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介護経営情報(2017年9月15日号)

2017/9/28

◆規制改革推進会議、「混合介護」を重点的に審議
今年度内に集中的なフォローアップを実施

 

――規制改革推進会議 医療・介護ワーキンググループ
9月19日、規制改革推進会議の医療・介護ワーキンググループが開催され、今期の主な審議事項について確認を行った。介護分野では、混合介護と呼ばれている「保険内・外サービスの柔軟な組み合わせの実現」を重点的フォローアップの第1項目として挙げた。今年度内に集中的な審議を行う方針を明らかにしている。

混合介護をめぐっては、前期の規制改革推進会議でも強く解禁を主張。そもそも、公正取引委員会が介護職員の処遇改善につながるとして、混合介護の自由化に踏み切るべきとした経緯もあり、介護のマーケット拡大も視野に入れて本格解禁を目指してきた。6月に閣議決定された「規制改革実施計画」では、厚生労働省に対して今年度中にルールを整備して結論を出し、来年度上期中に通知を発出するよう求めている。

介護保険の保険者である区市町村からも、混合介護の早期解禁を求める動きが出ている。象徴的なのが、東京都豊島区。国家戦略特区を活用して、来年度から混合介護(東京都は「選択的介護」と呼称)のモデル事業をスタートさせたい意向を早くから示している。ただし、法的な問題をクリアできていないため、早期実施を実現するため、小池百合子都知事は9月5日の国家戦略特別区域諮問会議で「早急かつ明確な法解釈」を国に求めたばかりだ。

一方で、厚労省や与党・自民党は本格解禁に慎重な姿勢を崩さない。自己負担の介護サービスが増えることによって自立支援を阻害する可能性や、行政コストが増大することを懸念してのもので、前述の「規制改革実施計画」で当初の目標だった本格解禁まで踏み込めなかったのは、反発が強かったことを物語っている。

とはいえ、厚労省は4月に発表した「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書」で混合介護を推進するべきとしており、その必要性を認めていることは間違いない。そこで重要となってくるのは、ガイドラインの策定だろう。同じく4月に実施された規制改革推進会議でも年内にガイドライン策定をするよう要望しているが、介護現場と利用者双方にとって望ましいルールの提案ができるかどうかが焦点となるだろう。来年の本格解禁を確実なものとするために、医療・介護WGがどこまでルールづくりの後押しができるのか、目が離せない状況が続く。

 

◆訪問介護資料の「生活援助のみで月100回以上」は誤り
厚労省「正確な実態把握に務める」と答弁 改定への影響は未知数

――参議院 厚生労働委員会
9月20日、参議院厚生労働委員会で厚生労働省の濱谷老健局長は、訪問介護について社会保障審議会で提示した資料に誤りがあることを認めた。「正確な実態把握に務める」と答弁し、改めて調査する意向を示している。

問題となったのは、7月5日の社会保障審議会介護給付費分科会で提示された資料。「平成29年度予算執行調査(介護保険サービス(訪問介護))の概要」と題されたもので、「生活援助」の利用割合が高いことを示している。具体的には、月31回以上利用する人が6,626人にのぼり、月100回以上利用されているケースもあるとして、89回以上利用された22のケースを自治体名とともに示していた。

これに異議を唱えたのは、日本共産党の倉林明子議員。資料に明記された自治体に同党の機関紙「赤旗」が問い合わせたところ、実態と異なる結果が資料に反映されていることが判明し、そのことを財務省主計局労働係も認めているとして、資料の撤回と修正を求めた。倉林議員の異議に対し、厚労省の濱谷老健局長は「財務省が行った調査」であるとしたうえで「生活援助中心型のみを示した資料ではない」と認め、厚労省として改めて調査を行うと明言した。

訪問介護のあり方をめぐっては、問題となった7月5日の介護給付費分科会で、人員基準を緩和して介護報酬を引き下げる案が提示されていた。「生活援助」のみの利用が多い状況をその根拠としているため、改めて行われる調査結果に注目が集まる。

とはいえ、引き下げ案そのものが見直される可能性は低いのではないだろうか。「生活援助」を介護保険の適用外とすることは、昨年10月の介護給付費分科会で見送りの方針が固められており、その代わりに訪問介護の人員基準を緩和することが既定路線となっているからだ。そのことは6月2日に発表された「骨太の方針2017」でも明記されている。9月13日の同分科会での事業者団体ヒアリングでも、日本ホームヘルパー協会は、訪問介護を「家事代行サービスではなく重度化を防ぐ業務」と強調しており、身体介護に重きを置いた評価になることは変わりないと思われる。

