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介護経営情報(2017年9月8日号)

2017/9/20

◆外国人技能実習生、就労後6カ月から介護報酬の配置基準に算定
日本語能力試験「N2」取得者は就労開始時から算定 EPAと同様に

 

――厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会
9月6日、厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会が開かれ、外国人技能実習生が就労して6カ月後から介護報酬の配置基準に算定される方針が明らかになった。日本語能力試験「N2」を取得している場合は、就労開始時点からの算定となる。いずれも経済連携協定(EPA)と同様の取り扱い。

介護現場で外国人技能実習生を受け入れることが決まったのは、昨年11月のこと。「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」が成立し、今年11月1日に施行される予定となっている。それまで、介護現場で外国人が働くにはEPAルートを経由する必要があったため、ベトナム、フィリピン、インドネシアの出身者に限られていたが、11月の施行後は技能実習制度を活用すれば、最長5年間日本で働くことができる。

なお、技能実習制度では介護が初めての対人サービスとなる。そのため、日本語能力が要件となっており、入国時の基準は基本的な日本語を理解できる「N4」程度、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる「N3」程度を取得するのが望ましいとされている。2年目以降は「N3」程度が要件となるため、1年間で一定以上の日本語能力を身につけなければならない。

とはいえ、介護の技能習得を促す評価システムや実習実施機関については要件に定められているものの、日本語能力については、実際にどの程度の教育支援体制が整えられるか不透明だ。6カ月で日本人介護職員と同様の待遇を用意するのに対し、日本語能力に関しては1年後と期間の矛盾が生じているのも、整合性を欠く。厚労省は「外国人介護人材の受入れは、介護人材の確保を目的とするのではない」としているが、人手不足を解消するための施策であることは明らかだ。さらに、EPAルートと技能実習では来日前の研修内容なども異なるため、同分科会に出席した委員からは、EPAに準じた要件設定が妥当なのか疑問視する声もあがっている。いわゆる「2025年問題」を考慮すれば、外国人介護人材をいかにスムーズに受け入れるかが、介護事業所にとって重要な命題となっていくのは間違いないだけに、厚労省には、要件に問題が生じたとき迅速に見直していく柔軟な姿勢が求められるだろう。

また、この日の同分科会では介護報酬改定に向けて事業者団体からのヒアリングを実施。リハビリテーション関係やサ高住関係など計13団体の代表者らが出席し、それぞれ次期介護報酬改定への要望を行った。厚労省は、要望を踏まえて改定内容を検討する方針だ。

 

◆小池東京都知事、「混合介護」の早急かつ明確な法解釈を国に求める
豊島区のモデル事業に18社から提案応募があったことを明らかに

――国家戦略特別区域諮問会議
9月5日、内閣府の国家戦略特別区域諮問会議が開かれ、東京都の小池百合子知事はいわゆる「混合介護」の明確な法解釈を国に求めた。東京都では、豊島区で来年度から「混合介護」のモデル事業をスタートさせる意向を示しており、早い時期に実施できるよう早急な検討を迫った格好だ。

現行の介護保険制度では、介護保険が適用されるサービスと、介護報酬の対象とならない保険外のサービスを同時に提供する「混合介護」(東京都では「選択的介護」と呼称)は原則として禁止されている。しかし、明確な区分が示されていないため、現実的な場面で多くの不都合が生じているのが実情。

たとえば要介護者の食事を調理するのは保険内サービスだが、家族分は保険外になる。ペットの世話や花の水やりも保険外になるため、ヘルパーがわざわざエプロンを取り替えて保険外として対応しなければならない。デイサービスの送迎をするとき、利用者が途中のスーパーで降りたいと思っても、降ろすと保険外サービスとなってしまう。法を遵守しつつ、スーパーに行きたい利用者の希望者を叶えるためには、一度利用者の自宅で降ろしてから再び乗せてスーパーに行かなければならない。

また、保険外の介護サービスは、介護報酬よりも低い料金にする必要があるため、介護事業者としては積極的に取り組みにくい状況となっている。しかし、事業者が関心を持っていないわけではなく、この日の小池知事による発表では、「都と豊島区による選択的介護の提案募集」に18社から提案が寄せられているという。社会保障費の膨張が政府の命題となっているだけに、こうした民間の意欲をいかに活かすかが、介護保険制度を持続させるために重要となってくるのではないか。

