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介護経営情報(2017年5月26日号)

2017/6/1

◆改正介護保険法が成立 「現役並み所得者」の自己負担が3割に
「総報酬割」や「事業停止命令措置」の導入も決定
5月26日、参議院本会議で改正介護保険法(地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)が可決され、成立した。いわゆる「現役並み所得者」の自己負担割合が2割から3割へと引き上げられる。来年8月から適用される予定。

介護サービスの自己負担割合は、原則として1割。しかし、単身で年金を含む所得が年280万円以上ある人は2015年8月から2割へと引き上げられた。それからわずか2年足らずで、一部の高齢者の負担がさらに増すこととなるが、10兆円超に膨らんでいる介護給付費を抑制するため、所得に応じた負担を求める「応能負担」の仕組みを導入することで介護保険制度を維持させるのが狙いだ。

3割負担の所得水準は今後政令によって定められるが、厚生労働省案によれば65歳以上の単身者の場合、年収340万円以上、65歳以上の夫婦の場合463万円以上の年収がある世帯が対象となる。同省の推計によれば、負担増の対象となるのは、介護サービス利用者全体の3%にあたる約12万人の見込みだ。

また、今回の改正では40~64歳が支払う介護保険料に関して、「総報酬割」と呼ばれる計算方法も導入される。収入によって負担が増減する仕組みで、中小企業の社員など約1700万人は負担が減るものの、公務員や大企業の社員など約1300万人の負担が増える。今年8月から保険料の2分の1に反映され、段階的に割合を増やして2020年度には全面的に実施される予定となっている。

そのほか、自立支援や重度化防止へ積極的に取り組んだ場合に財政的インセンティブが付与できる規定を整備することや、今年度末までに廃止される介護療養病床の新たな受け皿として「介護医療院」が創設されることも決定。「介護医療院」は、日常的な医療管理が可能な重介護者受け入れ施設として、看取り・ターミナル機能も兼ね備えた存在。今後、増加が見込まれる慢性期の医療・介護ニーズに対応する。現行の介護療養病床の経過措置期間は6年間となっている。

さらに、来年4月から悪質な有料老人ホームへ「事業停止命令措置」も出せるようになる。現行制度では、自治体が業務改善命令を出せるのにとどまっていたため、事業の継続に支障はなかった。しかし、今後は自治体などから再三指導を受けて従わなかったと判断されれば、「事業停止」せざるを得なくなる。とりわけ、入居者に対する虐待は厳しく見られることになるため、事業者側はこれまで以上に注意を払う必要があると言えよう。
◆高額介護サービス費、負担上限が8月から変更
「世帯の誰かが市区町村民税を負担している」場合月額44,400円に引上げ

――厚生労働省
5月19日、厚生労働省は「介護保険最新情報Vol.590」を発出。「高額介護(予防)サービス費の見直しにおける運用について」と題し、見直し全体の概要および月額上限の引き上げ、年間の自己負担額の上限額について各都道府県の介護保険担当課(室)に通知した。

高額介護サービス費とは、1カ月に支払った利用者負担額の合計が決められた額を上回った場合、その分が払い戻される制度。現在、現役並み所得者に相当する人がいる世帯は上限額が44,400円、「世帯の誰かが市区町村民税を負担している」場合は37,200円、「世帯の全員が市区町村民税を負担していない」場合は24,600円(そのうち、前年の合計所得金額と年金収入額の合計が年間80万円以下の個人は15,000円)、生活保護を受給している人は15,000円となっている。

その中で、「世帯の誰かが市区町村民税を負担している」場合は、今年8月1日から月額上限額が37,200円から44,400円に引き上げられる。また、急激な負担増を避けるため、世帯内の全員が自己負担割合1割に該当する世帯は、自己負担額の年間合計額の上限が446,400円に設定される。これは3年間の時限措置となる。中には、65歳以上であっても要介護認定を受けておらず、自らの負担割合を把握していない人もいるため、対象者に対して適切に周知するべきと厚労省は強調している。

なお、年間合計額の基準日は、毎年7月31日。その日に「世帯全員が市区町村民税を負担していない」場合でも、その後の1年間の所得金額によっては、「市区町村税を負担する」可能性もある。そうなると、年間合計額が446,400円を超えてしまう場合があるが、「より負担能力の低い世帯に年間上限の対象としないことはバランスを欠く」として、7月31日の時点で「世帯全員が市区町村民税を負担していない」世帯は、新たな年間上限の対象となるとしている。同様に、7月31日時点で自己負担割合2割の人がいる世帯や、現役並み所得がある世帯については、年間上限の対象外となるので注意が必要だ。
◆介護福祉士などの「保育士資格」取得が容易に筆記試験の3分の1を免除
来年度にも導入し保育士不足解消を促す

