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介護経営情報(2017年7月21日号)

2017/8/1

◆「特定事業所集中減算」、廃止の方向
ケアマネジメントの公正・中立を保つ新たな仕組みを検討

 

――厚生労働省
7月19日、厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会が開かれ、居宅介護支援において実施されている「特定事業所集中減算」は廃止または大幅な見直しをする方向が示された。ケアマネジメントの公正・中立を確保するため、新たな仕組みを検討する方針。

「特定事業所集中減算」は、特定の事業者に介護サービスが偏らないよう設けられた仕組み。利用者に対して作成するケアプランが、特定の事業者に対して80%以上集中する場合、報酬が減算される。たとえば、合計100件のケアプランを3つの事業者に振り分ける場合、1つの事業者に80件以上振り分けられた場合に適用される。つまり、ケアマネジャーと事業所との癒着を防ぐための仕組みであり、減算されるのは1月につき200単位(当該事業所のケアプラン数が一定数以下であるなどの正当な理由がある場合を除く)。

2015年度の介護報酬改定で、特定事業所集中減算が適用される基準は90%から80%に引き下げられた。2016年5月審査分で、適用を受けた事業所数は2,987(全体の約7.6%)と約10倍増加しており、手間が増えたとの声もある。また、良質なサービスを提供する事業所に利用者が集中するのは当然との指摘もあるほか、「一部で集中割合の調整を行うなどの弊害がある」など非合理的な施策だと、会計検査院も見直しを求めていた。

とはいえ、そもそも特定事業所集中減算は「自立支援に向けた公正中立性の担保」を趣旨とした仕組み。ケアマネジャーと特定事業所との癒着や、利用者による恣意的な事業所選びによって自立支援が阻害されないようにすることが目的となっている。そのため、現在の特定事業所集中減算を廃止した場合も、より効果的な仕組みを新たに設けてその目的を達成したいというのが、出席した委員の一致した意見だ。一部委員からは、「独立型の事業所には適用しないルールを導入」「同一グループへのサービス集中は適用対象にする」といった見直し案も出ており、廃止した場合も、形を変えて同様の減算が残ることが想定される。

 

◆「看取り介護加算」、医師配置されている特養の評価を見直しか
喀痰吸引ができる介護職員の養成をさらに促す意見も

――厚生労働省
7月19日に開かれた社会保障審議会介護給付費分科会では、介護老人福祉施設についても議論が展開された。今後さらにニーズが高まる「看取り」への対応について、医師が配置されている特別養護老人ホーム(特養)の「看取り介護加算」の評価引き上げが検討される可能性が出てきた。

特養などの介護老人福祉施設での看取りは必須ではない。しかし、特養などで死亡する利用者が多いのが現実。昨年4月~9月の厚生労働省による調査では、1施設あたり平均7.2人利用者が退所したうち、死亡退所の割合は70.4%(入院後の死亡退所と施設内死亡を含めた数値)、医療機関への入院で退所した割合は24.9%だった。

そうした実態を受け、事業者側も大半が施設で看取る方針をとっており、同調査では78.0%が「希望があれば施設内で看取る」と回答(「原則、病院に移す」が16.3%)。前回の介護報酬改定でも、施設での看取りを推進する観点から「看取り介護加算」の単位数引き上げを実施。死亡日は1,280単位、死亡前日~前々日は680単位で変わらなかったものの、死亡日以前4日~30日を80単位から144単位としている。

今回の会合では、介護老人福祉施設(特養)と認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)、特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム)の三者で「看取り介護加算」の単位が同一であることを指摘。認知症グループホームや有料老人ホームには医師配置が必要でないのにもかかわらず、特養と評価が変わらないことが問題視された。評価引き上げまで至るかどうかは不透明だが、さらなる要件の見直しがなされる可能性があるといえる。

また、看取りニーズが増すことにより、対応できる体制を整えなければならないのは必然。センサーなどICT化を促進することで、巡回の頻度や対応人数を削減することが可能となるが、より求められるのは医療的ケアだろう。喀痰吸引ができる人材を増やすことが必要なのは間違いない状況であり、出席した委員からも人材養成が急務との意見が寄せられた。喀痰吸引等研修を受けやすくするなど、金銭的なバックアップも必要となってくるため、どのような補助策が打ち出されるのか今後の議論にも注目していきたい。

 

