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介護経営情報(2016年11月11日)

2016/11/18

◆「自立支援での要介護度改善」で報酬アップを前向きに検討
取り組みを行わない事業所は報酬を下げる可能性も

――未来投資会議
11月10日に首相官邸で開かれた未来投資会議で、安倍晋三首相は「介護のパラダイムシフトを起こす」と明言。介護保険制度を、「自立支援」に軸足を置いて設計し直し、2020年から本格稼働させたいとした。要介護者を減らすことで介護費を抑制し、社会保障費の増加傾向を食い止めようとする強い意志を示した形だ。

介護保険法では、「自立支援がその目的」と明記されているが、実際の介護は入浴や排泄、食事といった介助が中心で、自立支援の取り組みが広く行われているとは言いがたい。しかし、自立支援に取り組むことで着実に成果を挙げている例も多い。同会議でも、要介護度5で移動は車イス全介助、アルツハイマー型認知症とも診断されて特別養護老人ホームに入所した93歳の女性が、自立支援介護を実施することで半年後に歩行器歩行ができるまでに回復した例が紹介された。
安倍首相は、こうした事例紹介を受けた形で「介護が要らない状態までの回復をできるかぎり目指す」と表明。また、「要介護度が下がっていく達成感を要介護者ともに味わえることは『専門職としての働きがい』にもつながる」とし、介護人材のモチベーションアップにも役立つと指摘した。さらに、こうした取り組みを先端モデルとして世界に発信し、アジアをはじめとする周辺諸国での介護人材の育成・還流につなげる構想も明らかにしている。

具体的には、まず2017年秋までに「自立支援のための介護の構造化・標準化」を図るとした。状態に応じた適切な介護や、自立支援を促す介護の内容について取りまとめ、介護現場での標準的な取り組みとしていきたい意向だ。
また、要介護度を改善させた事業所には報酬をアップさせる方向で検討を進めていることも明らかにした。そのために、2018年度の介護報酬改定で、インセンティブ措置の導入を目指すとしている。一方で、標準化された自立支援の取り組みを行わない事業所に対しては、ディスインセンティブになる仕組みを盛り込み、報酬を下げることも検討。賞罰式を取り入れることに賛否両論が起こることが容易に予想されるが、首相および政府の社会保障改革に対する強い決意の表れとも言えよう。介護事業者にとっても、本腰を入れて取り組まなければならない事案になるのではないだろうか。

◆首都圏の首長、介護職員の基本報酬引き上げや
介護職のイメージアップキャンペーンを政府に要請

――九都県市首脳会議
11月4日、東京都知事ら首都圏の首長9名で構成される九都県市首脳会議は、介護職員の処遇改善を求める要望書を政府に提出した。介護職員の基本報酬引き上げや、新たなキャリアパスの仕組み構築のほか、介護職のイメージアップ戦略の促進など、人手不足解消への早急な対策を求めた。

九都県市首脳会議(座長:林文子横浜市長)は、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県の知事、横浜市・川崎市・千葉市・さいたま市・相模原市の市長で構成され、全国人口の約3割を占める首都圏の広域的課題解決に取り組んでいる。
11月4日に厚生労働大臣および一億総活躍担当大臣あてに提出された「介護人材の確保・定着対策の推進について」と題した要望書によると、2025年までに全国で37.7万人の介護人材が不足されると見込まれる中、11.1万人を首都圏の九都県市で占めているとした。併せて、2015年度の有効求人倍率が、全職種の1.11倍に対して2.68倍という高さだったことにも触れ、事態の深刻さを指摘した。そのような状況にもかかわらず、介護職員の賃金水準が他産業と比較して低いことに危機感を露わにした格好だ。

処遇改善策として提示したのは4点。第一に提示しているのが、介護職員の基本報酬引き上げ。すでに政府は、アベノミクスの成長戦略のひとつとして「介護離職ゼロ」を掲げ、2017年4月に月額平均1万円程度の引き上げを決定している。しかし、さらなる引き上げを促すことで、人手不足解消を目指すのが狙いだ。
併せて、介護職員の経験や能力が賃金へ適切に反映されるキャリアパスの仕組み構築を要望。介護サービスの質向上を図りながら、介護職員のモチベーションを保つための施策であり、こちらも早急な実現が望まれる。

