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介護経営情報(2016年10月7日号)

2016/10/12

◆外国人の訪問介護への従事が解禁へ  
事業者は研修実施やマニュアル整備が必要に

――厚生労働省
厚生労働省は10月4日、「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」を開き、外国人介護福祉士が訪問介護サービスにも従事できるようにする方針を固めた。来年4月から実施する意向。現在、外国人介護福祉士の働き場は、特別養護老人ホームなどの施設に限定されているが、急速に進む高齢化と深刻化する人手不足を解消するため、事業者側が労働力を確保しやすくするのが狙いだ。

対象となるのは、経済連携協定(EPA)に基づいて来日し、日本の介護福祉士国家試験に合格した外国人。2008年度以降、介護福祉士と看護師の候補者をインドネシア、フィリピン、ベトナムから受け入れてきた。累計受け入れ人数は、今年9月時点で3国合わせて3800人を突破している。

外国人の介護福祉士候補者は、原則として受け入れ施設で働きながら国家試験の合格を目指す。4年間の滞在が可能(看護師候補者は3年間)で、国家資格を取得すれば介護福祉士として滞在・就労でき、在留期間の更新回数に制限は設けられていない。年々、外国人の介護福祉士国家試験合格率はアップしており、今年3月の合格率は50.9%と過去最高を記録。累計合格者数は402人となっている。

厚生労働省はこれまでも、外国人介護福祉士の増加を促すため、国家試験の全設問の漢字にふりがなをつけるほか、一般受験者の1.5倍の試験時間にするなど配慮。受け入れ介護施設への日本語講師の派遣費用の助成も行ってきた。さらに、4日に開かれた「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」では、母国語の相談窓口拡充など、外国人介護福祉士への支援強化案も議論された。

また、雇用する事業者側に求めるガイドラインを策定する方針も決定。「日本の生活様式や習慣などの研修」や「緊急時の対応マニュアルの整備」、「一定期間の指導者の同行」などを盛り込む予定だ。

なお、訪問介護サービスに就労するにあたり、日本語能力試験を新たに義務付けることはしない方針。適切に従事できる語学力を備えているかどうかは、事業者もしくはサービス責任者の判断に委ねられる。これまで働き場が特養のみだったのは、訪問介護の際に高齢者の自宅でのマンツーマンの対応でトラブルが起こる可能性を考慮されてのものだったこともあるため、日本語講師による研修を増やすなど、現場レベルでの支援策強化が必要になると言えよう。
◆首相 医療・介護分野に最先端技術の積極的活用を
介護負担を軽減させ、社会保障費抑制にもつなげる
安倍晋三首相は10月2日、京都市で開かれたSTSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)に出席。スピーチの中で、センサーやロボットなどの最先端技術を医療・介護分野で積極的に活用し、かねてから成長戦略のひとつとして掲げてきた「健康長寿社会の実現」につなげたい考えを示した。

安倍首相は「サイエンスとテクノロジーが、高齢化や生産性の伸び悩み、健康増進といった社会のいろいろな課題に取り組むうえで、もっと重要な役割を果たす世の中を長期戦略として目指す」とし、センシングやロボット、通信、ビッグデータ、クラウド・コンピューティングの技術を融合させてそれらの諸課題を解決できる世の中を「ソサエティ5.0」と命名。介護分野では、高齢者の体調を24時間365日チェックできる無線センサー技術や、筋力の落ちた高齢者を補助するロボットスーツを例に挙げ、介護負担の軽減に役立てたいとした。

医療分野では、生活習慣病のひとつである糖尿病の予防に触れた。血糖値が一定ラインを超えると警告音を鳴らす腕時計など、独自の提案を披露。同時に「いろいろな生活習慣病に要している医療費は10兆円と巨額で、教育予算よりも大きい」と述べ、予防によって医療費の削減を実現し、伸び続ける社会保障費の抑制につなげたい意向を表した。そのために、最先端技術を搭載した各種機器の迅速な実用化への期待をにじませた格好だ。
◆「混合介護」の解禁で介護市場は新たな領域へ
規制改革推進会議 大幅な規制緩和も視野に

――政府 規制改革推進会議
政府の「規制改革推進会議」は10月6日の会合で、介護保険と保険外のサービスを組み合わせて行う「混合介護」を容認する方向で検討することを明らかにした。

現在、介護報酬の対象とならない保険外サービスを同時に提供する「混合介護」は、原則として禁止されている。たとえば介護対象者のペットの散歩や、本人以外の家族向けの食事の用意をすることもできず、現場での柔軟な対応が困難だった。結果的に利用ニーズに対応しきれていない状況が続いていたと言える。また、利用者の10割負担となる保険外サービスは、介護報酬よりも高い料金を設定できなかったため、事業者側も積極的に取り組めないのが実情だった。

こうした状況にまず声をあげたのは公正取引委員会だ。9月5日に「介護分野に関する調査報告書」(注1)を発表。特別養護老人ホーム(特養)の運営に関する規制緩和や、保険内・保険外のサービスを組み合わせる「混合介護」の導入、サービス価格の自由化を提言した。

9月12日に開かれた、具体的な成長戦略案を立てる「未来投資会議」の初会合でも「介護は保険外サービスとの組み合わせが必要」とし、翌9月13日には塩崎恭久厚生労働相が「高齢者やその家族、あるいは働く方々にとってプラスになり、トータルとして前進できる政策を実行していく」と明言。立て続けに政府周辺から関連発言が飛び出している現状を踏まえると、早期に介護分野の規制緩和が行われ、介護マーケットで新たなビジネスが生まれる土壌が急激に醸成される可能性がある。

注1:「介護分野に関する調査報告書」の調査方法

1 株式会社等、社会福祉法人、自治体に対する書面アンケート調査(有効回答数:株式会社等483社,社会福祉法人469法人,自治体420団体)
2 利用者等に対するウェブアンケート調査(回答者数:居宅サービス利用者等304名,居宅扱い施設介護サービス利用者等306名,施設サービス利用者等321名)
3 株式会社等、社会福祉法人、自治体、学識経験者等の計42者に対するヒアリング調査
4 有識者から介護分野の実態等に関する意見を聞くための意見交換会(全2回)
◆全国約20万箇所!職場の口コミが一堂に
求職者向けサイト「ジョブコメ介護」がスタート

――長谷川キャリアサポート株式会社
介護従事者の人材派遣や介護士転職サイトを運営する長谷川キャリアサポート株式会社は、10月6日に介護業界に特化した転職口コミサイト「ジョブコメ介護」をスタートさせた。

長谷川キャリアサポートは、人材派遣・紹介を主事業としながら、介護士転職サイト「スマイルSUPPORT介護」や、介護施設の管理職向け転職サイト「ハイクラス介護求人」を運営してきた。その経験から、転職を繰り返す求職者は「入職当初と条件が異なっていた」、「思っていた環境と異なっていた」、「入職前に施設の情報をもっと知りたかった」との不満を持っているケースが少なくないという。

そこで、ミスマッチを防ぐため、職場の情報収集をより詳細に行えるプラットフォームとしての口コミサイトを開発。同社が提携する全国約20万箇所の介護施設・事業所の情報提供を目指している。

また、単に口コミを掲載するだけでなく、閲覧者が口コミを書き込むユーザーの感情に極力左右されないよう配慮。客観的な指標を重視して76の評価項目を用意し、各施設・事業所の実態を可視化することを目指している。求職者が最適な職場を見つける材料となるのと同時に、職場の詳細な情報が明らかになることで介護施設・事業者の質向上にもつながり、より働きやすい環境に改善されていくことも期待できよう。

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