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介護経営情報(2017年3月10日号)

◆最新の介護用品・サービスを紹介する展示会をベトナムで開催
高齢化へと加速するアジア各国へ「日本型介護」の輸出を目指して

――独立行政法人日本貿易振興機構
 3月4日と5日の2日間、独立行政法人日本貿易機構(JETRO)は、ベトナムの首都・ハノイで日本の最新の介護用品やサービスを紹介する展示会を開催した。官民が連携してアジアに向けた「日本型介護」の展開を目指している現在、介護事業者の海外進出を後押しする取り組みが次々に実施されており、こうした動きは今後さらに活発化することが予想される。

世界保健機構(WHO)や国際連合によれば、高齢化率(総人口に占める65歳以上の人口の割合)が7%を超えた社会を「高齢化社会」、14%を超えた社会を「高齢社会」、21%を超えた社会を「超高齢社会」と定義している。日本は、1970年に初めて「高齢化社会」となり、1994年には「高齢社会」に、そして2007年には「超高齢社会」へと突入しており、世界でも類を見ない速度で高齢化が進行している。

しかし、急速に高齢化が進んでいるのは日本だけではなく、アジア各国も同様。今回、JETROが展示会を開催したベトナムは、昨年3月に世界銀行が発表した報告書によると、2015年に65歳以上の人口が全体の7%となる630万人を突破し、「高齢化社会」に突入。今後、14%を超える「高齢社会」となるまでに要する期間はわずか18年と推測されており、これは日本が要した24年より6年も早い。ちなみに、中国やシンガポールは、「高齢化社会」から「高齢社会」になるまでに25年かかると言われており、ベトナムがアジア各国の中でも圧倒的なスピードで高齢化が進行していることがわかる。

一方で、アジア各国では日本ほど介護施設が充実していないのが現実。当然、介護人材も育っていないことから、経済連携協定(EPA)を締結するベトナム、インドネシア、フィリピンの3カ国から介護福祉士候補者の受け入れを要請されている。昨年11月に、外国人技能実習制度に介護職を追加して在留期間を3年から5年に延長することを決定したのは、こうした背景があるからだ。

これらの状況を踏まえ、2月には「日本型介護」を海外へ積極的に展開していくことを目的とした官民連携の「国際・アジア健康構想協議会」が発足。「日本式介護技術・サービス等の国際標準策定」や「現地の制度、文化に関する情報の共有」、「アジア地域内の官民ネットワーク構築」、「事業者間の連携、協力関係の円滑化」などに取り組んでいく方針を固めており、今後も今回の展示会のような取り組みが次々に行われることは間違いない。海外進出を視野に入れている介護事業者にとっては、こうした動きから今後も目が離せないと言えよう。

◆排泄予知ウェアラブル「DFree」がグランプリを受賞
経産省主催の「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2017」

――経済産業省
3月3日、経済産業省が主催する「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2017」の最終審査が行われ、トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社の排泄予知ウェアラブル「DFree」がグランプリを受賞した。トイレ誘導の“空振り”や不要なおむつ交換、それらに伴う記録に要する時間を大幅に削減でき、介護職員の負担を軽減できるツールとしてさらに注目を集めそうだ。

 「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2017」は、ヘルスケア分野の社会的課題の解決に挑戦する優れた団体・企業を発掘・表彰するコンテスト。経済産業省が主催し、今回は昨年に続いて2度目の開催で、「ヘルスケア産業のNEXT STAGE」というテーマのもと、122件の応募が集まった。3日の最終審査では、事前審査を通過したファイナリスト6社による公開プレゼンテーションが行われた。

 グランプリを受賞した「DFree」は、排泄のタイミングを予知する機能を搭載したウェアラブルデバイス(体に装着して利用する端末)。下腹部にシールで装着し、超音波センサーで腸や膀胱の動きを検知。排泄までの時間をスマートフォンやタブレットなどに通知する仕組みとなっている。具体的には、「DFree」をつけている人のトイレへの誘導やおむつ交換のタイミングが、天気予報のように表示され、排泄の記録も自動的に反映される。

 「DFree」を開発したトリプル・ダブリュー・ジャパン社は、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社と提携して排泄ケア支援システムのトライアルを実施したほか、昨年11月には総合コンサルティング企業のアクセンチュア株式会社との協業を発表。「DFree」普及に向けた研究やサービス開発を進めてきた。

 介護施設において、要介護者の排泄ケアは大きな負担のかかる業務のひとつ。認知症を発症している場合はもちろん、そうでない場合も、本人が想定しているより動きが鈍くなっていてトイレに間に合わないケースがある。そのため、トイレ誘導が“空振り”に終わったり、必要でないのにおむつ交換を行ったりすることも多い。その点、「DFree」を活用すれば効率的な排泄ケアが可能となり、職員の負担軽減にもつながる。実際、介護施設で行った実証実験では、大幅に効率化できたとの結果も出ているという。トリプル・ダブリュー・ジャパン社は、さらに小型化および高精度化を進めていく意向なので、今後の動きにもぜひ注目していきたい。

