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介護経営情報(2016年12月23日号)

2017/1/10

◆2018年度の介護報酬改定に向け、2017年初頭から集中議論を開始
中医協、介護給付費分科会の意見交換で医療・介護の連携進める

――厚生労働省
12月21日、厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)の総会が開かれ、2018年度に迎える介護報酬と診療報酬の同時改定に向けて、検討項目と進め方が提示された。

介護事業者に支払われる介護報酬は3年ごとに、医療機関に支払われる診療報酬は2年ごとに見直されており、2018年度の改定は双方が重なる6年に1度の機会。介護も医療も検討するべきことが山積しているため、効率的に適切な議論を行う必要がある。

そのため、中医協はまず、来年当初から集中的に検討を始めたい意向を示した。具体的なスケジュールとしては、夏頃までを第1ラウンドと位置付け、各検討項目の経緯や主な論点について取りまとめる。第2ラウンドは秋頃までとし、具体的な方向性を定めて、年末までの第3ラウンドで改定の基本方針を固めていく方針だ。
同日の総会で提示された中で、介護報酬に関わる検討項目として注目したいのが、「医療と介護の連携」。療養病床や施設系サービスにおける医療や、訪問診療・訪問看護、歯科訪問診療、薬剤師の訪問を含めた在宅での医療、そして病状が比較的安定している患者の自立支援を促す維持期のリハビリテーションが具体的に挙げられた。

これらについて、中医協では「診療報酬と介護報酬との連携・調整をより一層進める観点」から、中医協総会と介護給付費分科会(中医協と同じく厚生労働相の諮問機関で、主に介護報酬についての議論を行う)で意見交換を行う場を設ける意向を表明。具体的な議論は中医協で行うとした。

年々増え続ける社会保障費をいかに抑制するかは、政府の最重要課題。その意味で、介護報酬と診療報酬の同時改定は非常に大きな意味を持つ。2017年度予算での社会保障費は、概算要求よりも1400億円の圧縮に成功して5000億円の自然増に抑えたが、今後も増え続けるのは確実。消費税率10%への引き上げは2019年10月まで延期されるため、新たな財源を確保することができない状況でもある。議論の方向性によっては、介護事業者にとって経営戦略を見直す必要が生じる可能性もあり、議論の行方を常にウォッチしていく必要があると言えるだろう。
◆特養の約5割が人材不足、うち1割は利用者受け入れを制限
賃金を他福祉施設より高く設定するも、離職率の高さに悩む

――独立行政法人福祉医療機構
12月20日、独立行政法人福祉医療機構は「『介護人材』に関するアンケート結果」を公表。回答した特別養護老人ホーム(特養)のうち5割近くが人材不足に悩み、そのうち1割強は利用者の受け入れを制限していることがわかった。賃金については、周囲の福祉施設と比較して高めに設定している施設が7割近くにのぼったが、昨年度で4人以上の退職者が出た施設は7割以上あり、10人以上が退職した施設も2割以上と、離職率の高さが浮き彫りになった。

同アンケートは、ウェブ上で今年7月25日から8月12日の間に行われた。対象となったのは、3,365の特別養護老人ホーム。有効回答数は770、有効回答率は22.9%だった。

人材不足だと回答したのは、全体の46.9%。そのうち、利用者の受け入れ制限をせざるを得ない施設は11.9%もあり、人材不足が経営を圧迫している様子が窺える。

人材不足への対応策としては、96.1%の施設が求人活動を行っている。正規職員募集で効果のあった採用経路については、新卒、中途ともに「ハローワーク」がもっとも多く、新卒の場合は学校の就職課経由での採用が次いで多い。その次に多かったのが「職員からの紹介」だが、関係が深いだけに採用率は高いことは予想できるものの、ネットワークに限界があるため、安定的な人材確保の手段とは言いがたく、採用活動に苦戦していることがわかる。

広く人材を募るには、求人サイトなどのメディアが効果的だが、効果があったと回答する施設は少ない。新卒の場合は「新卒者採用サイト」の効果があったと回答する施設がもっとも多かったが、その数は69施設。中途の場合は「新聞折込広告」を挙げる施設がもっとも多く、180施設だった。

一方、退職者数も多い。1人も退職者がいなかったとする施設の割合は、わずか2.6%。4人以上が退職したと回答した施設は70.3%もあり、10人以上が退職した施設も20.6%と、離職率の高さが目立つ。

特養側も、こうした状況を打破しようと懸命だ。今年度に昇給を実施した施設は全体の93.5%と積極的な待遇改善に取り組んでいる。24.2%の施設が月額平均1万円以上の昇給を行っており、2カ月分以上の賞与を支給している施設は87.1%と9割近い。4カ月分以上の賞与を支給している施設の割合は39.7%にものぼっており、「周囲の福祉施設と比較した賃金水準」を「やや高い」「高い」と自己評価している割合が74.3%に達しているのも頷ける。政府も来年度から、介護職員の基本報酬を1万円以上引き上げることを決定していることもあり、介護人材の待遇は着実に改善されつつあると言えよう。

