を公式ウェブサイトで表明。一部メディアが介護を「単純労働」と表現したことに苦言を呈した。

 まず同会は、新たに創設される在留資格が介護職種を対象と明記していないことを指摘。そのうえで、骨太方針では「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材」と説明されているため、在留資格の対象が単純労働でないことは明らかだとした。また、厚生労働省が2015年2月に「外国人介護人材受入れの在り方検討委員会中間まとめ」で、「介護は単なる作業ではなく、利用者の自立支援を実現するための思考過程に基づく行為である」と定義されていることを挙げ、「『介護』を『単純労働』と表現することは妥当とはいえません」と批判した。

 同会は、一部メディアの名前を具体的には挙げていない。ただ、6月5日には日本経済新聞が「原則認めていなかった単純労働に門戸を開き」と記事に明記しているほか、同日の日本テレビの報道では「介護、農業、宿泊、建設、造船の5つの分野を対象に、いわゆる単純労働の分野でも幅広く受け入れる」としており、これらを指しているものと思われる。

また、骨太方針が閣議決定される前の6月1日には、日経ビジネスオンラインで経済ジャーナリストの磯山友幸氏が「外国人の『単純労働者』を受け入れへ」と題した記事を寄稿。介護を含めた5分野は「単純労働」であるというのが、マスメディアにとっての認識となっていることは否めず、今回同会が声明を発表したのは、そうした風潮に一石を投じる意味もあったのではないか。

その意図が感じられるのが、声明の後半でメディア・報道関係者に呼びかけた「私たちが、誇りを持ち、日々の介護サービスを通し、専門性をもって、介護福祉を必要とする国民の生活支援に携わっていることについて、十分にご理解いただきたい」との一文。介護職員の平均給与が全産業平均を下回っている現状を鑑みれば、介護業務に専門性が求められることをこうしてアピールする意義は大きいといえるだろう。

◆75歳以上人口の3分の1が「食料品アクセス困難」 10年間で4割以上増加 特に三大都市圏で大幅増

――農林水産省
 農林水産省は、6月8日に「食料品アクセス困難人口」の推計結果を公表。75歳以上人口の3分の1が該当するとした。この10年間で42.1%増加しているという。とりわけ大都市圏での増加が顕著で、三大都市圏では68.9%増、東京圏では89.2%増をマークしている。

 農水省の定義では、「食料品アクセス困難人口」とは店舗(※)まで直線距離で500m以上、かつ65歳以上で自転車を利用できない人を指す。この定義は過去の研究事例から導き出されたもので、500mと設定したのは「徒歩で無理なく買い物に行ける距離」だからであり、買い物での不便・苦労を感じる人の多くが自転車を利用できない65歳以上の高齢者だからだという。

 今回発表された結果は、2015年時点の推計。65歳以上人口の24.6%にあたる約825万人が該当している。そのうち三大都市圏(東京圏、名古屋圏、大阪圏)は約378万人と半数近くを占めており、2005年からの10年間で100万人以上が増加している。75歳以上の「食料品アクセス困難人口」は約536万人で、2005年には約378万人だったためやはり150万人以上増えており、特に都市部で食料品へのアクセスが悪化傾向にあることがわかる。

その背景には、スーパーやコンビニエンスストア、百貨店などの撤退が相次ぐ小売業界の動向がある。この傾向が進めば、街全体の防犯機能が低下するだけでなく、栄養を摂取できないことによる健康被害も起こりかねない。「2025年問題」を直前に控え、即効性の高い対策が求められよう。介護業界にとっては、混合介護をいかに取り入れ、対応していくかでこの状況をメリットに変える可能性も生まれてくるのではないだろうか。

※店舗の対象は「生鮮食料品小売業」「百貨店」「総合スーパー」「食料品スーパー」「コンビニエンスストア」。

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