◆医療機関に勤務する介護職員の処遇改善を提言
介護報酬と同等の加算を 日慢協

――一般社団法人 日本慢性期医療協会
7月13日、一般社団法人日本慢性期医療協会(日慢協)は定例記者会見を開き、来年度の診療報酬改定に向けて、診療報酬の地域格差を介護報酬並みに是正するなど10項目の提言を発表。介護関係では、医療機関で働く介護職員にも、介護報酬上の処遇改善加算と同等の加算を算定するよう求めた。

介護職員が従事するのは介護施設だけではない。特に療養型、リハビリ型、整形外科などの医療機関では介護職員が多く従事している。しかし、医療機関は診療報酬が適用されるため、介護報酬上の処遇改善加算は適用されない。介護職員の月給はこの4月から9,530円増となったが、介護施設に勤務していなければ対象外であり、その恩恵を受けていない介護職がいるということになる。

日慢協は記者会見で「介護職員が医療施設と介護施設のどちらに勤務するかによって賃金が異なるという状況も確認される」としており、少なくとも日慢協の会員である医療機関の中で賃金格差が生じている現状があることを示唆。介護に携わる人材にあまねく恩恵が得られるように体制を整備するべきだとした。

世界保健機関(WHO)や国連の定義によれば、65歳以上の高齢者人口が占める割合を表す高齢化率が7%を超えた社会は「高齢化社会」、14%を超えた社会は「高齢社会」、21%を超えた社会は「超高齢化社会」となっている。日本は1970年に「高齢化社会」となり、1994年には「高齢社会」、2007年には「超高齢化社会」となった。2016年の高齢化率は26.7%となっている。いわゆる「団塊の世代」がすべて75歳以上となる2025年には、高齢化率が30%に達すると予測されており、今後ますます慢性期医療の重要性が増していくのは間違いない。そうなれば、必然的に医療機関で従事する介護職員が増えていくことになるため、介護施設と待遇に差がある状況が望ましくないことは明らか。介護医療院が新設されることで、医療と介護がよりスムーズに連携していかなければならない状況でもあり、日慢協の要望は合理的なものだといえる。今後の診療報酬・介護報酬同時改定の議論の中で、この提言がどのように反映されていくのか目が離せない。

 

◆次回の介護福祉士国家試験、実施日などの概要を発表
受験書類の受付は8/9(水)~9/8(金)、受験料は15,300円

――厚生労働省
7月21日、厚生労働省は本年度の介護福祉士国家試験について、実施日や受付期間などの概要を官報で公告した。筆記試験は来年の1月28日(日)、実技試験は来年3月4日(日)となる。受験書類の受付期間は8月9日(水)から9月8日(金)。

今回、大きな変更点となるのが受験手数料だ。7月14日の定例閣議で決定されたように、今までの13,140円から2,160円増の15,300円となる。受験手数料引き上げの理由として厚生労働省は、指定試験機関である社会福祉振興・試験センターが保有する積立金がなくなったことを挙げている。この積立金は、2010年に当時の民主党政権が「過剰に積み立てられている」と指摘したことで、2014年度まで受験手数料が引き下げられていた。2015年度から元の金額に戻ったが、わずか2年の実施で従来よりも高額に引き上げられたことになる。

この引き上げ措置が影響をおよぼすとみられるのが、受験者数だ。今年実施の2016年度試験では、2015年度試験の約16万人から約7万6000人とほぼ半数まで落ち込んだ。「実務経験ルート」の受験要件に最大450時間を要する実務者研修(たん吸引や経管栄養といった医療行為を含めた内容)が新たに加わったことが要因とされているが、さらに受験者数減の引き金にならないか懸念される。

必然的に合格者数も一昨年から減っているが、一方で今年の試験の合格率が過去最高の72.1%を記録したのは朗報といえる。それだけ良質な人材が集まったことの証でもあり、受験者のレベルが上がったことを示唆していよう。とはいえ、2025年には介護人材が約38万人不足すると推測されているため、現場のリーダーを担うべき介護福祉士を増やすのは急務。国家試験を運営するうえで、受験手数料の引き上げが致し方ないものだとしても、意欲ある人材が受験しやすくなるような補助策など、有効な施策も打っていくべきだろう。もちろん、資格を得るのに値するだけの待遇を用意するのも重要なことであり、今後厚生労働省がどのような方針を打ち出していくのか注視していきたい。

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