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医療経営情報(2018年5月31日号)

◆「オンライン資格確認」、2020年度中の運用開始を目指す        事務コストは年間約80億円削減できると試算

―厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会
厚生労働省は、5月25日の社会保障審議会医療保険部会で、2020年度中に「オンライン資格確認」を運用開始する方針を明らかにした。また、運用することによって削減できる事務コストは年間約80億円と試算している。

「オンライン資格確認」とは、マイナンバーカードを活用して受診時の保険資格確認を行う仕組み。勘違いしがちだが、マイナンバーを活用するのではなく、医療機関側もカードを預かることはしない。当然、診療情報とマイナンバーが紐付けられることもない。現在想定されている運用の流れとしては、医療機関側は本人確認のためカード表面の顔写真を見て、患者は専用の読み取り機にマイナンバーカードを通す。すると、カードのICチップ内の電子証明書が読み取られ、オンラインで保険資格確認ができるというわけだ。

マイナンバーのインフラを活用する理由としては、従来は世帯単位で管理していた保険資格情報を個人単位化できることも挙げられる。転職や退職などによって加入する保険者が変更となっても、個人単位で一元管理できるため、管理の手間や事務コストを大幅に削減することが可能だ。従来、資格情報を追跡するなどの事務コストは、保険者で年間約30億円、医療機関で年間約50億円かかると試算されているが、それが一気に不要となるため、約80億円のコスト削減につながる。

さらに、資格履歴を管理できるようになれば、現在は事務コストがかかるためほとんど行われていない保険者間の特定健診データ照会もやりやすくなる。薬剤情報を確認することも容易になるため、多剤・重複投薬の軽減も期待できる。必然的に医療費の削減につながるため、昨年12月に閣議決定された「新しい経済政策パッケージ」でも、2020年からの本格運用を目指すとされていた。

今後は、今年度中にシステム開発の調達作業に着手し、来年度から2020年度にかけてシステム設計・開発を実施。その後、3カ月程度で運用テストを行い、2020年12月には本格運用を開始する予定だ。

◆協会けんぽなど被用者保険関係5団体が「骨太方針2018」に要望
「後期高齢者の医療費自己負担割合は原則2割に引き上げるべき」

5月25日、被用者保険関係5団体は加藤勝信厚生労働相あてに要望書を提出。「後期高齢者の医療費自己負担割合は原則2割に」などの内容を、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太方針2018)に盛り込むよう求めた。

要望書を提出したのは、健康保険組合連合会(けんぽれん)、全国健康保険協会(協会けんぽ)、日本経済団体連合会(経団連)、日本商工会議所(日商)、日本労働組合総連合会(連合)の5団体。団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者になる2025年を見据え、支え手である現役世代の人口が急減していく中で、持続可能な医療保険制度の構築のためには「制度改正など一歩踏み込んだ改革に取り組むことが急務」とし、5団体が共通の問題意識を持っているとした。

要望は大きく分けて5項目。後期高齢者の医療費自己負担割合引き上げ以外には「拠出金負担の軽減」「社会保障の持続性確保」「医療費の適正化」「保険者機能の強化」を挙げた。

「拠出金負担の軽減」については、過重な拠出金の負担に耐えられずに解散を検討する健保組合が後を絶たないとして、「現役世代の負担に過度に依存する制度では、持続可能性を確保できない」と訴えた。公費負担の拡充なども視野に入れたうえで、現役世代の負担を軽減することが「保険者の健全な運営に資する」としている。

「社会保障の持続性確保」の方策としては、来年10月に予定されている消費税率引き上げを確実に実施するべきとした。そのうえで、「被用者保険の保険料への負担転嫁は行うべきではない」とし、社会保障給付の効率化による伸びの抑制が必要だとしている。

「医療費の適正化」を実現するために必要なのは、医療機能の分化・連携によって医療の効率化や地位間格差の是正、終末期医療のあり方を見直すなど医療のあり方そのものの見直しだとした。そのうえで、薬価制度の抜本改革や後発医薬品の使用促進、診療報酬の包括化やICT活用などの推進が必要だとした。

