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医療経営情報(2018年4月12日号)

◆財政審、地域別診療報酬の実施を提言
薬剤自己負担引き上げや少額受診の定額負担も

―財務省 財政制度等審議会財政制度分科会
財務省は、4月11日に開かれた財政制度等審議会(財政審)財政制度分科会で、地域別診療報酬の実施を提言した。医療費の削減を目指してのもので、大病院以外の受診時定額負担の導入や薬剤自己負担の引き上げもするべきだとしている。

この日の会合のテーマは社会保障。財務省は、75歳以上になると医療・介護にかかわる1人当たり国庫負担額が急増するため、仮に今後年齢階級別の1人当たり医療・介護費がまったく増えないと仮定しても、2025年にかけて医療・介護に関わる国庫負担は急増していくと説明。再生医療など高額な医療技術が登場していることや、抗がん剤など医薬品が高額化していることに触れ、このままでは国民皆保険の持続が難しいと匂わせた。「医師の半数が国民皆保険維持に懐疑的」という日本経済新聞のアンケート調査も引用し、危機感を煽っている。

具体的な削減対象として、まず槍玉にあげたのは薬価だ。保険収載方法の見直しや費用対効果評価制度の活用で薬価を抑制しつつ、薬剤自己負担を引き上げるべきと主張。日本は原則3割負担だが、一定額まで全額自己負担している諸外国の例を引き、その妥当性を訴えた。また、現在400床以上の病院は受診時に定額を負担する必要があるが、その対象を広げて「少額の受診に一定程度の追加負担」を求めるべきだとした。かかりつけ医やかかりつけ薬局に患者を誘導するため、定額負担に差を設定する必要にも触れている。

さらに、地域医療構想を推進するべきとしたうえで、地域別に診療報酬を設定するべきだと提言。法的には地域ごとに診療報酬を定めることは可能だが、これまで実施例はなく、どのような内容ならば定められるかという点についても国から都道府県に対して示されていない。しかし、今年度から国保改革が行われ、都道府県が保険料設定と住民への説明責任を負うことから、ガバナンス強化の観点も踏まえて活用可能なメニューを具体的に示すべきだとした。たとえば、医療費の伸びが高く住民の保険料負担が過重となる場合に診療報酬単価の調整ができるといったメリットを示し、早急な検討を厚生労働省に迫った格好だ。

また、今年度の診療報酬改定で再編がなされた急性期病棟の入院基本料にも言及。今まで何度も見直しを行ったにもかかわらず、効果が表れなかったとして、再編の効果が発揮されるかは不透明だとした。そのため、効果検証を行ったうえでさらなる再編も視野に入れ、必要に応じて次期診療報酬改定で要件を厳格化するべきとしている。

財務省が社会保障関連でドラスティックな改革を打ち出すのは恒例行事のようなもので、診療報酬改定や介護報酬改定のタイミングで厚生労働省と調整していくのがいつもの流れ。むしろ、財務省の提言どおりの施策が打ち出される可能性のほうが低いが、ダブル改定直後のタイミングで強烈な牽制球を投げてきたのは、社会保障費の抑制に対する本気度を表しているともいえる。いずれにせよ、この提言が診療報酬・介護報酬改定の議論に影響するのは間違いなく、どのように厚労省が受け止めていくか推移を見守っていく必要がある。

◆心不全患者にも緩和ケアを推進 厚労省WG
地域包括支援センターなど地域の対応体制確立を

―厚生労働省
循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ
4月6日、厚生労働省で「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ」が開かれ、心不全患者にも緩和ケアを推進するべきとする報告書案が了承された。地域包括支援センターや在宅医療の専門職を活用し、身近な場所で相談できる体制を確立する必要性にも言及している。

緩和ケアはがん患者に対して行われるとの認識が一般的だ。しかし、世界保健機構(WHO)は緩和ケアの対象を「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族」としており、決してがんに限定されているわけではない。WHOは、緩和ケアを必要とする疾患の第1位を循環器疾患としており(がんは第2位)、日本の死因第2位が心疾患であることも踏まえれば(心疾患の死亡者数1位は心不全)、その対策が急務であることは明らかだ。

報告書案によれば、心不全患者の多くは「身体的若しくは精神心理的な苦痛又は社会生活上の不安」を抱えており、死生観を含めた価値観も踏まえての全人的なケアが求められるとしている。身体的苦痛に対しては、利尿薬や血管拡張薬、強心薬などによる薬物療法や、非侵襲的陽圧換気療法といった非薬物療法も必要であるため、適切な医療資源を投じなければならない。精神心理的苦痛に対しては、十分な説明や共感的な態度といったコミュニケーションが求められるため、学会などを通じての教育や普及活動も必要だとしている。

具体的な対応体制としては、緩和ケアチームや心不全多職種チーム、関連する認定・専門・看護師が連携するほか、心理職や精神科リエゾンチームによる医療従事者への教育・支援体制の構築も提言。また、がん患者と違い患者やその家族が専門職に相談できる場所が少なく、情報を得る手段も限られていることから、地域包括支援センターや訪問看護などの在宅医療専門職を活用するべきとしている。具体的な雛形としては、がん診療連携拠点病院における患者サロンの取り組みを挙げている。

心不全は増悪と寛解の繰り返しで身体機能が悪化していく症状。そのため、疾患の初期段階から緩和ケアが必要であることは明白で、かかりつけ医を含めた地域包括ケアシステムでの支援が不可欠となる。循環器を診療科目として標榜している医療機関はもちろんのこと、一次的な窓口として機能している地域の内科診療所なども、今後は緩和ケアを考慮した対応が求められることになるだろう。