なお、豊島区の「混合介護」モデル事業の内容だが、来年度は「介護を担う家族分の家事支援(家族分の食事の調理、洗濯等)」「短時間で提供できる付加的な生活支援サービス(ペットの世話、家電不具合の調整等)」を、2019年度は「ホームヘルパーのグループ氏名等の高付加価値サービス」や「デイサービスの送迎車の活用等の経営資源の有効活用等」を検討している。

 

◆未来投資会議、介護人材の確保を重点課題のひとつに
首相は「生産性向上に向けた設備や人材への大胆な投資促す」と意欲

――未来投資会議
9月8日、首相官邸で未来投資会議が開かれ、成長戦略の課題と今後の進め方について議論が展開された。政府は、今後の取り組みとして「生産性・供給システム革命」の実現を目指すとし、介護分野も生産性を抜本的に改善すべき対象として挙げられている。

介護分野で生産性向上が滞っている要因のひとつが、慢性的な人手不足だ。日本経済全体としては、11年ぶりとなる6四半期連続のプラス成長を達成しているほか、4年連続の賃上げを実現しているものの、介護サービス全体での有効求人倍率は年々上昇。2013年には1.83倍だったのが、2016年には3.05倍となっている。

単純に考えれば、有効求人倍率3.05倍というのは305名分の求人募集に対して100名しか応募がないということ。もっと単純化すれば、3名必要な現場に1名しか人材がいないということになる。たった3年間で不足人材が1名弱から2名以上になっており、いかに介護現場で人手不足が深刻化しているかがわかる。

安倍晋三首相は、こうした状況を打破するため「思い切った政策」を講じていくと発言。「生産性向上に向けた設備や人材への大胆な投資を促すため、税制、予算、規制改革などあらゆる政策を総動員」すると意欲を見せた。今後、どのような施策を立て、そのための財源をいかに確保していくかが注目される。

また、技術革新や最適なケアを提供するための健康・医療・介護システムの導入を加速していくことも宣言。2020年度には健康・医療データを国民一人ひとりが一元的に把握できるプラットフォームを本格稼働させるとしており、介護現場のICT化をこれまで以上に促進していくとしている。次期介護報酬改定をめぐる議論で、ICT化やロボット、センサーを導入した事業者への加算が検討されているが、それを後押しする内容だと言えよう。

 

◆東京都、受動喫煙防止の条例案を発表 東京オリンピックに向けて
老人福祉施設は喫煙室設置も禁ずる「屋内禁煙」に 個室喫煙は可

――東京都
9月8日、東京都は受動喫煙防止の条例案を発表。有料老人ホームや特別養護老人ホームなどの老人福祉施設は「屋内禁煙」とする方針を明らかにした。加熱式たばこも対象とする。ただし、個室は喫煙禁止場所としないため、居室での喫煙は可能となる。

東京都がこの時期に条例案をまとめたのは、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックのホストシティであることが大きく影響しており、前年の2019年に開催されるラグビーワールドカップに間に合うよう施行したい意向を示している。

受動喫煙防止対策については、厚生労働省が3月に関連法案の骨子を発表。6月に会期終了した通常国会での法案提出を目指したが、飲食店の扱いをめぐって自民党から反発を受け、結局法案提出できなかった経緯がある。今回、東京都が取りまとめた条例案は、厚労省案に準じた内容となっており、飲食店も原則屋内禁煙(喫煙専用室設置可)。面積30平方メートル以下のバー、スナック等は例外となっている。

罰則を適用するのも厚労省案と同様。金額は5万円以下としている。違反した喫煙者本人や施設管理者に対して勧告や命令等を行い、それでもなお違反する場合に適用されるのも厚労省案に準じている。

老人福祉施設を「屋内禁煙」とすることについては、全国社会福祉協議会が反対の意見を表明。屋外に喫煙場所を設けた場合、行方不明となったり事故にあったり可能性が生じるというのが、その理由だ。見守りが必要な利用者の場合は、職員が屋外まで付き添わなければならなくなる。人手不足が深刻化している介護現場で、屋外での喫煙付き添いのために人員を割くことは難しい。では、個室での喫煙に限定すればいいかと言えば、不始末による火災のリスクがあるため、避けたいのが事業者側の本音だろう。しかし、受動喫煙防止対策を充実させていくのは、時代の趨勢でもあり、いずれは全面的に禁煙となる可能性も考えられる。利用者への説明を含め、介護事業者にとっては本格的に対応を検討する時期がやってきたのではないだろうか。

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