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介護経営情報(2018年4月13日号)

◆経産省、周辺業務を担う「介護サポーター」の導入を提言
 「元気高齢者」や主婦層が対象 施設・通所サービスを想定

――経済産業省 経済産業政策局 産業構造課
 経済産業省は、4月9日に「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」の報告書を公表。介護現場で専門性を不要とする周辺業務を担う「介護サポーター」の導入を提言した。働き続けたいとの意欲を持つ「元気高齢者」や主婦が対象で、施設サービスや通所サービスでの活用を想定している。潜在的労働力を積極活用することで、深刻化する介護人材不足を補うとともに、介護職の専門性を向上させて介護の質を高めるのが狙いだ。

 経産省は、最新の統計データをもとに介護職員の需給推計を再試算。その結果、2035年時点で介護職員は69万人不足すると見込んでいる。さらに、家族による介護を介護サービスで代替するのであれば79万人不足すると推計。一方、2030年にかけて労働力人口は約900万人減少するとされていることから、「将来の介護人材の全てを減少していく現状推移の労働力人口の中で賄っていくことは困難」と判断。潜在的労働力を中心とした多様な人材を活用し、介護のマンパワーの裾野を広げていく必要があるとしている。

 この潜在的労働力の主な対象となるのが、女性と高齢者だ。とりわけ高齢者は、約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答(内閣府「平成26年 高齢者の日常生活に関する意識調査」)。経産省は「高齢になるにつれて就業理由が『経済上の理由』といった金銭面から『いきがい、社会参加』『健康』『頼まれたから』といった心身面にシフトしていく傾向がある」としており、専門性が必ずしも高くない周辺業務を担う「介護サポーター」という役割を設けることが需給ギャップを埋めるのに効果的だとしている。

 報告書では、「介護サポーター」の導入事例をいくつか紹介。三重県介護老人保健施設協会では、「元気高齢者」を介護助手として雇用し、シーツの取替や食事の配膳、清掃といった周辺業務を担っている。これは全国初の試みで、難易度別に3つのクラスを設けて経験や職場研修などを通じてステップアップしていく仕組みにしている。結果、介護職員の残業時間が削減され、減った残業手当で介護助手の人件費を賄えているほか、介護職員が直接介護に関わる時間が1人平均190分(1日あたり)増加。認知症利用者の個別対応も可能になったという。

 また、首都圏の特別養護老人ホームでは、人材確保が難しいことから採用対象者を拡大し、新たに60代以上の人材をケアアシスタントとして雇用。それを機会に現場の業務を「身体介護」「生活支援」に大別したほか、各業務の内容や手順、時間を洗い出して効率化させることに成功している。これらの事例から、「介護サポーター」の導入が高齢者の雇用を創出し、介護の質向上につなげられる可能性が高いことは明らか。より地域に密着した施設・事業所として展開させるきっかけにもなるだけに、たとえ試験的であっても導入する価値はあるといえるだろう。

◆財政審、小規模事業所の統合を促すべきと提言
経営効率化によってサービスの質を向上させるのが目的

――財務省 財政制度等審議会財政制度分科会
 財務省は、4月11日に開かれた財政制度等審議会(財政審)財政制度分科会で、小規模介護サービス事業者の統合を促すべきと提言した。経営の効率化を図って採用コストを削減し、キャリアパス形成の仕組みを整えることでサービスの質を向上させるのが目的。人事・経営管理などの統合や連携事業への参加を指定・更新の要件にすることも考慮すべきとまで言及している。

 介護サービス事業者の事業所規模と経営状況は相関関係にあるのが実情。事業者の規模が大きいほど収支差率(介護事業所の経営指標。収益と費用との差額の割合)が高い傾向にあり、一部の法人はM&Aなどによって規模を拡大させ、経営を安定させている。一方で、公益財団法人介護労働安定センターの調べによれば(平成28年度介護労働実態調査)、介護サービス事業所・施設の4割弱が「1法人1施設・事業所」であり、全体の7割が従業員数100人未満の法人となっている。

 小規模事業者には、小回りがきくというメリットもある。しかし、適切な人材を確保するにはある程度の費用をかけなければならない。さらに、サービスの質を向上させるためにはキャリアパスの形成を後押しする取り組みが不可欠であり、事業所には充実した研修を提供することも求められる。小規模事業者にとってそれらのコストが大きな負担になることも、今回の提言の背景にあるのだ。

 財務省が描く統合・連携のイメージはこうだ。社会福祉法人および医療法人だけでなく、人事交流や備品の一括購入などを担うNPO法人を組み合わせて、地域の介護サービスを一任。そのマネジメントを介護保険の保険者である都道府県や市区町村が担い、事業目標の設定などを促していく。経営の安定化を図るとともに、地域包括ケアシステムの構築にもつながるというわけである。

 もちろん、大規模法人となれば他地域との連携も可能となる。財務省が事例として挙げたのは、京都、滋賀、青森など異なる地域に8つの法人を展開し、社会福祉法人のグループ化を行っている「リガーレ」。本部機能を独立させて経営管理機能を強化し、老朽化施設の改修や地域展開の経営戦略を支援している。サービスの質を標準化させるため各法人を定期的に巡回訪問しているほか、研修や採用活動は共同で実施。将来的には法人間の人事異動ができる仕組みづくりも検討しているという。