また、実際の処遇だけでなく、介護の仕事のイメージアップも図るべきだとした。具体的にはマスメディアを活用したキャンペーンを例に挙げている。さらに、介護福祉士修学資金貸付制度にも言及。現在、5年間実務に従事すれば同資金の返還は免除されるが、3年間に緩和することを求めた。負担がかかる期間を短縮することで、介護福祉士を目指す人材を増やしたいとした。これらの要望を受け、今後厚生労働省がどのような施策を打っていくのか注目されるところだ。

◆クラウド型医療・介護連携サービスがNEC「ID-Link」と連携
介護現場と医療機関の連携がより緊密に

――株式会社ワイズマン
10月11日、電子カルテや介護ソフトの開発・販売を手がける株式会社ワイズマンは、日本電気株式会社(NEC)との提携を発表。ワイズマン社の医療・介護連携サービス「MeLL+(メルタス)professional」とNEC社の地域医療連携ネットワークサービス「ID-Link」を連携させ、地域包括ケアの一層の進展に貢献したいとした。

ワイズマン社の「MeLL+professional」は、2014年にリリース。医療介護関係者間の情報共有を支援するクラウドサービスとして、約500の事業所で導入されている。スマートフォンやタブレットに対応しており、介護職員やヘルパーが介護施設の利用者の状態を書き込めば、関係者間ですぐに情報を共有できる仕組みだ。
介護施設と医療機関と連携させるのが大きなポイントで、既往歴やアレルギー、どのような薬を使用しているかといった情報とも紐付けられるため、急な症状にも迅速な対応が可能。スマートフォンやタブレットさえあれば、クラウドで情報が共有できるため、担当者が急に変わったとしてもスムーズに情報が引き継がれるのも大きな特徴と言える。

一方、NEC社の「ID-Link」は、複数の医療機関で同意患者の診療情報を共有できるネットワークサービスで、37都道府県約6000の事業所で利用されている。かかりつけ医以外でも、すぐに患者情報にアクセスできるため適切な対応ができるが、専用ネットワークを使用しているため、外部のサービスとの連携が難しく、介護現場といかに連携するかが課題となっていた。

今回の両社の提携によって、「ID-Link」は画面から直接「MeLL+professional」にアクセスできるようになり、介護施設利用者の直近の介護記録を把握できるようになった。介護施設利用者が当該医療機関を利用する際、迅速に適切な対応ができるため、より充実した地域包括ケアが可能となったと言えよう。

2025年には病床数を約20万床削減する政府の方針もあり、今後は在宅医療がより重要となってくるため、介護施設と医療機関の連携はより緊密にしていく必要がある。そうした現状をサポートするツールとして、「MeLL+professional」と「ID-Link」の存在感はより高まっていくことが予想される。

◆「記録作業」の時間の削減に役立つ
介護業務記録ソフト「Notener」が登場

――アイホン株式会社
インターホンやナースコールシステムを製造販売しているアイホン株式会社は、11月15日から介護業務記録ソフトウェア「Notener(ノートナー)」を発売する。介護施設における記録業務を効率化するソリューションであり、業務時間削減と介護職員間の情報共有を実現するのに役立ちそうだ。

「Notener」は、介護の業務記録をタブレットからいつでも簡単に入力できるソフトウェア。介護施設で実際に利用されている帳票を参考に、画面の見やすさやスムーズな操作性に留意して開発されている。
能面も、介護現場ならではのユーザビリティに配慮。同じ画面の中で、業務予定や注意事項を確認しながら実施した作業内容を簡単操作で記録できるため、別途スケジュール表やメモを用意する必要がない。また、「業務日誌」や「ケース記録」「申し送り事項」など、複数の記録先へ同時に登録できるのも特徴。転記する煩わしさがなくなるため、大幅な業務時間削減を実現できる。
さらに、業務記録に合わせて介護施設利用者のアセスメント情報を入力できるため、介護サービスの質の向上にもつなげることが可能だ。これらの情報をすべて一元管理できるのも見逃せない。介護現場とマネジメント側双方にとってメリットがあるソフトウェアだと言えよう。

特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの介護施設では、介護業務の記録を残す必要があるが、現在は手書きで記録している現場がほとんど。介護記録は多岐にわたるため、「記録作業」に多くの時間が費やされているのが現状で、残業時間が増えている要因のひとつだ。そのため、介護事業者にとっては経営の負担となっており、こうしたソフトウェアの導入は経営改善の一助となることが見込まれる。

また、アイホンでは同ソフトウェア導入に際してコンサルティングサービスも実施。コンサルタントを派遣し、運用のサポートをしてくれるほか、データをいかに活用するかの改善提案までコンサルティングしてくれるため、幅広い課題解決にも役立つのではないだろうか。

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