 「保険者機能の強化」では、健康寿命をより延伸させて「健康な高齢者には社会保障を支える側に加わっていただくことが、制度の持続可能性を高めることにつながる」とし、医療保険者に加入者への健康増進を促すよう求めている。

◆新規開院の場合、データ提出がなくても療養病棟入院基本料の算定は可能 データ提出開始届出書の届出は必要 2018年度診療報酬改定の疑義解釈

――厚生労働省保険局医療課
 厚生労働省保険局医療課は、5月25日に「疑義解釈資料の送付について(その4)」と題した事務連絡を発出。新規に医療機関を開設する場合は、DPCデータの提出をしていなくても1年間に限り療養病棟入院基本料の算定が可能であるとした。ただし、データ提出開始届出書の届出は必須となる。

 これは、今年度の診療報酬改定で、DPCデータ提出を義務付けた入院料の範囲が拡大されたことで発生する疑義に対する解釈。従来の7対1入院基本料、10対1入院基本料、地域包括ケア病棟入院料に加え、回復期リハビリテーション病棟入院料、療養病棟入院基本料を算定する場合もDPCデータ提出が必要となった。

 しかし、新規に医療機関が開設された場合は診療実績がないため、DPCデータ提出は不可能。そこで、その他の施設基準を満たしていれば最大1年間は入院料の算定が可能だという解釈を明確化した格好だ。ただし、1年以内に「データ提出加算に係る届出書」の届出がなければ、他の入院料に変更しなければならない。その他、旧10対1の届出を行っていた医療機関が急性期一般入院基本料(旧7対1)に変更する場合も、来年3月31日までは経過措置が適用される。

 また、今回の疑義解釈では、急性期病棟の「重症度、医療・看護必要度II」についての解釈も明確化された。3月末に厚労省が発出した疑義解釈では、「看護必要度IIでA項目の評価を行う場合」の対象は「手術や麻酔中に用いた薬剤」となっていたが、検査や処置といった他の目的で用いた薬剤がどうなるか言及されていなかったが、「EF統合ファイルにおけるデータ区分コードが20番台(投薬)、30番台(注射)、50番(手術)及び54番(麻酔)の薬剤に限り、評価の対象とする」と明記されている。

ちなみに「看護必要度II」は、今回の改定で新たに盛り込まれたDPCのEF統合ファイルに基づく計算方法(「看護必要度I」従来の看護必要度評価表に基づく重症患者割合の計算方法)。I、IIのいずれを用いた場合も、重症患者割合は3カ月の平均となる。これまで用いられてきた「1割以内・3カ月以内変動」という救済ルールは廃止されたので注意したい。

◆乳がん検診で「高濃度乳房」と一律に伝えるのは時期尚早 全9問のQ&A集を通知し、適切な対応を要請

――厚生労働省健康局
 厚生労働省健康局は、乳がん検診での「高濃度乳房」への対応に関する通知を発出。検診受診者に対し、「乳房の構成」に関して一律に知らせるのは「時期尚早」であるとした。通知には全9問からなるQ&A集を添え、検診実施者に適切な対応をするよう要請している。

 現時点で、乳がん検診ではマンモグラフィを実施している。マンモグラフィでは乳腺が白く、脂肪は黒く写るが、乳がんなどの病変も白く写るため、乳腺が多く脂肪が少ない「高濃度乳房」の場合はがんを見つけにくい。40歳以上の日本人女性の約4割はこの「高濃度乳房」だとされており、精密検査を受けなければがんなのかどうか判別がつきづらいといわれている。

 ならば、積極的に「高濃度乳房」であることを検診受診者に知らせるべきだと考えるところだ。しかし、厚労省は「効果があるとして薦めることのできる有効な検査方法」はないとして、一律に知らせることに“待った”をかけた。「高濃度乳房に関する内容を説明できる市町村の体制も十分に整っていない」ことも、その理由として挙げている。

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