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医療経営情報(2016年6月16日号)

2016/6/20

◆高度管理医療機器認証基準の策定計画を公表 厚労省
2016年策定対象 汎用人工呼吸器、麻酔システムなど22

――厚生労働省
厚生労働省は6月8日、「高度管理医療機器に係る認証基準の策定計画」(2016年度)を公表した。
厚労省では、高度管理医療機器に係る認証基準の策定を計画的に進めることを目的として、2014年11月に「高度管理医療機器に係る認証基準の整備計画」を定め、年度ごとに認証基準を策定する医療機器を選定し、策定計画を公表している。
これは2013年の薬事法改正(2014年11月25日施行)により、高度管理医療機器の認証基準が定められ、登録認証機関での基準適合性認証の審査が可能となったことに伴い認証基準を策定するためのもの。具体的に「適用期間」「実施方法」が定められており、計画は2018年度末までに「高度医療機器の選定」と「基準策定プロセス」を示し、基準策定などを進めるとしている。

策定計画は、2014年11月に施行された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性確保等に関する法律」により、認証基準が定められた高度管理医療機器は、国による承認に代わり国が登録した民間の第三者認証機関(登録認証機関)による基準適合性認証を受けることで製造販売できるようになったことを受けて取りまとめられた。
機器の選定は次のいずれの条件満たす必要がある。
公的な規格類を基本とし、登録認証機関が有効性、安全性、品質を確保できる条件を客観的に判断でき、明確な基準が作成できること
関係業界から認証移行の希望があり、関係業界で高度管理医療機器の基準原案の作成が行われること
「既に作成された認証基準が活用できるもの」「認証審査の状況を確認し高度管理医療機器(クラスⅢ)の中で比較的リスクが低いもの」から検討を進めること

2016年度の策定対象となったのは、汎用人工呼吸器、成人用人工呼吸器、新生児・小児用人工呼吸器、麻酔システム、麻酔システム用人工呼吸器、超音波吸引器、汎用冷凍手術ユニットなど、22の医療機器(いずれもクラスⅢ)となっている。

今後の革新的な医療機器の開発、審査業務増への対応策
 これまで厚生労働大臣が指定した比較的リスクの低い管理医療機器については、基準を定めたものから国に登録された民間の第三者認証機関(「登録認証機関」)による基準適合性認証が行われている。2005年度から現在まで827認証基準が制定され、管理医療機器の多くが認証移行されている。
 一方、リスクが高いとされる高度管理医療機器については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(「PMDA」)が審査を行い国が承認を行う仕組みとなっており、2004年度から現在まで、承認審査の高度化及び迅速化を図るための取り組みとして審査人員の増強を行い、申請相談事業の拡充や新医療機器、改良医療機器、後発医療機器といった申請品目の審査内容や審査時間に応じた審査体制(3トラック審査)の整備を行ってきた。

 今後、ソフトウェアやロボット技術の進歩より、それらを活用した革新的な医療機器が開発されることが予想され、なお一層の申請相談や審査業務の増加も予測される。そのため、これまでPMDAで培った審査の視点を基準として明確化し、登録認証機関による基準適合性認証を高度管理医療機器にも適用拡大することによってPMDAが革新的な医療機器の審査に注力できるような対策を検討することが必要とされ対応策が練られてきた。

◆医療事故、届け出しやすく基準統一へ 今月末に省令改正
各都道府県に協議会を設置するなどの見直し案明らかに

――厚生労働省
厚生労働省は6月9日、「医療事故調査制度」について、これまでばらつきがあった報告基準を統一するため、各都道府県に協議会を設置するなどの見直し案を明らかにした。同省から同日開かれた社会保障審議会医療部会に医療事故調査制度の運用改善策が報告された。
この制度は、昨年10月に始まったもので、予期しない死亡事故の報告と院内調査を全ての医療機関に義務付けている。6月下旬に省令などを改正して運用を改善する。
この医療事故調査制度は、運用開始当初、対象となる事故は年間1300~2000件と推定されていたが、今年4月までの7カ月間に第三者機関「医療事故調査・支援センター」に報告された件数は想定より大幅に少ない222件にとどまった。
この背景には、届け出が遺族から行えないこと、医療団体ごとの基準にばらつきがあること、医療機関の消極姿勢や報告基準のあいまいさがあること――などが理由に指摘されており、自民党の作業部会が見直しに向けた議論を進めていた。