 

◆医療機関から転換する介護医療院、実態に合わない名称はNG
「救命救急センター」「地域医療支援病院」は使用できない

――厚生労働省 社会保障審議会医療部会
9月15日、厚生労働省の社会保障審議会医療部会が開かれ、医療機関から転換する介護医療院の名称について、実態に合わないものは認めない方針が固まった。具体的には「救命救急センター」「救急病院」「地域医療支援病院」などが使用できない。

そもそも、医療法によって、総合病院や病院、診療所は要件が定義づけられており、それぞれの要件を満たさなければ名乗ることはできない。来年4月に新設される介護医療院は介護保険法に基づく施設であるため、名称の中に転換前の病院名や診療所名を含めることができないというのが、原則的な考え方だ。

ただし、介護医療院は事実上医療を提供する施設であり、利用者側から見ても実態は変わらない。地域住民からの信頼・信用などの保護を図るとともに、経営の継続性を確保するため、医療機関から転換した場合に限って、元の医療機関名を名称に含めることが5月に成立した改正介護保険法で認められた。

とはいえ、病院や診療所の中には、介護医療院の実態と合わない名称を持つところもある。この日の部会では、「法令や予算事業に基づき一定の医療を担う病院または診療所」「事実誤認を生じさせる可能性がある」名称は、継続使用を認めないとした。具体的には「救命救急センター」「休日夜間急患センター」「救急病院」「特定機能病院」「地域医療支援病院」などを挙げている。逆に、認められる名称としては「○○病院介護医療院」「○○クリニック介護医療院」「介護医療院○○病院」「介護医療院○○クリニック」などが例示された。

なお、病床の一部を転換して従来の医療機関と介護医療院が両方存在する場合は、患者に事実誤認を生じさせる可能性が低いとして、継続使用を認める方針も示された。しかし、具体例にまでは触れていないため、ケースバイケースで判断される懸念も残されており、明らかに特例として認められる名称でない限りは、あらかじめ地方厚生局などに確認したうえで転換を進めたほうが良さそうだ。

 

◆愛知県、「認知症カフェ」を県内全域設置へ
2025年問題を見据えた「あいちオレンジタウン構想」

――愛知県
9月20日、愛知県は「あいちオレンジタウン構想」を策定したと発表。2025年問題を見据えた「認知症に理解の深いまちづくり」の先進モデルをめざすための取り組みを示すもので、いわゆる「認知症カフェ」を県内全域に設置していく構想を明らかにした。

愛知県の大村秀章知事は、この「あいちオレンジタウン構想」について「国が定める『認知症施策推進総合戦略』(新オレンジプラン)のめざすべき社会の姿」だとし、認知症関係に保健・医療・福祉の専門機関が集積している「あいち健康の森」とその周辺地域(同県大府市および東浦町)を起点と定めて先進的な取り組みを始めていくとしている。

2015年1月に国が策定された新オレンジプランは、11項目で今年度末までの達成を数値目標として設定していたが、今年3月の時点ですでに「認知症サポーター養成」「認知症サポート医養成研修」「認知症介護実践者研修」など5項目で目標に到達。残り6項目のうち3項目も9割程度達成していることから、7月初旬に数値目標を更新した。

全体的に順調な進行に見える新オレンジプランだが、実は認知症カフェの設置は伸び悩んでいるのが現状。7月に更新された数値目標の項目では「2021年度末までに全市町村への設置」を目標とした。昨年10月の時点で市町村数は合計1,718。それに対して、少し古いデータだが2014年度の実績調査で認知症カフェは41都道府県280市町村に655カ所設置されるにとどまっている。

そうした現状を踏まえると、今回の愛知県の構想は注目に値するものだ。公表されたスケジュールによれば、来年度中に「カフェサミット」を開催して設置エリアの設定や立ち上げの支援を開始し、2020年度中には全県に波及させたいとしている。

そもそも認知症カフェは、特定のプログラム設定が不要なため設置自体の難易度は低い。しかし、利用者負担額が低いことから、運営費がネックとなってくる。助成金によって設置数を増やすことは可能だが、継続的かつ発展的な運営をするためには工夫が必要だ。その点、愛知県が取り組むカフェサミットや実際の立ち上げ・運営のノウハウは全国的にも参考事例となる可能性は十分。どのような成果を挙げるのか、今後大きな注目を集めることになるだろう。

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