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介護経営情報(2017年11月24日号)

◆「入院時情報連携加算」、3日以内の情報提供を新たに評価
訪問の有無による単価の格差は解消 提供用フォーマットも用意

――厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会
 厚生労働省は、11月22日の社会保障審議会介護給付費分科会で「入院時情報連携加算」を見直す意向を示した。現在は入院後7日以内の情報提供で加算できるが、新たに3日以内の情報提供も評価する。情報提供方法も大幅に見直される方針で、ケアマネジャーにとっても医療機関にとっても業務効率を向上させるきっかけとなりそうだ。

 これは、「医療と介護の連携」を強化するための方策。現在は医療機関へ直接訪問して情報提供した場合は200単位の「入院時情報連携加算(I)」が算定でき、直接訪問以外の情報提供の場合は100単位の「入院時情報連携加算(II)」となっていたが、この方式も見直し、訪問の有無で報酬単価に差をつけない設計とする。ケアマネジャーがわざわざ医療機関を訪問する必要がなくなるため、双方にとって負担が軽減されると言える。同時に、担当ケアマネジャーの氏名や連絡先の情報提供を義務付ける方針も示しているが、むしろ円滑な連絡のために欠かせない要素ではないだろうか。

 さらに、情報提供のスピードを向上させるため、フォーマットを用意する方針を明らかにしていることにも注目したい。この日提示されたフォーマット案には選択項目も多く設けられており、記入にかける時間短縮につながることが期待できる。メールなど電子的に送付するよう統一すれば、情報管理も容易になるだろう。医療・介護のビッグデータに組み入れることも可能だ。

 ケアマネジャーと医療機関の間でやりとりする情報提供書のフォーマット化は、退院・退所後の在宅生活をサポートする際にも活用する方針。ケアマネジャーが医療機関から情報収集する際の聞き取り事項が整理できることで、より適切で充実したケアにつなげたいというのが厚労省の考えだ。なお、厚労省は「退院・退所加算」の評価も充実させる方針で、具体案として「退院・退所時の初回ケアプラン作成の手間を明確に評価」「医療機関との連携回数に応じた評価」「医療機関のカンファレンスに参加した場合は上乗せ評価」の3点を示している。いずれも、ケアマネジャーが医療機関と円滑に連携することによって得られる評価であり、ケアマネ事業者にとっては、近隣医療機関との関係深化がより求められることになると言えよう。

◆ケアプランの説明内容を厳格化 守られない場合は報酬半減
特定事業所集中減算の対象は訪問介護、通所介護、福祉用具貸与に

――厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会
 厚生労働省は、11月22日の社会保障審議会介護給付費分科会で公正中立なケアマネジメントの確保に向けた対応策を提示。ケアプランの説明内容を厳格化し、守られない場合は報酬半減となる「運営基準減算」を適用させる考えを明らかにした。

 介護施設の利用者にとって、どの施設を利用するかは重要な関心事のひとつだ。どの施設を選ぶかはケアマネジャーの紹介に頼らざるを得ないため、その説明内容は公正中立かつ利用者を考慮したものでなければならない。しかし、利益誘導のためケアマネ事業者や関連事業者が運営する施設を紹介するケースが後をたたないのが実情であり、今回の厚労省案はそうした事態を防止することが目的だ。

具体的には、利用者が「複数の事業所の紹介を求めること」を可能にするとともに、なぜその事業所を選んだのか「ケアプランに位置づけた理由」の説明をケアマネジャーに求めることを可能にする。それらがなされていない場合は「運営基準減算」を適用する。「運営基準減算」は、ケアマネ事業者にとってかなり厳しいペナルティだ。その利用者に対する算定が半減されるだけでなく、2カ月目以降も同じ状態だとその利用者に対する算定はゼロになってしまう。今後は、より注意して利用者にケアプランの説明をする必要があるだろう。

 また、上質なケアマネジメントの提供を促す「特定事業所加算」も要件が厳格化される見込み。「他法人が運営する居宅介護支援事業者と共同の事例検討会・研修会等の実施」が新たに要件に加わるほか、これまで「加算I」のみの要件だった「地域包括支援センター等が実施する事例検討会等への参加」を「加算II」「加算III」でも要件化する。

 なお、ケアプランで特定のサービス事業所への集中割合が80%以上だった場合に減算の対象となる「特定事業所集中減算」は、これまで合理的な施策ではないとの指摘があったことから、見直される方針。請求事業所数が少ない介護サービスがあることや、かかりつけ医師の指示で利用事業所が決まる医療系サービスがあることが理由であり、来年度の介護報酬改定以降は、訪問介護、通所介護、福祉用具貸与のみを対象とする。

