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介護経営情報(2017年4月21日号)

◆ロボットや見守りセンサーなどの導入で介護報酬引き上げ
人材不足解消のため、人員配置基準の見直しも視野に

――未来投資会議
 4月14日、首相官邸で未来投資会議が開催され、「新たな医療・介護・予防システムの構築」について議論を展開。会議後に安倍晋三首相は、移乗ロボットや見守りセンサーを導入した場合に介護報酬を引き上げることや、その場合に現状の人員配置基準に満たなくても特例として認めることを示唆した。2018年度の次期改定時に反映させる意向。

2014年度は約10兆円だった介護費は、「団塊の世代」が全員75歳以上となる2025年には約20兆円に達し、介護人材は37.7万人不足すると予測されている。人口減少は避けられない状況のため、人材不足を解消することはできない。つまり、介護業務に携わるマンパワーが減っても、介護の質を落とさず、むしろ高める施策を打たなければならないのである。

まさに二律背反の状況だが、それを打破する取り組みとして期待されているのが移乗ロボットや見守りセンサーである。たとえば、移乗介助は介護現場でもっともリスクの高い作業だと言われており、腰痛を発症する職員も多い。しかし、移乗ロボットを活用すれば1人で無理なく介助ができるため、相当の負担軽減につながる。見守りも、認知症を発症している利用者の場合は常に目が離せず、マンツーマンに近い形での人員配置が必要になってしまうが、センサーを活用すれば掛かりきりにならなくて済む。

ICT化の推進も、現場の負担軽減に大きく貢献する。介護記録を紙に手作業で記入することによる負担はかなり大きいが、タブレットやスマートフォンで簡単に入力できるシステムを活用することで、作業時間を大幅に削減することができるからだ。

 厚生労働省もこの問題に本腰を入れて取り組んでいる。特に、ロボットやセンサーの活用については、2018年度の介護報酬改定および人員配置基準改定でしっかりと位置づけができるようにするため、実証作業を着実に進めていきたい意向を示している。具体的な内容は今後審議会などで検討されていくが、人員配置基準が改定されればより少ない人員での運営できる可能性が高いため、コスト面を含めて介護事業者にとっては朗報となるだろう。

 移乗ロボットを含めた介護ロボットに関しては、開発段階から厚労省がバックアップしていく方針。介護施設とメーカーの間に立って開発のマネジメントを担う「プロジェクトコーディネーター」の育成・配置も実施していく方向で、今年夏までに重点分野を再検証して取りまとめ、開発計画に反映させたいとしている。いずれにしても、2018年度の介護報酬改定から盛り込まれるのであれば、介護事業所にとってロボットやセンサーの導入は喫緊の課題となるため、導入計画を至急進める必要があると言えよう。

◆AIによるケアプラン作成システム提供の新会社設立
産業革新機構、セントケア、日揮、ツクイなどが計15億円出資

4月14日、官民出資の政府系投資ファンドである株式会社産業革新機構と、全国500カ所の拠点を持つ介護大手のセントケア・ホールディング株式会社は、新会社として設立予定の株式会社シーディーアイへ共同出資することに合意したと発表。シーディーアイの資本準備金は7.5億円を予定。CEOには、現在セントケアの執行役員である岡本茂雄氏が就任する。

シーディーアイへ出資するのは、産業革新機構とセントケアのほか、国内のエンジニアリング会社の代表格である日揮株式会社、介護大手の株式会社ツクイ、そして社会福祉法人こうほうえんなどの介護サービス事業者。出資総額は15億円にのぼる。

事業として手がけるのは、AIによるケアプランの提供。自立支援・重度化予防につながるケアマネジメントを促すため、要介護者の体調や症状に合ったプランを生成していく。

もともとこの事業は、セントケアが自治体と連携して実証研究を進めてきたもの。社会実装を目的に、スピンオフの形で新会社を設立することになったという。セントケアは、「今まで蓄積してきた介護分野での知見をAIに学習させることで、いわゆる『お世話をする介護』から、『高齢者の自立を支援する介護』への転換を図る」としている。

なお、AIの精度を高めるため、長年AIの研究開発を行ってきた研究者が設立した米シリコンバレーのActivity Recognition社との事業提携も決定している。出資者である介護サービス事業者や社会福祉法人、自治体などと連携してAIケアプランを活用した調査研究を実施し、事業化を目指していく方針だ。

