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介護経営情報(2017年8月18日号)

2017/8/23

◆「療養病床」から「介護医療院」へのスムーズな転換を後押し
転換時は「総量規制」の対象外に、新設の場合のみ規制される

 

――厚生労働省 介護保険計画課
8月10日、厚生労働省介護保険計画課は「介護保険最新情報Vol.598」を発出。来年4月スタートの第7期介護保険事業計画における「療養病床」「介護医療院」の取り扱いについて、基本的な考え方を示した。

5月の介護保険法改正によって、来年4月からの新設されることが正式決定した介護医療院は、慢性期の医療・介護ニーズに対応する介護施設。日常的に医療を提供するべき重介護者を受け入れる生活施設として、看取り・ターミナルケア機能も有する。

この介護医療院について厚生労働省は、療養病床(医療保険適用の療養病床および指定介護療養型医療施設)から転換した場合、たとえ利用定員や入所定員が増加しても、いわゆる「総量規制」の対象外とする方針を明らかにした。一方で、介護医療院を新設する場合は、従来どおり「総量規制」の対象となると明記している。

介護保険制度における「総量規制」は、入所定員および利用定員に適用される。介護保険事業計画で定めた定員数を超えた場合、都道府県や市町村は事業者の申請を拒否することが可能だ。しかし、今回発出された厚労省からの事務連絡によれば、療養病床から介護医療院への転換時に定員数が増加しても、その「増加分は含まない」としている。いわば特例の措置であり、療養病床からのスムーズな転換を促す狙いがあることは明らか。介護医療院への新規参入を防ぎたい意図も透けて見える。

とはいえ、現在の療養病床の利用者のことを考慮すれば、そのまま転換するべきであることは間違いない。今年度末に設定されていた指定介護療養型医療施設は、廃止期限が6年間延長されているのも、当該医療機関が転換しやすいよう配慮した結果と受け取れる。

問題は、現時点で介護医療院の人員配置や施設基準、報酬などは決まっていないことだ。この機会に増員を図ろうにも、そのあたりが決まらなければ経営計画を立てることはできない。厚労省は療養病床を有する医療機関がどの程度転換するかによって、入所定員総数を設定したい意向をにじませており、「転換意向」を把握するため、療養病床を有する病院および診療所(介護療養型医療施設)を対象に調査を実施する方針も示している。その調査結果もさることながら、今後の介護報酬改定の議論によって方向性が決まっていくものと思われる。

 

◆診療報酬改定に向けた議論の第1ラウンドが終了
医療・介護の連携を重視していることが、改めて浮き彫りに

――厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会
8月9日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会総会が開かれ、来年度の診療報酬改定に向けた議論の第1ラウンドが終了したことを確認した。公表されたこれまでの議論の取りまとめを見ると、医療と介護の連携を重視する方向に進んでいることが改めて浮き彫りとなっている。

第1ラウンドで検討された項目は、「入院医療」「在宅医療」「外来医療」「横断的項目」「歯科医療」「調剤報酬」の6つ。「横断的項目」は、医科、歯科、調剤すべてに関わる内容で、「かかりつけ医機能」および「診療報酬に係る事務の効率化・合理化及び診療報酬の情報の利活用等を見据えた対応」について議論された。

この中で介護との関わりがとりわけ深いのは、「入院医療」と「在宅医療」。「入院医療」では、現状でも65歳以上の入院患者が70%以上となっていること、今後も高齢者向けの医療ニーズが高まることを踏まえ、地域包括ケア病棟入院料や回復期リハビリテーション病棟入院料、療養病棟入院基本料、認知症治療病棟入院料について時間が費やされた。中でも認知症治療病棟入院料については、介護サービスとの円滑な連携の推進を促すことが強調されている。「在宅医療」では、地域包括ケアシステムの構築推進のため、医療と介護の連携が重要となることを改めて確認。看取りを含めた対応をいかに評価するかが焦点となった。

また、75歳以上の患者の増加が著しい「歯科医療」も、介護との緊密な連携が必要となってくる分野のひとつ。とりわけ、「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所」において、介護施設や在宅医療を担う医療機関と連携している割合が高いことが指摘された。6月7日の社会保障審議会介護給付費分科会では、介護施設で「口腔衛生管理加算」を算定している施設がわずか6.5%(2016年4月審査分)だったことが問題となっており、今後介護施設が重視しなければならないポイントのひとつと言えよう。

来年度は、6年に一度となる診療報酬と介護報酬の同時改定が実施される節目。次次期の同時改定が実施されるのは2024年度であり、いわゆる団塊の世代が全員75歳以上となる2025年が目前となることを考慮すれば、来年度の同時改定は今後の介護サービスを方向づけるものとなる可能性が高いため、介護給付費分科会だけでなく、中央社会保険医療協議会で展開される議論の内容により注目が集まる。