小規模事業者の排除とも受け取れる今回の提言だが、この「リガーレ」の事例のように煩雑な経営管理部門を切り離すことで、スリムな運営が実現しやすくなることは確かだ。いわば経営や人事部門のアウトソーシングのようなものであり、政府の施策として成立するかどうかは別にしても、統合・連携がある種の生き残り策として有効であることを示唆していることは間違いない。

◆居宅介護支援の利用者負担を導入すべき 財政審
訪問介護・通所介護はサービス供給量を制御する仕組みを求める

――財務省 財政制度等審議会財政制度分科会
 財務省は、4月11日の財政制度等審議会(財政審)財政制度分科会で、居宅介護支援の利用者負担を導入するべきと提言した。ケアマネジメントの質を向上させることが目的。また、訪問介護や通所介護などの居宅サービスについては、介護費の地域差縮減に向けて保険者機能を強化するため、総量規制や公募制などで自治体がサービス供給量をコントロールできる仕組みを取り入れるべきだとしている。

 基本的に介護保険サービスは利用者負担が設定されているが、居宅介護支援は例外となっている。ケアマネジメントの利用機会を確保するためだが、財務省は、利用者負担がないことで利用者側からケアマネジャーの業務の質についてのチェックが働きにくい構造にあると指摘。利用者側から指摘をしやすくするため、無料ではなく対価を支払っている体裁にするべきだという考え方だ。同省は、特別養護老人ホームでは施設サービス計画の策定にかかわる費用が基本サービス費の一部であることを指摘し、すでにケアプラン作成に対する利用者負担は存在していると主張し、提言の正当性を訴えている。

 ただし、利用者負担の設定をケアマネジャーの待遇改善につなげたいとは言及していない。むしろ、介護保険の国庫負担を軽減させるのが目的のため、利用者負担が増すだけで介護現場には還元されないと考えたほうがよさそうだ。しかし、ケアマネ資格を取得できる介護支援専門員実務研修受講試験の受験者数は減少傾向にあり、20年前には20万人以上だったのが昨年10月実施の試験では13万1,342人となっている。人材確保のため何らかの待遇改善策を打ち出すことが必要であることを踏まえれば、利用者負担ばかりが増す提言には疑問が残る。

今年度の介護報酬改定では、ケアプランを示す際、利用者側に複数の事業所を提示するよう求めることが可能だと説明しなければならなくなるなど、ケアマネジメントの質を高める狙いの見直しがなされている。ケアマネジャーが業務にどの程度の時間を要したかを調べる「タイムスタディ調査」が行われることもあり、現場の負担ばかりが増える結果となりそうだ。

◆2017年度の「老人福祉・介護事業」の倒産は過去最多の115件
従業員5人未満が全体の60.8% 訪問介護と通所・短期入所介護が大半

――株式会社東京商工リサーチ
 信用調査大手の東京商工リサーチは、4月9日に「2017年度『老人福祉・介護事業』の倒産状況」を発表。2017年度の倒産件数は117件で、介護保険法が施行された2000年度以降で過去最多となったことがわかった。倒産した事業者の60.8%は、従業員数5人未満。39.1%が設立5年以内となっており、小規模・零細規模で事業計画の見通しが甘い事業者が事業継続できなくなっている様相が見て取れる。

業種別に見ると、最多は訪問介護事業の47件。次いで通所・短期入所介護事業の44件となっており、この2種で91件と全体の8割近くを占めている。有料老人ホームは9件、サービス付き高齢者向け住宅など「その他」は8件となった。

 老人福祉・介護事業の倒産件数は、2015年度以降増え続けており、2016年度には2000年度以降で初めて100件を突破する107件に到達。2015年度は64件だったためここ2年で急増している状況だ。2016年度に急増したのは、同年度に実施された介護報酬改定が実質マイナス改定だったことが影響したと推測されるが、昨年度も同数以上の倒産件数となったのは、その影響を引きずっているとみられる。東京商工リサーチは、業界内の淘汰が加速していることや、介護職員の離職を防ぐための人件費上昇が倒産件数の増加要因になっていると分析。「介護業界の人手不足は『国内景気が悪い時の採用は順調だが、好況になると人材が他業種へ流出する』など、景気と逆行する傾向がある」としている。

 とはいえ、原因別に見ると「業績不振」が52件、「事業上の失敗」が26件とこの2要因で7割近くを占めており、人手不足のみが経営の行き詰まりを招いたとは言い難い。むしろ、サービスの質が低下したことが倒産要因につながったといえよう。その遠因として、人手不足や業務マネジメントの不備があることは否めないが、経営層並びに管理職のマネジメント能力が不足していることがその根本原因にあるのではないか。

実際、4月4日に同じく東京商工リサーチはコンプライアンス違反による倒産が介護福祉関連でも14件あったことを発表。厚生労働省によれば、2016年度に介護報酬の不正請求や法令違反で指定取消などの処分を受けた施設や事業所は過去最多となる244カ所にのぼっており、安易な経営姿勢を持つ介護事業者が少なからずいることは間違いない。介護の受け皿は今後も求められていくため、起業する事業者が増えていくことが予想されるが、サービスの質が低い事業者はいずれにせよ淘汰されるということは踏まえて置くべきだろう。

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