◆介護職員初任者研修の資格取得を無料で支援
介護の派遣・転職支援サービス「きらケア」の登録者が対象

――レベレジーズキャリア株式会社
3月6日、介護職に特化した派遣・転職サービス「きらケア」を運営するレバレジーズキャリア株式会社は、介護職員初任者研修の資格取得を無料で支援する制度を開始したと発表。対象者は「きらケア」の登録者で、主婦やフリーターなどの無資格者へ積極的にキャリアアップのサポートをしていく方針。

レバレジーズキャリア社が無料で資格取得支援を行うようにしたのは、1月29日に実施された介護福祉士国家試験の受験者数が約8万人と例年より半減したのがきっかけ。公益社団法人日本介護福祉士会が「質の担保なくして量の確保を図ることは困難」と声明を発表したことを受け、同社のサービス経由で働く人材を全員有資格者にすることで、介護人材の質向上に貢献したいと考え、無料資格取得支援制度を創設したのだという。

この制度の対象となる資格は、介護職の入門資格である介護職員初任者研修。通学での授業と自宅学習を組み合わせた通算130時間のカリキュラムを用意する。カリキュラムは実習と座学で構成する予定で、受講時間帯は平日、土日、夜間の3パターンから自由に選択可能。勉強できる時間が限られている主婦も含め、働きながら受講できるというわけだ。最短1カ月、週1回の通学でも4カ月程度の受講で資格取得が可能な設計としているのも、働きながら学びたい人材のニーズに応えていると言える。

同社によれば、最短1カ月、週1回の通学でも4カ月程度の受講で資格取得が可能だとし、まず1年間で100名、5年後の2022年3月までに累計1,500名の有資格者を輩出したいとしている。また、質・量ともに充実した人材を業界に供給することを目指し、介護職員初任者研修だけでなく、今後は上位資格である介護職員実務研修、介護福祉士までサポート対象を広げていく方針。2025年には介護人材が40万人近く不足することが見込まれている現在、人材を育成していくことは業界全体の大きな課題となっており、そのための体制を整えようとしている同社の取り組みは評価に値する。また、「きらケア」は派遣サービスも行っていることから、介護事業者にとっては繁忙期や一時的に人材が不足しているタイミングに人材を補給するリソースとして役立てることもできよう。今後は同じ派遣会社がこうした取り組みに力を入れ始めることも予想できるため、派遣業界の動向にも注視していく必要があるだろう。

◆地域包括ケアシステムを支援するクラウド型プラットフォーム
名古屋大学が開発 「IIJ電子@連絡帳サービス」

――株式会社インターネットイニシアティブ
3月1日、日本で最初に商用サービスを開始したインターネットサービスプロバイダとしても知られる株式会社インターネットイニシアティブは、「IIJ電子@連絡帳サービス」を4月1日から提供開始すると発表した。在宅医療に携わる介護・医療の関係者の連携を支援するクラウド型情報共有プラットフォームとして、政府が2025年までに構築を目指す「地域包括ケアシステム」を支えるインフラの役割を担いたいとしている。

「IIJ電子@連絡帳サービス」は、名古屋大学医学部附属病院先端医療・研究支援センターが開発した情報共有ツール「電子@連絡帳」を商用化したもの。在宅医療を手がける地域の診療所などの医療機関だけでなく、急性期病院や回復期病院、薬局、そしてケアマネジャー(介護支援専門員)や介護スタッフなどとも情報を迅速に共有できる仕組みとなっている。そのため、各専門職が対象となる要介護者を訪問しなくても常に状況を把握でき、訪問前に最適な介助方法の計画を立てることができる。

介護・医療にまつわる高度な個人情報を扱うため、気になるのはセキュリティ環境だが、「医療情報関連ガイドライン」に準拠したセキュリティ基盤を備え、システムへのログインは電子証明書によって実施。安全に介護・医療情報を関係者間で共有できるのも、同サービスの強みと言える。

インターネットイニシアティブ社は、全国の自治体や医師会、医療法人をターゲットとして販売を行っていく意向。つまり、介護事業者にとっては地域の医療機関と連携するのが同サービスの現実的な活用法だが、視点を変えると別のビジネスチャンスが見えてくる。

ポイントは、在宅医療の主導権をどの事業者が握るかという点だろう。現在は、医療機関が指揮を執って在宅医療を実施しているのが現状だが、日本医師会が2月15日に発表した「かかりつけ医機能と在宅医療についての診療所調査 結果」によれば、医師の49.8%が「在宅患者に対する24時間対応」に負担の大きさを感じており、今後新たに在宅医療に取り組みたいと考えている診療所はわずか6.4%という結果だった。年々在宅患者が増えている状況を鑑みれば、医師のマンパワーが不足しているのが大きな原因であることは明らかだが、介護の要素が強い在宅医療に、医師が業務として馴染めていないということも十分に考えられる。

そうした意味では、24時間体制で介護を実践している介護事業者のほうが、本質的には在宅医療のノウハウに長けているのは間違いない。いきなり病院を経営するのは資本的にもノウハウ的にもハードルが高いが、診療所であればM&Aも活発に行われている現状がある。今後、混合介護が解禁される可能性も考慮すれば、医療の分野へと事業の幅を広げていくのもひとつの方法ではないだろうか。

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