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医療経営情報(2017年7月20日号)

◆ DPC制度 激変緩和措置完了後も上限1年の緩和措置を実施する方向 医療機関群の選択制は見送り 機能評価係数II「重み付け」は3係数を検討

――厚生労働省
7月19日、厚生労働省の中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会が開かれた。激変緩和措置については、完了後も緩和制度を実施する方針を固めた。また、医療機関群の選択制は、少なくとも来年度の次期診療報酬改定では見送られることになった。なお、医療機関群I群・II群の機能評価係数IIの「重み付け」については、効率性係数、複雑性係数、カバー率係数の3つの係数を検討対象にするとした。

DPC制度(DPC/PDPS、診断群分類別包括支払い制度)の調整係数は、2012年度の診療報酬改定以降、診療実績に基づく評価を中心とした機能評価係数IIへ段階的に置き換えることとなっている。それに伴った激変を緩和する観点から、出来高部分を含む推計診療報酬変動率が+2%から-2%になるように激変緩和措置をとっているが、置き換え完了後も医療機関別係数変動の影響が大きくなる特性があることから、対応策が検討されていた。この日の会合では、次期改定後も「一定の緩和措置」を行う方向で検討。しかし、措置を継続すれば、激変の循環となることが予測されるため、ひとまず時限的な措置とすることで先送りした格好だ。とはいえ、1年間以上の期間にはしない意向をにじませている。なお、重症度係数は、機能評価係数IIとしては廃止。診断群分類点数表を改定することで重症者への評価の精緻化を図る方針だ。

各群の役割や機能がわかりづらいと指摘されてきた3つの医療機関群については、現状維持の方向で落ち着きそうだ。これは、現時点で次期診療報酬改定に不確定要素が多いことや、改定前に医療機関群の決定をするのが難しいのが理由。必要な場合は、次々期改定以降で検討するとしているが、事実上の先送りといえる。7月5日の診療報酬基本問題小委員会では名称変更を検討する方向が示唆されていたが、どのようにするか不透明な状態となった。いずれにしても、評価内容に大きく関わる変更はなされない方針で議論が進められているのは確かだといえよう。

 

◆ 診療報酬の地域格差、介護報酬と同様の是正を 日慢協 慢性期治療病棟の新設など次期診療報酬改定に向け10項目を提言

――一般社団法人 日本慢性期医療協会
7月13日、一般社団法人日本慢性期医療協会は定例記者会見を開き、来年度の診療報酬改定に向けて、診療報酬の地域格差を介護報酬並みに是正するなど10項目の提言を発表した。

まず、高度な慢性期医療を担う病棟の新設を提言。「慢性期治療病棟」と名付けており、療養病棟入院基本料(看護配置基準20:1)の上位基準とすることを想定している。患者の急変といった一時的な急性期治療を担うことも考慮し、医師、看護師以外のメディカルスタッフの配置も必要だとした(※)。それに伴い、多職種の配置に対する評価も求めている。

※:薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、管理栄養士、介護福祉士、臨床検査技師、診療情報管理士、歯科衛生士などを挙げている。

リハビリテーションについては、急性期病院が早期リハビリテーションを実施できるようにするため、特定除外制度の廃止も視野に入れるべきだとした。高齢者のリハビリテーションで嚥下・排泄リハビリテーションが重要視されてきていることにも触れ、病棟の種別にかかわらず回数など実績に応じた統一的な評価が必要だとしている。また、リハビリテーションはアウトカムによる評価が求められるべきだとして、その評価ツールとしてリハビリテーション前後の動画を評価対象とすることも提言。アウトカム評価に関しては、リハビリテーションだけでなく、治療に対する評価も導入するべきだとした。

医療機関に勤務する介護職員に処遇改善加算が付与されていない現状も問題視。介護職員には、医療機関で働いていても介護報酬上の処遇改善加算と同等の加算を算定するべきだとした。

一般病床と療養病床が、診療報酬上の評価が異なることも指摘。療養病床で認められていない加算の例として「看護配置加算」「後発医薬品使用体制加算」「緩和ケア診療加算」「精神科リエゾンチーム加算」「医師事務作業補助加算(一部要件を満たせば算定可能)」を挙げ、評価の統一化を求めた。さらに、医師配置基準にも言及。一般病床が16:1、療養病床が48:1となっているが、差が大きいため、両者の中間レベルの配置基準を考慮し、患者の病態に柔軟に対応できるようにするべきだとしている。

