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介護経営情報(2017年1月13日号)

2017/1/16

◆官民連携の新協議会を設立し、優良介護事業所の情報を海外に提供
自立支援や重度化防止への取組みを重視 近く第1回会合を開催

――厚生労働省
 塩崎恭久厚労相は、1月10日の定例大臣会見で、アジア各国に介護サービスの輸出を目指す「アジア健康構想」について言及。官民が連携して具体的な対応を行うため、近く官民連携の新協議会を設立し、第1回会合を開催する予定だとした。

 「アジア健康構想」は、安倍晋三首相が本部長を務める健康・医療戦略推進本部で検討が進められ、昨年7月に基本方針が決定されたもの。日本と同様、急速に進むアジア各国の高齢化を支援するため、日本の介護事業者の進出を促していく取り組みだ。もちろん、きめ細かく質の高い対応を行う「日本式介護」の技術を売り込むことで、介護事業者の増収を後押しつつ、メイドインジャパンの福祉用具や介護ロボットの輸出拡大へとつなげる狙いもある。

 一方、技術や製品だけでなく、人材を育成するのも重要な支援となる。今まで、経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者を2,000人以上受け入れてきたが、昨年11月には参議院本会議で、在留資格に「介護」を新設する「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案」および「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」が成立。介護現場での外国人就労が全面解禁されたため、幅広く海外から人材を受け入れることが可能となった。

 そこで、日本での就労を希望する海外人材に対し、優良な事業所を選びやすくするため、新たに設立される官民連携の協議会で情報提供を行う方針。塩崎厚労相は会見の中で「人材確保の面も含め、具体的なテーマについて順次検討していく」としており、優良事業者の基準をどこに設定するかは今後決定されるが、介護保険法の理念である自立支援や重度化防止を促す介護を実施している事業者が選ばれるのではないだろうか。

 また、塩崎厚労相は会見で、自立支援につながるサービスを行ったか否かの記載が現状の介護記録から読み取れないことを問題視。医療と介護、健康診断などのデータを集積してビッグデータ化していくことで、「科学的な裏付けに基づく介護」の実現に向けて力を入れていきたいと力を込めた。海外人材の受け入れにICTの利活用と、介護を取り巻く環境は激変期を迎えていることは間違いなさそうだ。

◆老健、「在宅強化型」が好調 2015年度経営状況調査
経営安定化のためには「従来型」からの転換が必要か 

――独立行政法人福祉医療機構
昨年12月26日、独立行政法人福祉医療機構は「平成27年度 介護老人保健施設の経営状況について」と題したレポートを発表。いわゆる「従来型」の施設が事業収益を減少させ、赤字施設の割合を拡大させた一方で、「在宅強化型」は事業収益が増加し、赤字施設割合を減少させたことを明らかにした。

このレポートは、同機構の融資先である介護老人保健施設(老健)から提出された決算書をもとに取りまとめたもの。今回は開設して1年以上が経過している973施設を対象に分析を行った。

特徴的だったのは、50%以上の在宅復帰率や10%以上のベッド回転率といった高い在宅復帰機能が求められている「在宅強化型」の好調ぶり。2015年度の介護報酬改定で基本報酬単価が約1.6%減少したにもかかわらず、事業収益は231万3000円増加している。従事者1人あたりの人件費は449万9000円と前年度から8万6000円増加しているため、事業利益率は前年度から0.3ポイント低下した6.1%となっているものの、ターミナルケアに力を入れていることから、ある程度人件費が嵩むのは想定内とも言える。むしろ、赤字施設割合は前年度から2.5ポイント低下した16.0%に落ち着いているため、「在宅強化型」の経営状況は改善傾向にあることがわかる。

逆に、「従来型」は事業収益が265万8000円減少したうえに、従事者1人あたりの人件費は8万5000円プラスと、「在宅強化型」とほぼ同額増加。事業利益率は0.3ポイント低下の7.2%、赤字施設の割合は2.0ポイント増えて16.7%となっており、経営状況は悪化傾向にある。

また、注目したいのは通所利用率と事業収益との相関関係。「在宅強化型」の通所利用率は、黒字施設と赤字施設を比べると11.4ポイントも差があり、通所利用率が高いほど事業収益および事業収益率が高いという結果が出ており、入所利用率だけでなく、通所利用率を高めることが黒字転換につながることがわかった。

同レポートでは「短期間の老健への入所を含んだ持続可能な在宅生活を送れるよう医師やリハビリ専門職と連携してリハビリ計画を作成し、利用者家族の負担も少しでも和らげられるようなきめ細やかな通所サービスを提供していくことが必要となる」と分析している。

