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介護経営情報(2018年1月26日号)

2018/2/5

◆終末期医療ガイドライン、初の大幅改訂へ
自宅や介護施設での看取りを想定した内容に

―厚生労働省 人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会
厚生労働省は、1月17日に開催した「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」において、終末期医療ガイドラインの改訂案を提示。自宅や介護施設など、病院以外での看取りが増えることを想定した内容を盛り込んだ。

 2007年に策定された終末期医療ガイドラインは、2015年に「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」から「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」へ名称変更されたものの、大幅に内容を改訂するのは初めて。これまでは病院でのケアを前提としていたが、自宅や介護施設での看取りが増えてきたことにより、現実に即した内容に変更する必要が生じた。

 厚労省の改訂案を見ると、冒頭から大幅な変更がなされている。従来は「患者が医療従事者と話し合いを行い」としていたが、「患者が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い」と変更。「介護」の文言が追加されたほか、医師や医療従事者だけでなく「チーム」で対応することも盛り込まれ、構築を急いでいる地域包括ケアシステムを意識した内容となっているのが特徴的だ。

患者が認知症を発症しているケースも想定。「患者が自らの意思を伝えられない状態になる可能性がある」との文言が盛り込まれ、「患者は特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めておくことが望ましい」としている。要するに、事前に患者の家族などと繰り返し話し合うとともに、「何を望むか」「何が最善なのか」の意思決定者を決めておく必要があるというわけだ。患者本人のインフォームドコンセントを得るだけでなく、その家族との合意形成が求められるため、よりきめ細かい対応が欠かせなくなる。

なお、改訂案では意思決定者の条件に言及していない。介護者や医療従事者の判断に頼らざるを得ないため、成年後見制度や特別代理人といった制度を活用する必要性が議論される必要があるだろう。ただし、厚労省は2月末に改訂ガイドラインを確定させたい意向を示しており、そこまで反映される可能性は極めて低い。今後、パブリックコメントを募る予定となっているため、そこでどのような意見が集まるか注目される。

◆ハローワーク、新規開設の特養へ求人支援を実施
1都3県でモデル事業 求職者への積極アプローチも

――全国厚生労働関係部局長会議
厚生労働省老健局は、1月18日に開催された全国厚生労働関係部局長会議で特別養護老人ホーム(特養)への求人支援を開始すると発表。ハローワークと自治体が連携したモデル事業で、1都3県(東京都、さいたま市、千葉市、横浜市)で実施。求職者への積極的なアプローチも行う。

 このモデル事業は、自治体が軸となって推進し、ハローワークおよび介護労働安定センター(※)と連携。まずは、各関係者で構成する協議会を設置し、きめ細かな支援に向けた協議と効果的な広報を実施していく。具体的には、特養の開設情報を把握している自治体が、その情報をハローワークおよび介護労働安定センターに提供。ハローワークは、その特養に対して個別にアプローチし、求人コンサルティングを行うとともに、事業所見学会やミニ面接会なども提案。同時に、求職者に対して求人情報を積極的に提供するとともに、事業所見学会やミニ面接会などのイベント情報の周知も徹底させる。介護労働安定センターは、人材の定着まで含めた雇用管理改善に関する相談補助の役割を担う。

 この取り組みの背景にあるのは、人手不足が原因で空きベッドが生じている現実がある。厚労省の2016年調査によれば、開設10年以内で空きベッドがある特養のうち、職員の確保が困難であることを理由としている施設が13%もある。現在、52万人にのぼるともいわれている入所待機者の減少を促す意味もあり、モデル事業を推進して人材確保を狙おうというわけだ。順調に進めば、全国に取り組みを広げていく方針を明らかにしている。

 ただし、特養の空きベッド問題は人手不足のみに起因しているとは限らない。今回モデル事業を開始するのは首都圏だが、過疎化が進む地方では入所希望者自体が減少している現実もある。そうした地域格差を踏まえたうえでのマッチングも今後は必要になってくることは間違いなく、その意味ではハローワークや介護労働安定センターだけでなく、他の機関と自治体との連携強化を図る必要も出てくるのではないか。

