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医療経営情報(2018年6月21日号)

◆「手術」が大幅に増加 2017年「社会医療診療行為別統計」         重症患者の受け入れが進む 「麻酔」「リハビリ」も大きく

―厚生労働省社会統計室
厚生労働省社会統計室は、6月21日に「平成29年(2017)社会医療診療行為別統計の結果」を発表。「手術」が大幅に増加したほか、「麻酔」や「リハビリ」も大きく伸びていることがわかった。2016年度の診療報酬改定を受け、各医療機関で重症患者を積極的に受け入れている現状が浮き彫りとなっている。

「社会医療診療行為別統計」とは、診療行為の内容や傷病の状況、調剤行為の内容、薬剤の使用状況などを明らかにしたもの。医療保険行政に必要な基礎資料として毎年作成されている。集計の対象となっているのは、社会保険診療報酬支払基金支部および国民健康保険団体連合会に2017年6月審査分として審査決定されたレセプトのうち、レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)に蓄積された全数で、医科85,576,460件、歯科17,698,594件、保険薬局53,666,174件にのぼる。

統計によれば、医科入院、医科入院外、歯科、薬局調剤ともに2016年に比べて増えている。その中でもっとも増えているのは、やはり医科入院。1件あたり点数は51,989.7点で、2016年に比べて2.0%増。1日あたり点数は3,398.6点で同3.7%増となっている。ちなみに医科入院外の1件あたり点数は1,341.6点で同1.7%増、1日あたり点数は853.7点で同1.1%増。歯科の1日あたり点数は1,244.8点で同0.6%増、1日あたり点数は684.8点で同0.7%増。薬局調剤の1件あたり点数は1,109.4点で同2.1%増、受付1回あたり点数は887.9点で同1.3%増。

医科入院を診療行為別に見ると、もっとも高いのは「入院料等」。1件あたり点数は18,925.3点、1日あたり点数は1,237.2点。しかし、2016年からの増減率は1.2%増であり、全体の点数を押し上げているとまではいえない。増減率がもっとも高いのは「手術」で7.5%増。次いで7.3%増の「麻酔」、4.3%増の「リハビリテーション」、4.2%増の「医学管理等」、3.8%増の「病理診断」と続く。2016年の「社会医療診療行為別統計」でもっとも増減率が高かったのは17.1%増の「初・再診」、次いで8.4%増の「医学管理等」だったため、ガラリと傾向が変わったことがわかる。
 
「手術」「麻酔」が増えたのは、2016年度診療報酬改定で「重症度、医療・看護必要度」の見直しが行われたことが背景にあると考えて間違いない。手術を評価し、検査のみでは評価の対象とならないC項目が導入されたことで、積極的に重症患者を受け入れるようになったのだろう。手術の機会が増えることで「麻酔」も増えるのは必然であり、事実上この2項目が医科入院の点数を大きく押し上げたと考えられる。

2018年度の診療報酬改定では、C項目の開腹手術の対象日数が5日から4日に短縮された。また、重症患者割合も30%以上に引き上げられるなど、引き締め策が実施されている。その効果がどのように表れるかが、次回の調査結果の注目ポイントになってくるだろう。

◆DPC対象病院、昨年度から66増えて1,730病院に
300床以上は減少傾向 機能評価係数IIの内訳も公表

―厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会
厚生労働省は、6月20日に開かれた中央社会保険医療協議会総会で、今年4月1日時点のDPC対象病院数を公表。昨年度から66病院増えて1,730病院となった。増えたのは主に200床未満の病院で、逆に300床以上の病院は減少傾向にあることも明らかになっている。DPC準備病院の数は262で、前年度に比べて14減少した。

一方、病床数で見ると、DPC算定病床総数は約49万床と前年度から約5,000床減少。DPC準備病院は約2.4万床でこちらも前年度に比べて約4,000床減少している。内訳を見ていくと、今年3月時点で7対1入院基本料を届出ている病床数は約40万床、10対1入院基本料の届出病床数は約4.6万床、特定集中治療室管理料の届出病床数は約6,000床。1病院あたりの平均は282床で、最小は8床、最大は1,314床となっている。

診断群分類を見ると、今年度の診療報酬改定を踏まえて傷病名数は505となり、支払いに用いられる診断群分類数は3,108(前回に比べ37増加)となった。そのうち、包括対象となる分類数は2,462で、前回に比べて52増えている。

今年度は、診療報酬改定とともにDPC制度改革も行われており、機能評価係数IIの項目も見直された。これは、2012年度改定から実施されてきた調整係数の置き換えが完了したことに伴うもので、現行の8つの係数のうち、後から追加された後発医薬品係数や重症度係数は廃止され、機能評価係数Iとして評価されることとなっている。機能評価係数IIについては、総会で内訳が公表されたため、医療機関同士の比較も可能となった。取りも直さず、医療機関自身の客観的な評価や今後の戦略も立てやすくなったといえる。

