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介護経営情報(2016年4月29日号)

2016/5/9

◆安倍首相、介護士、保育士「新たに2%相当の賃上げ」表明
一億総活躍国民会議 5月の「総活躍プラン」に盛り込む

4月26日、政府の一億総活躍国民会議が開催された。安倍晋三首相自らが会議議長を務める同会議で保育士や介護士の待遇改善について「新たに2%相当の処遇改善を行う」と述べ、賃金を引き上げる方針を表明した。今後、財源確保の上で、2017年度から実施する。保育士として技能や経験を積んだ職員については、賃金を上乗せすると説明。介護士の給与引き上げも併せて表明し、保育や介護分野での人材確保につなげる考えを示した。
いずれも5月にまとめる「ニッポン一億総活躍プラン」に盛り込む。安倍首相は加藤勝信一億総活躍相に対し、来月中の閣議決定に向け作業を加速するよう指示した。
 
この日の会議では子育て・介護の環境整備を議題に取り上げた。特に保育・介護人材の確保などについて議論が活発に行なわれた。会議の構成委員の総合意見としてまとめると、ほぼ全員が待遇改善、具体的には賃金アップしないと根本的な解決策にはならない、ということに足並みを揃えていたことと、その財源手段として消費税アップの提案が複数人からあったことなどが同会議を加速させるアクセルとなった。

同会議の議長でもある安倍総理は「保育・介護人材の確保のためにはニッポン一億総活躍プランにおいて総合的な対策を取りまとめることが必要」とし「第一に処遇改善、第二に多様な人材の育成・高齢者等の活用、第三に生産性の向上を通じた労働負担の軽減、やりがいを持って安心・快適に働ける環境の整備といった点について、財源を確保しつつ、2017年度から実行する」と語った。

安倍晋三総理は今年1月の衆院本会議で、同一労働同一賃金と均等待遇について「日本一億総活躍プランでは『同一労働同一賃金の実現に踏み込むことにした』。その策定にあたっては一億総活躍国民会議において、均衡待遇に留まらず、均等待遇を含めて検討して頂く」と前に進める考えを述べている。

安倍総理は均等待遇、均衡待遇についての政府としての解釈として「均等待遇は仕事の内容や経験、責任、人材活用のしくみなど諸要素が同じであれば同一の待遇を保障すること」とし「均衡待遇とは仕事の内容や経験、責任、人材活用のしくみなどの諸要素に鑑み、バランスの取れた待遇を保障することととらえている」と説明している。
 そのうえで、安倍総理は「これまで我が国においては直ちに均等、均衡の待遇を直ちに図ることについては課題があるとして、その在り方について調査研究を行ってきた。その成果の一つに非正規雇用で働く方の均衡待遇の確保に取り組んできた。さらに取り組みを強化したい」と語った。さらに「我が国の雇用慣行に留意しつつ、待遇改善に実効性のある方策を打ち出したい」とした。今回、安倍首相は介護士、保育士が競合する他産業と賃金差がなくなるよう処遇改善すると明言した形になった。

自民党は4月21日の「1億総活躍推進本部」の会合で、政府が5月にも策定する「ニッポン1億総活躍プラン」に向けた提言をまとめた。「介護離職ゼロ」を実現できる環境をつくるため、サービスを支える介護職員の処遇を改善すべきと明記。キャリアアップの仕組みの構築を進めつつ、平均で月1万円相当の賃上げを来年度から実施するよう要請した。必要な財源には、税収の上振れ分などアベノミクスの成果を充てるよう求めている。出席した加藤勝信1億総活躍担当相は、「この提言を『プラン』にしっかりと活かしていきたい」と述べた。

◆病院など医療・福祉の労働災害頻度は製造業より高い 
厚労省調査 全産業で度数率・強度率が下降、死傷者大幅減

――厚生労働省
厚生労働省は4月26日、2015年における「労働災害状況(規模100人以上の事業所調査および総合工事業調査)」の概況を公表した。
調査は、主要産業における労働災害の発生状況を明らかにすることが目的。調査範囲は全国で、調査の時期は平成27年1月から同年12月までの状況について、平成28年1月1日から1月20日に調査を行った。対象は事業所調査が約3万2,000事業所、総合工事業調査が約5,000工事現場。有効回答率は、規模100人以上の事業所調査で69.6%、総合工事業調査で82.9%だった。
なお、この調査でいう労働災害とは、労働者が業務遂行中に、業務に起因して受けた業務上の災害(業務上の負傷・疾病・死亡)を指し、じん肺など遅発性のものや伝染病、通勤による災害などは除かれる。有効回答率は事業所調査(事業所規模100 人以上の事業所) 69.6%、総合工事業調査82.9%だった。
 