しかし、アンケートでは「本人の理想と現実のギャップ」を離職の原因とした声も寄せられているほか、「フォローや新人研修が不足している」といった声もあり、介護業界の人材不足の原因が待遇以外にもあることは明らかだ。今後は、個々のキャリアをサポートしていくことも、人材不足解消のために求められるのではないだろうか。
◆ニュータイプの「パワードスーツ」開発に約11億円を投資
従来製品より格段に軽い布状で、新たな介護ツールとして期待

――グローバル・ブレイン株式会社
12月21日、独立系投資ファンドのグローバル・ブレイン株式会社は、人間の筋力を拡張する外骨格ロボット(パワードスーツ)、「パワードクロージング」を開発するアメリカのSuperflex社に出資を実行したと発表した。Superflex社が調達できたのは、総額で960万ドル(日本円で約11.3億円)。グローバル・ブレイン社はリードインベスター(複数から投資を受けている企業の主導的な役割を担う投資ファンド)として、Superflex社の開発を支援していく。

Superflex社が開発している「パワードクロージング」は、伸縮性の高い布状の素材を使用。関節部分の突起などもなく、まるで衣服のように装着できる。全体の重量も2kg前後と至って軽く、従来製品よりもスムーズに人間の動きを拡張できる。そのため、従来製品のように介護者が介助するために利用するだけでなく、要介護者が装着して歩行や生活の基本動作をアシストすることを想定している。まさに、本質的に自立支援を促す介護ツールと言えよう。

なお、Superflex社は、パソコンのマウスや、iPhoneに搭載されているSeriを生み出した世界最大規模の研究機関であるアメリカのSRI Internationalのロボティクス(ロボット工学)部門から分離独立したスタートアップ企業。CEOはロボティクス業界の第一人者として知られ、アメリカ国防総省のDARPA(アメリカ国防高等研究計画局)のプロジェクトで開発された技術を民間転用したのが「パワードクロージング」なのである。

アメリカのスタートアップ企業のリードインベスターを日本の独立系投資ファンドが務めることになった背景には、日本の高齢化率が世界随一であることが挙げられる。今後、介護市場が巨大化することが見込まれるため、従来製品よりも大幅な軽量化とコストダウンが予想される「パワードクロージング」の将来性は非常に高い。BtoC需要までにらんで低価格化を目指していることもあり、介護施設の規模を問わずに導入できる可能性も高い。現在、2018年の販売を目指してプロダクトの開発が進められており、安全性の検証結果やどのような価格帯を打ち出していくのか、注目していきたいところだ。
◆IoTセンサーとクラウドの連携で月額500円の低価格を実現
サ高住の見守り管理に最適な「お部屋の見張り番」が1月に開始

――株式会社エスト
12月12日、防犯機器や介護用機器およびシステムの企画・開発・製造・販売を行っている株式会社エストは、サービス付き高齢者向け住宅などの施設向けに、見守り管理サービス「お部屋の見張り番 CS-700/CS-600」を2017年1月10日より開始すると発表。機器レンタル料込みで年間6,000円と、月額500円で利用できる低価格な設定となっており、夜間などの人的コスト削減に役立ちそうだ。

「お部屋の見張り番 CS-700/CS-600」は、IoTセンサーとクラウドを連携させたサービス。センサーで検知した情報をWi-Fiからインターネットを通じ、クラウドへ送信させる仕組みとなっている。管理する介護事業者側は、タブレット端末やスマートフォンからもリアルタイムで状況を把握できる。

センサーは、人の動きの頻度や部屋の明るさ、温度や湿度などを検知。さらに、クラウドの学習効果によって、通常の起床・就寝時間と異なる時間に活動していることが続くとアラート通知がなされる仕組みも搭載している。

エアコンのスイッチを、管理者側のタブレット端末やスマートフォンから遠隔操作できるのも注目したい。エアコンのつけ忘れによって発生する熱中症の予防にもつなげることができるというわけだ。

CS-700とCS-600の違いは、「連絡ボタン」「外出ボタン」の有無。これらが装備されているCS-700を導入すれば、入居者が外出の際に「外出ボタン」を押してもらうことで、不在時間を明確に把握することができる。入居者にできるだけ負担をかけない運用をする場合は、両方とも装備されていないCS-600が適しており、入居者の希望や状況に応じて選ぶのがよいだろう。利用料金はどちらも変わらない。

また、管理画面のトップに、スタッフ間の連絡事項を掲示できるスペースも用意することで、よりスピーディーな情報共有も可能。クラウド型なので場所を問わず過去の活動時間の履歴を参照できるほか、必要があれば日報や月報としてプリントアウトできる。日々の記録業務に必要な時間を短縮できるほか、夜間の常駐を減らすこともできるため、大幅なコスト削減につながるのもメリットのひとつと言えよう。

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