また、この日の総会では今年度診療報酬改定について、その内容を整理する時間も設けられた。次期改定に向け、社会情勢や医療現場の状況を共有することが狙いで、中医協として初めての試みとなる。改定で見直された部分の再検証や、今後の課題をスムーズにあぶり出すうえで有効な取り組みであり、中医協のみならず医療現場でも議論の内容が把握しやすくなることが期待できよう。

◆WHOが28年ぶりに国際疾病分類を改訂             免疫系疾患など新章を追加 「ゲーム障害」を疾病として認定 

 世界保健機関(WHO)は、6月18日に国際疾病分類の第11版(ICD-11)を公表した。現行のICD-10は1990年版であるため、28年ぶりの改訂となる。「免疫系の疾患」などの新章が追加されたほか、「ゲーム障害」が初めて疾病として認定された。

 国際疾病分類(International Classification of Diseases、ICD)とは、「疾病及び関連保健問題の国際統計分類」のこと。1900年に第1回国際死因分類として制定されてから90年間で10回の改訂を重ねてきた。当初は死因のみだったが、第7版から疾病の分類が加えられ、医療記録の管理に活用されている。現行のICD-10はアルファベットと数字で符号化されているのが特徴で、国によって名称が異なる疾患でも統計的な処理が可能だ。日本でも、人口動態統計など厚生労働省の統計調査に用いられている。

 28年ぶりの改訂となる第11版で追加された章は、「免疫系の疾患」のほか「睡眠・覚醒障害」「性保健健康関連の病態」。「ゲーム障害」が追加されたのは「精神及び行動の障害」で、ギャンブルや薬物と同様に依存症として位置づけられた。その条件として記されているのは「ゲームの頻度や時間をコントロールできない」「日常生活でゲームを他の活動より優先する」「生活に支障が出ているのにゲームを続ける」の3点。これらが1年以上続いた場合、ゲーム障害に当てはまるというのがWHOの基準として示された形だ。

 やや拙速とも思える今回のWHOの判断の背景にあるのは、先進国でゲーム依存が深刻化している現状だ。韓国では86時間続けてオンラインゲームを続けて死亡した例をはじめ、ゲームをきっかけとする死亡事例が相次いだため、2011年から16歳未満はオンラインゲームで遊ぶ時間が制限されている。日本でも、文部科学省が2014年度の全国学力テストで、ゲームに費やす時間が多い小中学生の平均正答率が低い傾向があると結果分析している。菅義偉官房長官は、今回の公表を受けて「まずは実態などを調査研究し、その結果を踏まえて対応したい」とコメント。来年5月のWHO総会で採択されれば2022年には正式な国際疾病分類として発効される見通しとなっており、医療現場でも早めに対応策を練っておく必要があるだろう。

◆難病患者、約15万人が助成対象から外れる 1月の制度変更で不認定となったのは約8.4万人

――厚生労働省 厚生科学審議会疾病対策部会 難病対策委員会
 厚生労働省は、6月20日の厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会で、経過措置の適用を受けていた難病患者約72万7,000人のうち、今年1月の制度変更に伴って約15万人が助成対象から外れたことを明らかにした。不認定となったのが、全体の11.6%にあたる8万4,000人、「申請なし」は全体の8.8%にあたる約6万4,000人だった。

 2015年1月に施行された難病法により、医療費の助成対象となる疾患数は従来の56疾患から331疾患に増えた。しかし、従来は症状の軽重にかかわらず助成を受けることができたが、現在は軽症者が原則として対象外となった。

従来の制度のもと助成を受けていた患者は、3年間の経過措置を受けて昨年12月末まで助成を受けていた。経過措置が外れた今年1月以降、都道府県が指定する医師が病状を判定した結果、引き続き難病認定を受けたのは全体の79.4%にあたる約57万7,000人。そのうち、「重症度分類を満たす」として認定を受けたのは約44万5,000人で、残りの約13万2,000人は「軽症高額該当」として認定を受けている。

医師の判定を受けて不認定となるのはともかく、「申請なし」が約6万4,000人にのぼったのは、診断を受けて申請自体を諦めたケースが多いものと思われる。目論見通りに国は助成額を減らすことができるが、軽症者の難病データが取れなくなるため、難病研究の妨げとなる可能性が出てきた。また、助成対象外となった難病患者は、医療費の自己負担額が増すこととなるため、それをいかに担っていくかも課題となってくるだろう。

なお、この日の難病対策委員会では「指定難病患者データ及び小児慢性特定疾病児童等データの提供に関する有識者会議」を立ち上げる方針も明らかにされた。臨床データをいかに利活用するか、データ提供可否にかかわる審査基準を検討するのが目的で、7月中に立ち上げの準備を実施。8月から10月までの3カ月間で3~4回程度の会合を開いて検討を進め、年末までに模擬審査を実施したい意向だ。

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