医療事故かどうかの判断基準や院内調査の方法は、医師会や病院団体、学術団体などの支援団体と、第三者機関の「医療事故調査・支援センター」で「支援団体連絡協議会」(仮称)を各都道府県と全国レベルに設置し、意見交換をしながら統一していく。医療機関の管理者が全死亡例を把握できるようにも定める。
遺族らがセンターに相談した際、届け出対象が分からなくても、遺族の求めに応じて相談内容を医療機関にセンターが伝えられるようにする。ただし、調査指示はしない。
また、医療機関の同意を得て、センターが院内調査報告書の内容の確認・照会もできるように明確化する。支援団体や医療機関の研修を充実し、優良事例を共有していく。
異状死の警察への24時間以内の届け出を義務づけた医師法21条については、医療行為と刑事責任などで関係者の間に様々な意見があるとして「(公布2年となる今月24日の見直し)期限までに法改正はできない」とした。

今年5月の医療事故報告受付は30件 日本医療安全調査機構
日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)は6月10日、2016年5月における「医療事故調査制度の現況報告」を公表した。
医療事故報告の「受付件数」は30件(累計251件)。内訳は、病院からの報告が27件、診療所からの報告が3件だった。診療科別では外科7件、内科3件、消化器科3件、循環器内科3件。地域別では、関東信越14件、近畿5件、東海北陸4件、九州4件、北海道1件、東北1件、中国四国1件の順だった。

また、「相談件数」は109件(累計1,250件)。内容による集計では127件(複数計上)で、「医療事故報告の判断」関連が25件(19.7%)、「手続き」関連が39件(30.7%)、「院内調査」関連が25件(19.7%)、「センター調査」関連が5件(3.9%)、その他が33件(26.0%)だった。「医療事故調査報告」(院内調査結果)は13件(累計78件)。センター調査の依頼は0件(累計2件)だった。

◆「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表
1類医薬品ネット販売、サイトの3割で不備 厚労省

――厚生労働省
厚生労働省は6月10日、「医薬品販売制度実態把握調査」の結果を公表した。この調査は、薬局・薬店が医薬品の販売に際し、店舗やインターネットで消費者に適切に説明を行っているかどうか等についての実態調査である。消費者が日常的に薬局・薬店で購入できる医薬品の販売の実情を一般消費者からの目線で調査し、販売の適正化を図るのが狙い。

平成27年度は、前年度に引き続き一般用医薬品のインターネット販売(特定販売)に関する法施行後の状況や要指導医薬品の店舗での販売状況を含めて調査が行われた。調査は、(1)薬局・店舗販売業の店舗販売(対象は全国の薬局・店舗販売業者5005件)、(2)薬局・店舗販売業の特定販売(対象は一般用医薬品インターネット販売サイト516件)――などに関して行われた。この調査は、厚労省が委託した民間会社(ソフトブレーン・フィールド)の調査員がサイト経由購入を行うことで実施。期間は2015年11~12月。
調査結果では、正式解禁されたインターネットでの市販薬(一般用医薬品)販売について、販売業者側に第1類医薬品の取り扱いでは法令で義務づけられている「情報提供」をしていないサイトが約3割にのぼったことが明らかとなったことで、厚労省はこの結果を重く見ている。

副作用のリスクが比較的高い第1類の市販薬は、薬局での対面販売で薬剤師が書面を用いて説明するよう医薬品医療機器法で定められている。当然、ネット販売でもメールや電話などによる薬剤師の情報提供が義務づけられている。
第1類の販売時にサイトからメールなどで情報提供があったのは71%(14年度53%)にとどまり、うち薬剤師が情報提供したと確認できたのは82%、残りは不明だった。事前に年齢や症状などの状況を入力させている割合は90%で、14年度の84%より改善した。実店舗の薬局など5005店の調査では、第1類販売時は90%で情報提供があったが、法定の書面での説明は74%(14年度71%)にとどまった。

厚労省は、調査結果の分析として、店舗での要指導医薬品の販売における「購入者が使用者本人であることの確認があった」ことやインターネット販売での第1類医薬品の販売における「情報提供があった」ことなどの項目で、前回に比べて改善が見られたものの、「依然、ルールが徹底されていない。自治体とも連携して改善を指導したい」としている。
今後、事業者に対する実態確認、改善指導を行うとともに、関係団体に制度の遵守徹底を依頼し、販売制度の定着に取り組むとのコメントが出されている。