老健は、病院から在宅復帰までの中間施設であり、介護と医療の双方の領域にまたがる重要なポジションにある。自立支援や重度化防止を促す介護が求められている現在、その果たすべき役割は非常に大きい。特別養護老人ホームの待機場所としてではなく、「従来型」から脱却してリハビリテーション機能を強化しつつ医療体制を整え、通所利用率を高めていくことが、介護業界で生き残るために必要だと言えるのではないだろうか。

◆介護施設検索サイトと連携した「介護の相談窓口案内サービス」を開始
自動音声案内システムで介護事業者や弁護士とアクセス可能に

――日本法規情報株式会社
1月10日、相談ジャンルごとに専門家検索プラットフォームを提供している日本法規情報株式会社は、「介護の相談窓口案内サービス」の提供を開始すると発表。介護ニーズを持つ利用者とのスムーズなアクセスが可能になることで、介護事業者のビジネスチャンス拡大に貢献することが期待される。

同サービスは、株式会社エス・エム・エスが運営する介護施設検索サイト「かいごDB」の利用者向けに提供。「かいごDB」には有料老人ホームやサービス付きデイサービス、訪問介護、福祉用具貸与など全国30万件以上の介護事業所情報が掲載されており、目的に応じた情報を検索することができる。

しかし、細かい希望に合わせて適切な施設を探すのは決して簡単ではないため、相談窓口の存在価値は高い。また、単に施設を探すだけでなく、相続の準備や必要な手続きなど、介護から派生する各種問題の解決を望む利用者も少なくないのが実情だ。

そこで、同サービスでは介護事業者のみならず、弁護士や税理士などの専門家にもアクセスできるように、相談内容を適切に分類できる独自の音声案内システムを導入。日本法規情報が運営するサービス「相談サポート」に登録する全国約3000事務所の弁護者税理士などとのアクセスも可能にしている。

「介護離職」が年々増え続けている昨今、介護ニーズは右肩上がりに高まっていくことが予想される。「介護の相談窓口案内サービス」は、現在のところ「かいごDB」利用者のみが対象だが、今後同種のマッチングサービスが続々と登場するのは間違いない。介護事業者としても、こうしたチャネルを増やしていくことが利用者拡大につながることが期待されるため、今後の動向に注目していきたいところだ。

◆厚労相顕彰の「安全優良職長」に介護人材が初選出
腰痛や転倒防止、メンタルヘルス対策への取り組みを評価

――厚生労働省
昨年12月14日、2016年度の「安全優良職長厚生労働大臣顕彰」に、介護人材が4名選ばれた。介護業界からは初めての選出となる。1月10日に、厚生労働省講堂で顕彰式典が開催された。

「安全優良職長厚生労働大臣顕彰」は、優れた技能と経験を持ち、現場での作業の安全を確保して優良な成績を挙げた職長(安全のキーパーソン)を顕彰するもの。1998年度から毎年度実施されており、今回で19回目となる。2016年度は143名が選ばれた。

顕彰の基準として挙げられているのは、「職長等としての実務経験10年以上」「過去5年以上、休業4日以上の災害が発生していない」「職務に必要な資格を持ち、各種安全衛生教育を受け、安全管理や作業指揮などの能力が優秀と認められている」「安全管理に関する部下の指導教育を行うとともに、その知識・技能の普及や継承に向けて積極的に活動している」の4項目。そのすべてに該当する必要がある。今回選出された4名は、介護業務に伴う腰痛や転倒の防止、メンタルヘルス対策に積極的な取り組みを行ったことを評価された。

式典に出席した堀内詔子厚生労働大臣政務官は、労働災害が長期的に減少してきたことに触れたうえで、「現場に密着した安全衛生活動は日本が誇るべき強み」とし、現場の安全力を途切れることなく高めるべきだと発言している。

介護現場では、排泄や入浴などの介助をはじめ、ベッドから車イスへの移乗など、要介護者を抱えたり支えたりする必要がある。しかも、相手に怪我を追わせるリスクがあるため、筋肉に対して過度な持続的緊張が起こり、腰痛につながる可能性が高い。

介護従事者の負担を軽減するため、介護ロボットの開発も進んでいるが、非常に高額であるため、介護施設に十分配備されるまでには少なくない時間がかかるだろう。それまでの間も安全な環境を維持するには、やはり現場の安全に対する意識向上が欠かせない。2000年に介護保険制度がスタートして16年、そうした意味でも、今回4名が初選出された意義は大きいと言えよう。

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