――厚生労働省
5月24日、厚生労働省は「保育士養成課程等検討会」を開催。福祉系国家資格所有者が保育士の試験を受験する際、筆記試験の3分の1を免除する方針を明らかにした。来年度にも導入する考えだ。

筆記試験免除の対象となるのは、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士の資格所有者。全9科目ある筆記試験のうち、「社会福祉」「児童家庭福祉」「社会的養護」の3科目が免除となる。

こうした措置が検討されているのは、女性の働き方が多様化することによって、保育所などの利用率が上昇していることが背景にある。しかし、保育士不足は深刻化しており、保育士の有効求人倍率は2014年1月時点で1.74倍(全国平均)。今年度末までに約9万人が不足するとの推計もある。

そこで、保育人材確保策として、2015年6月に閣議決定された「日本再興戦略」で福祉系国家資格所有者の保育士資格取得への対応が求められた。そもそも、保育士資格を取得するには、大学・短期大学・専門学校など厚生労働大臣が指定する保育士養成施設を卒業するか、毎年1回実施される「保育士試験」を受験して合格する必要がある。介護福祉士などの福祉系国家資格保有者が保育士資格を得ようとする場合、保育士試験を受験する可能性が高いため、受験へのハードルを低くするために、福祉職でも重複する科目を免除するというわけだ。

また、厚労省は介護福祉士や保育士、看護師について、養成課程の一部を共通化する方針も固めており、今後はより福祉・保育系の国家資格を複数取得しやすくなる。それぞれのキャリアプランが幅広くなるとともに、介護施設もしくは保育施設にとっては、双方の分野に対応できる人材が増えることにもつながる。いわゆる「共生型福祉施設」のように、高齢者と子どもたちのふれあい・交流を図ることで相乗効果を促す施設を運営することも視野に入れられるだろう。そうした意味でも、福祉系国家資格所有者に保育士資格受験を促しやすくなるため、どのような形で制度化されるのか、今後も目が離せない。
◆介護福祉士などの「保育士資格」取得が容易に筆記試験の3分の1を免除
来年度にも導入し保育士不足解消を促す
5月26日、政府は2017年版の首都圏白書(2016年度首都圏整備に関する年次報告)を閣議決定した。それによると、首都圏では2025年度に介護人材の不足率が平均17.5%となり、全国平均の14.9%を上回ると推計。需給ギャップは約14万人にのぼるとした。

同白書によれば、首都圏では高齢化率30%を超える地域が拡大中。全国的に倍率水準が高い介護サービス業の有効求人倍率は、昨年12月の段階で約4倍となっており、全国が約3倍であるのに対して人手不足が深刻化していることがわかる。

人手不足解消のためには、処遇改善や育成の促進とともに、介護ロボットやセンサーといった新技術を活用することで生産性を向上させる必要性を指摘。また、訪問介護に要する移動時間を減らすため、都市のコンパクト化や密度アップ、公共交通の利便性向上も有効だとした。

注目したいのが、人材確保を図ることができるとして挙げられた事例だ。群馬県高崎市の10階建ての多機能型住居で、1・2階に市営福祉センター「高崎市シルバーセンター田町」や子育て支援を行う「高崎市子育てなんでもセンター」があり、3~6階には特別養護老人ホーム(民間が運営)とサービス付き高齢者向け住宅が入っている。そして、7~10階は市が管理する住宅となっており、入居資格を「市内で介護、保育、看護職として働く人や、これらの分野を学んでいる学生」としているのである。

もちろん、家賃にも優遇措置が設けられている。高崎市の家賃相場は1Kが42,000円、1LDKが62,000円(LIFULL HOME’S調べ)だが、昨年10月に募集した時点では1Kが25,000円、1LDKが35,000円と格安。もちろん、このビル内の施設でなくても、同市内の福祉施設で介護士として働いていれば入居可能であり、家賃補助が出ているのと同様の状態であるため、介護人材にとっては魅力的だ。

この取り組みは、介護事業者にとってビジネスチャンスにつながる可能性がある。大規模なビルとなると資金面での問題もあるが、自治体と連携を図ることは十分に可能であり、少なくとも「住」の面で職員の処遇改善につなげられるため、人材確保が期待できるのが大きい。新たに施設をつくろうと考えている事業者にとっては、一考に値する考え方と言えるのではないだろうか。

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