※介護労働安定センターは、厚労省所管の公益法人。介護労働者の支援機関で各都道府県に支部・支所がある。

◆地域医療介護総合確保基金、中高年人材の新規参入促進に優先配分
創設される「入門的研修」の受講費を補助する方針

――全国厚生労働関係部局長会議
 厚生労働省老健局は、1月18日に開催された全国厚生労働関係部局長会議で、地域医療介護総合確保基金(※)を中高年齢層の新規参入促進のため優先配分する方針を明らかにした。

 いわゆるアクティブ・シニアと呼ばれる中高年齢層の人材を、介護分野で積極的に活用する方針は、昨年12月の経済財政諮問会議でも取り沙汰された。そのための中心的な施策として2018年度から創設されるのが「入門的研修」および「生活援助従事者研修」だ。これまで、介護分野の公的な入門資格は介護職員初任者研修だったが、研修を130時間受講しなければならないため、初心者にはハードルが高いとの指摘が多く、半分程度の時間で必要な知識が得られる資格が創設されることとなっている。

 入門研修だけでなく、実際に働く職場のマッチングまで一体的に支援するのが、2018年度の介護人材確保対策の肝となる部分だ。そのマッチングに必要な費用および、創設される2つの入門資格の受講費用を補助することで、ターゲットとなるアクティブ・シニアの参入意欲を刺激しようというわけである。なお、財源となる介護総合確保基金をどの程度用いるかは、各自治体に委ねる方針。必然的に、新たな2つの入門資格の受講費は自治体によって差が生じる可能性がある。

 なお、アクティブ・シニアの参入促進事業としては、他にボランティアセンターおよびシルバー人材センター、福祉人材センターの3者が連携して介護分野で働きたい層を掘り起こす事業も実施される。また、地域医療介護総合確保基金は従来の介護職員初任者研修や介護福祉士資格取得に必要な受講費用や、介護人材の離職防止に取り組む事業所の認証評価制度導入・運営にかかわる費用の補助にも用いられる方針となっている。

※地域医療介護総合確保基金とは、医療・介護の実施事業を支えるため、各都道府県に設置されている財政支援制度。消費税が8%にアップされた2014年度に、増収分を活用して新設された。基金は国が3分の2、都道府県が3分の1を負担。都道府県および市町村が策定した基金事業計画に沿って分配される。

◆要介護・要支援認定の申請など、行政手続を完全デジタル化へ
ケアマネジャーの負担を軽減する目的も 来年度の開始を目指す

――eガバメント閣僚会議
 1月16日、首相官邸でeガバメント閣僚会議が開催され、要介護・要支援認定の申請といった行政手続を完全デジタル化する方針が示された。要介護者の家族の不安や手続の負担を軽減するとともに、ケアマネジャーの負担軽減を図る目的がある。

 eガバメント閣僚会議は、世界最先端のIT国家を目指し、行政サービスの電子化と業務改革を進めることを目的として開催されているもの。議長は内閣官房長官が、副議長は情報通信技術制作担当大臣および総務大臣が務め、財務大臣や厚生労働大臣、経済産業大臣などが構成員として出席している。今回の会議は4回目の開催で、「デジタルガバメント実行計画」を策定した。

 要介護・要支援認定の申請が俎上に載せられたのは、ケアマネジャーが申請者に代わって行政手続を実施している現実があるからだ。申請手続がデジタル化されていないため、ケアマネジャーは地方公共団体へ持ち込んだり郵送したりといった負担がかかっており、優先するべき業務である自立支援への取り組みに力を注ぐことが難しい。ウェブサイト上で関連情報の取得や、必要なサービスの検索・申請までワンストップでできるようになれば、時間や場所を問わず、スマートフォンやタブレットなどでも一連の手続が可能になり、結果的にケアマネジャーの負担も減らすことができる。

 まずは、今年度中にこのワンストップサービスの実現に向けた方策を取りまとめる方針。順次検討を進めて各府省の中長期計画に盛り込み、2018年度以降に可能なものから開始していくとした。会議後、議長の菅義偉官房長官は「行政のあらゆるサービスが、利用者にとって最初から最後までデジタルで完了する社会を実現する」ための各種施策を盛り込んだとし、「電子申請にかかる添付書類の撤廃を強力に推進するため、年内に法案を提出できるよう、法案の作成作業に直ちに着手」すると明言。その言葉どおりに計画が進めば、来年度中にもケアマネジャーの業務内容を効率化することができそうだ。

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