◆訪問介護、一定回数以上の訪問の場合はケアプラン届出を義務付け
「全国平均+2」が対象に 生活援助中心型の訪問回数抑制が狙い

――厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会
 厚生労働省は、11月22日の社会保障審議会介護給付費分科会で、一定以上の訪問回数となる訪問介護については自治体へのケアプラン届出を義務付ける方針を明らかにした。届出られたケアプランは、地域ケア会議で検証する。

 届出が必要な回数については、要介護度別に「全国平均利用回数+2標準偏差(2SD)」を超えた場合としており、これは現在の調査結果をベースに算出すると約2万4,000件が該当する。介護報酬が改定される来年4月から6カ月の周知期間を設けたのち、来年10月から正式に施行するとしている。

 現在の介護報酬体系は、1日に複数回の算定が可能となっている。そのため、必要以上のサービス提供を行うことで報酬上乗せを狙うこともできる。とりわけ「生活援助中心型」の利用状況を見ていくと、月31回以上の利用者が2万5,000人以上いることが明らかになっており、ケアプランとかけ離れた利用となっていることが指摘されてきた。

 利用者数だけを見ても、「生活援助中心型」は訪問介護の多くを占めている。昨年度の受給者数を見ると、「身体介護中心型」のみの受給者が約51万1,000人であるのに対し、「生活援助中心型」のみの受給者は約50万3,000人。「身体介護中心型」との併用が約29万5,000人いることも踏まえると、訪問介護事業は生活援助なしでは成り立っていないとも言える。

しかし、そもそも介護保険が自立支援を目的とした制度であることも踏まえると、生活援助に重きを置きすぎることは、介護保険給付の適正化と逆行しているとも受け取れる。算定回数が多いことによる「保険者の事務負担」も考慮するべきだともしており、生活援助の割合を何とか減らして介護費の抑制を図りたい意図があることは明らかだ。

こうした厚労省の姿勢からは、将来的に介護保険のサービスから生活援助を切り離したい意向が透けて見える。となると、現在は東京都が豊島区の取り組みで先行している混合介護を推進していく動きが強まることは確実であり、新規事業者が参入してくる可能性も高まる。訪問介護事業者は今からそうした局面を想定した対策を練っておく必要があるだろう。

◆老健の基本報酬を見直し 退所時の加算は包括化
在宅復帰・在宅療養支援をしている施設は手厚く評価

――厚生労働省 社会保障審議会 介護給付費分科会
 厚生労働省は、11月22日の社会保障審議会介護給付費分科会で、介護老人保健施設(老健)の基本報酬を見直すとした。在宅復帰・在宅療養支援機能を有することをベースとし、メリハリをつけた評価にする。

 厚労省が基本報酬見直しの方針を示したのは、昨年6月に公布され来年4月から施行される改正介護保険法によって、老健の役割が在宅復帰・在宅療養支援にあることがより明確化されたことが背景にある。現在は基本報酬に在宅強化型の報酬を設けて評価しているほか、それ以外も加算で評価しているが、在宅復帰・在宅療養支援機能を有することをベースにするのであれば、事実上の評価引き下げとなる。

 実際、現在設けられている加算を包括化する方針も示している。具体的に挙げられているのは「退所前訪問指導加算」「退所後訪問指導加算」「退所時指導加算」。これらは、老健の退所時に必要な取り組みであり、インセンティブとして評価するのはふさわしくないとの判断だ。ただし、本当に在宅復帰が可能かどうかを“お試し”する「試行的な退所」は利用者にとって異なる対応が必要なことから、「試行的退所時指導加算」として新たに設ける方向となっている。

 老健にとってはかなり厳しい見直しとなるが、その代わりに在宅復帰および在宅療養支援を積極的に進めている施設については、より手厚く評価していく。評価項目も細分化し、現在の「在宅復帰率」「ベッド回転率」「退所後の状況確認」に「入所後の取り組み」「リハビリテーション専門職の配置」を加える方針としている。

 老健は介護施設の中でも収益が安定しているとされ、8割以上の施設が黒字経営とのデータもある。中でも在宅強化型が好調で、従来型の施設は赤字施設の割合が高いため、厚労省も基本報酬見直しといった思い切った引き下げ策を打ってきたものと思われる。関係事業者にとっては、在宅復帰および在宅療養支援機能をより高めていくことで対応するしかなさそうだ

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