【主な調査結果】
○要指導医薬品(店舗(店頭)販売に関する調査)
大半の項目で9割程度が遵守(法的根拠規定)されていたが、「購入者が使用者本人であることの確認があった」のように遵守が不十分なものも見られた。
「購入者が使用者本人であることの確認があった」:85.2%
「使用者の状況について確認があった」:91.8%
「(購入者への)情報提供があった」:83.3%
「薬剤師により情報提供が行われた」:96.9%

○第1類医薬品(店舗(店頭)販売、インターネット販売に関する調査)
店舗(店頭)における販売とインターネットにおける販売を比較すると、一部の項目では店舗(店頭)販売の方が遵守されている割合が高くインターネット販売における販売ルールの徹底に課題が見られた。
法的根拠に基づく行為 店舗(店頭)販売 インターネット販売
「使用者の状況について確認があった」 89.6% 90.0%
「(購入者への)情報提供があった」 90.0% 71.4%
「薬剤師により情報提供が行われた」 94.1% 82.0%
「購入者からの相談への適切な回答があった」 98.8% 94.3%
「薬剤師により相談への対応が行われた」 94.6% 71.2%

◆厚労省、介護職員の処遇調査を今年度も実施へ
介護従事者処遇状況等調査 次期改定にも生かす

――厚生労働省
厚生労働省は6月9日、第20回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会を開催した。この日、厚労省は「介護従事者処遇状況等調査の実施案」を提示し、専門家で構成する同委員会から賛同を得て今年度も調査を行うことに決めた。

調査は、2015年度から再編・上乗せされた介護職員の「処遇改善加算」によって、「実際の賃金はどれくらい上がっているのか」――その詳しい状況を改めて把握するためとしている。今月15日に予定されている「介護給付費分科会」で承認を取り付け、本格的な準備に着手する予定だ。
調査の目的には、2018年度の次の介護報酬改定を見据えた動きで、具体的な議論のための基礎資料として活用する考えも含まれる。調査時期は2016年10月、公表時期は2017年3月予定。対象は特養や老健、訪問介護、通所介護、グループホーム、居宅介護支援などの施設・事業所に在籍する介護従事者などが対象。およそ1万ヵ所に調査票を送るという。実施されている「処遇改善加算」の種類やその使途、賃上げの額、給与の水準などを尋ね、加算を算定していないところにはその理由も聞く。

調査項目は、①施設・事業所票――給与等の状況、介護従事者等の処遇状況、利用者数等、②従事者票――性別、年齢、勤続年数、勤務形態、労働時間、資格の取得状況、兼務の状況、基本給額、一時金の額等。
「介護職員処遇改善加算の届出状況」、「平均給与額等の状況」、「給与引き上げ以外の処遇改善状況」など、基本的には前回を踏襲する。

ただし前回2015年度調査からの変更点として、処遇改善加算の届出を行わない理由のうち、(1)「対象の制約のため困難」、「事務作業が煩雑」と回答した場合で、さらに具体的な事情を調査する項目、(2)キャリアパス要件(ⅰ)またはキャリアパス要件(ⅱ)を満たすことが困難と回答している事業所については、さらに具体的な事情を調査する項目をそれぞれ設けるとしている。その他の項目は形式的な変更を除き前回調査からの変更は行わない。

この日の報告では、今年3月に公表された前回の調査結果について、常勤職員の平均給与は改定の前後で比べると約1万2000円増えていた。厚労省は、今年度の調査で加算を届け出ない理由や要件を満たせない原因など一部の質問を改善し、実情をより詳しく掴めるようにするとしている。

政府はすでに、「介護離職ゼロ」の実現に向けた施策を盛り込んだ「ニッポン1億総活躍プラン」のなかで、介護職員の賃金を来年度から月1万円程度引き上げると約束している。具体的な手法は未定で、来年度予算の編成過程で協議するという。今年の年末には大枠を固める方針だが「1万円アップ」はハードルが高いと杞憂する声が出ている。最終的な政府の判断は、次の介護報酬改定まで視野に入れたものとなる公算が大きいとみられる。「ニッポン1億総活躍プラン」では、「介護保険制度の下で対応することが基本」との認識を示している。

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