そのほか、認知症患者ケアに向けた体制整備や、包括支払い制度における高額薬剤の評価などが挙げられている。いずれも現状に即した提言となっているため、今後厚生労働省がどのように受け止め、診療報酬改定の議論に反映させていくか注目される。

 

◆ 初診からの遠隔診療が解禁 メールやSNSもOK
禁煙外来は定期健診を受けていれば遠隔のみも認める

――厚生労働省
7月14日、厚生労働省医政局長は「情報通信機器を用いた診療(いわゆる「遠隔診療」)について」を各都道府県知事あてに発出。初診からの遠隔診療を事実上解禁した。禁煙外来についても言及しており、「結果として」と前置きをしながら、遠隔診療のみでの診療実施を認めている。

ビデオチャットなどを用いることで、対面でなくても医師の診療が受けられる遠隔診療は、従来原則的に禁止とされており、離島やへき地の患者などやむを得ない場合にのみ適用されていた。2015年8月に厚生労働省が事実上解禁する通知を発出したが、現行の診療報酬制度は遠隔診療の利用を考慮したものとなっておらず、通常の対面診療と比較して診療報酬加算が少ないため、導入する医療機関がなかなか増えなかった。

そうした状況を踏まえ、今年3月には規制改革推進会議が厚生労働省に明確な通知を出すことを要求。6月に臨時閣議で決定された「未来投資戦略2017」では、来年度の次期診療報酬改定で遠隔診療を評価すると明記しており、実際に改定の議論を進めるためには、遠隔診療が法的に可能な診療であることを示す必要があった。

また、今回の通知で特徴的なのは、具体的な症状として「禁煙外来」に触れたことだ。「未来成長戦略2017」では生活習慣病のみに言及されているが、昨年11月に経済産業省の産業構造審議会新産業構造部会は禁煙外来や引きこもりなども遠隔診療に適用するべきとの考えを明示。2020年の東京オリンピック開催を目前に控えて受動喫煙防止対策の強化が必要となっていることも、わざわざ言及した背景にあることは間違いない。

医療費削減の“特効薬”として外来診療の頻度を落とし、遠隔診療の普及を目指すことも十分に考えられるため、来年度の診療報酬改定である程度の評価も期待できる。医療のICT化推進と併せて、クラウド環境を活用した遠隔診療プラットフォームが格安で導入できる環境整備が進む可能性もあるため、診療報酬改定の議論を含めて今後の動向から目が離せない。

 

◆ 高度急性期・急性期の外科病棟、手術件数0件が148病棟も
全身麻酔の手術件数0件は360病棟 昨年度病床機能報告

――厚生労働省
7月19日、「第七回 地域医療構想に関するワーキンググループ」が開かれ、昨年度の「病床機能報告」の結果を発表。高度急性期機能または急性期機能を持つと報告している外科病棟2,031病棟のうち、148病棟(全体の約7%)が手術件数0件、360病棟(全体の約18%)が全身麻酔の手術件数0件であることがわかった。急性期病棟のあり方そのものに関わる問題へと発展しそうだ。

「病床機能報告」は、病院や有床診療所が4機能(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)のうちどの機能を持っているのかの調査結果。数値の報告がないこともあり、一部から実態と乖離しているとの指摘もあったが、今回の報告内容はそれを裏付けているといえる。

実際、急性期機能を持っていると報告があるのは11,459病棟あったが、救急搬送やハイリスク分娩管理加算や救急搬送診療料、経皮的心肺補助法といった12項目ある重症患者の対応で、全項目レセプト算定していない病棟はなんと9,955病棟もあった。これは割合にして約87%にもおよぶ。

外科での手術件数0件の病棟数については前述のとおりだが、呼吸器内科を標榜している高度急性期・急性期機能を持つ681病棟のうち、酸素吸入の該当なしは31病棟(約5%)、呼吸心拍監視の該当なしは40病棟(約6%)。両項目とも該当なしは24病棟(約4%)だった。数は少ないものの、1年間の実績で0件というのは、患者の受け入れに積極的でない可能性も考えられる。

こうした実態を踏まえ、今後は診療実績を定量的に示すとともに、各医療機関が選択した機能を定量的に評価する仕組みを取り入れたいというのが厚生労働省の方針だ。同会合の出席者からは、「これまで地域医療の実現に向けて各医療機関が自主的に機能分化してきた流れをせき止めることになる」といったニュアンスの発言があったが、標榜する診療科の治療が受けられない状況は、医療に対する信頼の根幹を揺るがすだけに説得力が弱い。この厚生労働省の方針を受けて、各地域の調整会議が今後どのような論議を展開していくのかぜひ注目していきたい。

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