また、研究開発によって得られた知見は、プラットフォーム化して積極的に協業先へと広げていく意向で、介護関連企業や社会福祉法人などと協同するコンソーシアムの役割を果たしていきたいとしている。自立支援への取り組みについては、次期介護報酬改定でインセンティブの拡大が検討されているが、AIを活用することで、効率的かつ省力的な介護の提供が可能となることが予測される。「2025年問題」でより深刻化する人手不足の問題の解消につながることも期待できるのではないだろうか。

◆医療・介護向けのクラウド型音声入力サービス、モバイルにも対応
介護記録の作業が効率的かつスピーディーに 6月にリリース予定

――株式会社アドバンスト・メディア
4月14日、音声認識ソリューションの企画・設計・開発を手がけている株式会社アドバンスト・メディアは、クラウド型音声入力サービス「「AmiVoice CLx(アミボイス シーエルエックス)」をモバイルにも対応させると発表。6月よりリリースされる予定だ。

アドバンスト・メディアは、2015年1月に話すだけで介護記録や診療録の作成ができる「AmiVoice CLx」の販売を開始。今回、モバイルに対応した「AmiVoice CLx Mobile」をリリースすることで、利用領域の大幅な拡大が期待される。

たとえば、訪問介護のときに手書きで記録をすると、オフィスに戻ってからの転記作業が必要となる。必然的に勤務時間が長くなり、転記作業のために残業するケースも少なくない。そうなると人件費も嵩むため、非効率なうえに余計なコストもかかるという悪循環に陥りがちだった。

現在、モバイルで入力できる介護記録システムは多いが、オフィスに戻る必要はないものの、現場で落ち着いて入力するのは容易ではなく、次の訪問先の時間が迫っていれば後回しにならざるを得ない。その点、音声入力ならば作業後のごく短時間でも要点を記録しておくことができるため、内容を忘れてしまうリスクも軽減できる。

なお、「AmiVoice CLx Mobile」は、スマートフォンで音声入力したデータをテキストに変換し、Bluetooth経由で転送する仕組みとなっている。そのテキストデータを介護記録にコピー&ペーストして、必要に応じて編集すればいい。単語登録機能が搭載されているので、人名など特定の固有名詞を登録しておけば、より利用しやすい。定型文や雛形となる文書をテンプレートとして登録しておくことができるのも、使い勝手がいいと言える。

現在、対応しているのはiOSアプリのみ、ハードウェアはiPhone6以降と利用できるデバイスが限られているのが難点だが、月額1,200円からとリーズナブルなのは魅力。今後、Androidにも対応できるようになれば、より導入しやすくなるサービスとなるだろう。クラウド型のため、新たにデバイスを導入する必要がなく、初期投資を抑えられるのもメリットであり、事業所の規模の大小にかかわらず導入を検討する価値があるサービスだと言えよう。

◆医療・介護情報共有システムの無料提供を開始
地域包括ケアに取り組む自治体や医師会向けに

――株式会社カナミックネットワーク
4月17日、介護ソフトの開発・販売を手がける株式会社カナミックネットワークは、医療・介護向け情報共有システム「カナミッククラウドサービス」の無料提供を開始したと発表した。地域包括ケアシステムの構築に取り組む自治会や医師会が対象。

「カナミッククラウドサービス」は、自治体や医師、ケアマネジャー、介護職員など多職種間で情報を迅速に共有できるプラットフォーム。今回、無料で提供されるのはタイムライン機能の部分で、写真や文書のやりとりも含めたチャットが容易にできる。クラウド型のサービスであるため、それぞれが持っているスマートフォンやタブレット、パソコンでそのまま利用することが可能だ。

ちなみに有料サービスを利用すれば、バイタル情報や家族情報、カレンダー機能、お薬手帳などの各種情報を一元的にマネジメントできる。他社製品の介護事業ソフトや電子カルテなどとの連携も可能なため、機能拡張したいときにも便利で、業務の効率化に役立つことは間違いない。

なお、この有料サービスは2016年9月時点で370地域の自治体や医師会に導入済み。3月30日に沖縄の那覇市医師会に採用されたときには、株式市場(東証マザーズ)も敏感に反応し、カナミックネットワーク株は一時ストップ高となる6,680円を付けた(4月25日時点では5,010円)。介護に対する世間の関心が高まっていること、そして多職種間での情報共有システムに期待が集まっていることの表れと言えよう。

今回の無料提供は自治体や医師会向けのため、介護事業所が申し込むことはできないが、もし導入されていない自治体であれば、無料でのテスト導入を働きかけることもひとつの手だ。地域包括ケアシステムの構築に際して、重要なポジションを占めることにもつながるため、所在する自治体が同種のシステムを導入しているかどうかを調べるだけでも価値があるのではないだろうか。

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