 

◆医療介護の連携促すICT整備した事業所に評価を 日慢協
ケアマネが医療施設に介入しやすくなる報酬体系の導入も求める

――一般社団法人 日本慢性期医療協会
8月10日、一般社団法人日本慢性期医療協会(日慢協)は定例記者会見を開き、来年度の介護報酬改定に向けた提言を発表した。とりわけ注目したいのは、医療との連携を促すICTシステムを整備した事業所に対する評価や、入院中からケアマネジャーが医療施設に介入する取り組みに対しての評価を求めている点。慢性期医療を手がける医療機関側の介護サービスに対する意識の高まりを示唆しており、この提言がどの程度反映されるかによって、来年4月に創設される介護医療院への参入をはじめ、医療機関側の介護ビジネスに対する関心が高まる契機となりそうだ。

日慢協の提言は、訪問サービス、通所サービス、施設サービス、地域密着型サービス、居宅介護支援など介護サービス全般にわたったもの。訪問サービスでは、移動時間が大きな非効率性を生んでいるとして、「アクセス加算」と名付けるような移動時間や距離に応じた評価の仕組みを取り入れるべきだとした。

通所サービスでは、利用者のADL(日常生活動作)向上に対する有効率に着目。デイサービスが約10%、デイケアが約30%であることから、デイケアをより評価するべきだとしている。具体的には、3カ月を超える場合に適用される減算規定を免除することや、アウトカム評価を導入することなどを挙げている。

施設サービスでは、医療ニーズが高まっている一方で、介護保険と医療保険が混在することによって介護事業所に経営的負担が生じるケースが増えていることを問題視。現在は施設内での医療サービス提供が推奨され、介護老人福祉施設では訪問診療の利用が制限されているが、この制限を緩和すべきだとした。

また、介護老人保健施設でX線検査機器の設置が認められていない点について、誤嚥性肺炎や大腿骨骨折などのリスクを考慮し、設置の議論を行うべきだと主張。施設内の肺炎や尿路感染症などの治療に対する所定疾患施設療養費(1日300単位、7日以内)についても、薬剤・資材費や人件費を考えれば2倍以上の評価にするべきだとした。さらに、誤嚥性肺炎を予防するため、摂食嚥下リハビリテーションや栄養ケアによるフレイル予防を踏まえた口腔清拭に対する評価も検討するべきだとしている。

 

◆介護福祉士養成施設の入学者数過去最小を更新
外国人の入学者数は倍増 外国人就労の全面解禁が背景に

――公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会
公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会によれば、今年度の介護福祉士養成施設(専門学校、大学など)への入学者数は7,258人となり、過去最小数を更新した。一方、外国人の入学者数は昨年度の257人から倍増以上となる591人となった。

介護福祉士の養成校への入学者数は、13,090人だった2013年度から毎年減少している。2014年度には2,500人以上減って10,392人となり、2015年度には1万人を切る8,884人となった。昨年度は7,752人だったため、減少数はこの4年間でもっとも少ない492人だったが、下げ止まったと判断できる材料はなく、減少傾向に歯止めがかからないと見るのが妥当だ。

入学者数の減少を受け、募集停止や課程の廃止に踏み切る養成施設も増えており、入学定員数は右肩下がり。しかも、昨年度からは定員の充足率も5割を切っており、今年度は45.7%まで落ち込んだ。

給与など、介護職の待遇が低いことも原因として考えられるが、現場で求められるスキルや知識が高度化・複雑化しているのも大きな要因だろう。それが如実に表れているのが、介護福祉士国家試験の受験資格変更である。昨年度の試験から適用され、「実務経験ルート」で受験する場合は最大450時間の実務者研修を修了しなければならなくなった。たん吸引や経管栄養といった医療行為が現場で必要となっていることが理由だが、介護現場で働きながら実務者研修を修了するのは簡単なことではない。実際、今年実施された昨年度試験の受験者数は一昨年度試験に比べて半減。ただし、合格率は過去最高となる72.1%をマークしており、受験する人材の質が向上していることは明らかとなった。介護業界全体の質を底上げしていくための過渡期と見ることも可能であり、チームリーダーを担える人材を新卒で採用しやすくなったと判断すべきだろう。

また、外国人の入学者数が急増していることは、採用戦略を含めた今後の経営計画を練るうえで重要なポイントとなる。昨年11月の法改正により、介護現場での外国人就労が全面解禁された効果であることは明らかであり、スタッフに外国人を受け入れるための環境整備を検討する時期が到来したと見るべきではないだろうか。

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