新専門医制度、専攻医の採用状況を公表
機構側は「都市部への集中は抑制」と強調

――厚生労働省 社会保障審議会医療部会
 厚生労働省は、4月11日に開かれた社会保障審議会医療部会で、無痛分娩の実態と安全管理体制構築の必要性について報告し、了承された。無痛分娩取扱施設には、無痛分娩を熟知した専門職の配置を求める方針を明らかにした。専門職に該当するのは、産婦人科専門医、麻酔科専門医、麻酔標榜医のいずれかで、2年に1回程度講習会を受講することも求める。また、産後3時間までは産婦に5分程度でアクセスできる範囲で待機することも要請する。近日中に各都道府県や関係学会・団体あてに通知を発出する予定だ。

無痛分娩とは、麻酔によって陣痛の痛みを和らげて分娩する方法。一般的には、脊髄近くの硬膜外腔に挿入したカテーテルを通じて麻酔薬を入れる「硬膜外麻酔」が用いられる。医学的には、母体に心臓疾患があったり、重症妊娠高血圧だったりする妊産婦を対象に行われる手法だが、現在は痛みを緩和したい希望に応えるケースがほとんど。たとえば、東京大学医学部附属病院で行われている無痛分娩のうち、医学的適応なのはわずか6.8%であり、残り93.2%は本人希望によるものだ。

しかし、硬膜外麻酔を用いる無痛分娩はリスクも高く、死亡事故が頻発。2010年から2016年までの間で妊産婦死亡は271例発生しているが、そのうち14例が無痛分娩だった。昨年7月に、遺族から無痛分娩に関する分析と再発防止を求める要望書が厚生労働相あてに提出されたこともあり、同月に厚生労働科学特別研究事業として「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」が立ち上げられた。3月29日にその研究結果を踏まえた提言が発表されており、この日の医療部会ではその提言をもとにした報告がなされたというわけだ。

なお、厚生労働科学特別研究の研究班による実態把握調査では、重篤な麻酔合併症が起きていることが明らかになっている。そのうち半数以上が、くも膜下腔に麻酔薬が入ってしまったことによる全脊髄くも膜下麻酔もしくは高位脊髄くも膜下麻酔。カテーテルが少しでも深く入りすぎてしまうと、硬膜を破ってくも膜下腔に到達することは一定の確率で発生するとされているが、少しずつ麻酔薬を投与することと、すぐ救急の対処をすれば大事に至らないとされる。

もちろん、大事に至らせないためには救急処置に必要な設備・物品などが整っていることや、急変時の対応トレーニングをしておくことが欠かせない。そのため、研究班の提言には「産婦のそばに救急用の医薬品を準備」「危機対応シミュレーションを年に1回実施」といった項目も盛り込まれており、厚労省からの通知にも盛り込まれる。同研究班の提言には「無痛分娩取扱施設は、最新の『産婦人科診療ガイドライン産科編』を踏まえた上で、個々の妊産婦の状況に応じた適切な対応をとること」とも記されており、該当する医療機関は今後より注意深く対応していく必要がある。

◆旧7対1および10対1病棟、4月時点での届出直しは不要
10月以降も算定する場合は9月末までに届出が必要

――厚生労働省保険局医療課
 厚生労働省保険局医療課は4月6日、「疑義解釈資料の送付について(その2)」と題した事務連絡を発出。今年度の診療報酬改定で新たに設けられた急性期一般入院料1および急性期一般入院料4~6へ移行するにあたり、旧基準で該当する旧7対1および10対1はこの4月時点で届出直しをする必要はないとした。有効なのは9月30日までで、10月1日以降も引き続き算定する場合は、9月30日までに届出直しを行う必要がある。

 今年度の診療報酬改定でもっとも大きな変更のひとつとなったのが入院基本料。今までは看護配置基準を中心とした切り分けで「7対1」「10対1」と呼ばれていたのを再編・統合し、主に診療実績をもとにした「急性期一般入院料」と見直され、区分も7段階となった。

 3月5日に開かれた診療報酬改定説明会では、急性期一般入院料1~7へ移行するためには届出が必須であるとの説明がなされ、届出をしなければ自動的に「急性期一般入院料7」になるとしていた。「急性期一般入院料7」は、看護必要度加算を算定しない旧10対1に該当する基準で、点数も1,332点と据え置かれている。つまり、旧7対1病棟でも、届出直しをしなければ旧10対1の最低基準に自動移行するとのアナウンスとも受け取れたため、4月の締め切り日である4月16日までに対応する必要があるとも解釈でき、混乱を生じかねない状態だった。

 今回の事務連絡では、「重症度、医療・看護必要度以外の基準を満たしていれば、平成30年9月30日までの間に限り、届出直しは不要である」と明記。今回の改定では、旧7対1に該当する急性期一般入院料1の「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合が、従来の25%以上から30%以上へと変更となったが、半年の経過措置が設けられていることから、このような表現になった。ただし、9月30日までに改めて届出を行わなければ、10月以降に継続して算定できなくなってしまうため注意が必要だ。

 なお、同事務連絡には、地域包括診療加算の届出についての疑義解釈も掲載。今回の改定で「地域包括診療加算1」「地域包括診療加算2」の2つとなったが、改定前に地域包括診療加算を届け出ていれば「適切な研修を修了した医師」の配置などの要件に関わる資料の添付は省略できるとしている。

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