事業所調査における全産業の数値を見ると、労働災害の頻度を表わす「度数率」(=100万延べ実労働時間あたりの死傷者数)が1.61(同1.66)、災害の重さの程度を表わす「強度率」(=1,000延べ実労働時間あたりの延べ労働損失日数)は0.07(2014年は0.09)、「死傷者1人平均労働損失日数」は41.0日(同56.4日)だった。2015年は2014年と比べ、度数率・強度率は下降、死傷者1人平均労働損失日数も大きく減少したことがわかる。
死傷者1人平均労働損失日数 主な産業の死傷者1人平均労働損失日数をみると、「製造業」が56.8 日(前年89.2 日)、「運輸業,郵便業」が49.0 日(同74.3 日)、「卸売業、小売業」が20.0 日(同22.9 日)、「医療、福祉」(一部の業種に 限る)が30.3 日(同29.5 日)となっている。

また、調査では、産業別(農業・林業、製造業、運輸業・郵便業など)の数値も示されている。このうち、「医療・福祉(病院、一般診療所、保健所、健康相談施設、児童福祉事業、老人福祉・介護事業および障害者福祉事業に限る)」(平成20年から調査対象産業に追加)では、度数率が1.34(2014年は1.46)、強度率は0.04(同0.04)だった。医療・福祉における度数率は、農業・林業(4.68)や運輸業・郵便業(3.20)よりは低く、製造業(1.06)よりは高い数値となっている。

◆データヘルス 科学的な健康管理、健康寿命延伸産業の創出
加入者の健康状態に即し、より効率的な保健事業めざす

近年、健診やレセプトなどの健康医療情報は、2008(平成20)年の特定健診制度の導入やレセプトの電子化にともない、その電子的管理が進んでいる。この科学的進歩で、従来は困難だった電子的に保有された健康医療情報を活用した分析が可能となってきた。データヘルスとは、医療保険者(公的医療保険団体)がこうした分析を行った上で行う、加入者の健康状態に即したより効果的・効率的な保健事業を指す。
国民皆保険を標榜する健康保険事業は健保組合、国民健保、協会けんぽも運営団体の財政事情は極めて厳しい状況に差し掛かっている。窮乏時代の健保を維持し発展させるべくデータヘルス時代がやってきた、いわば「エース」の登場だ。

厚生労働省は4月25日、データヘルス時代の質の高い医療の実現に向けた初めての有識者検討会を開催した。この日の議事 は(1)本検討会の開催目的、検討の方向性等について (2)各委員の紹介 (3)意見交換が主だった。検討会の主旨は、21世紀で本格的なICT(情報通信技術)時代の到来を踏まえ、効率的で質の高い医療の実現を目的として、ICTの活用、ビッグデータの活用により保険者機能を強化する新たなサービス等を検討するために生まれた。

データヘルス計画とは…健康保険組合と事業所は、2015(平成27)年度から共同で加入者の医療機関の受診データと健診データを分析して、加入者(従業員)に対する病気の重症化予防への取り組みが求められることになった。そのための準備として、平成26年度からすべての健保組合が、データヘルス計画の策定に着手することとなった。
これは、安倍首相を議長とする産業競争力会議の成長戦略策定の一環として行われるもので、「個人・保険者・企業の健康管理の意識・動機づけを高めること」と「健康寿命延伸産業の創出」を目的としている。

具体的には、データヘルス時代にふさわしい質の高い医療を実現するため、
(1)データヘルス事業の推進など保険者機能を強化する新たなサービス
(2)マイナンバー制度のインフラ等のICTとビッグデータを活用した医療の質、価値を飛躍的に向上させる新たなサービス
(3)ICT の活用による審査業務の一層の効率化・統一化と審査点検ノウハウの集積・統一化等、について検討する。併せて、新たなサービスを担うにふさわしい組織・ガバナンス体制について、既存の業務・組織体制を前提とせずに検討するというもの。

2013(平成25)年、政府は、「日本再興戦略」(2013年6月14日閣議決定)の中で、全ての健康保険組合に対し、レセプト等のデータの分析に基づく加入者の健康保持増進のための事業計画として、「データヘルス計画」の作成・公表、事業実施、評価等の取り組みを求めるとともに、市町村国保(国民健康保険)が同様の取り組みを行うことを推進することを掲げた。
これを受けて厚労省は、2014年3月、「健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針」を改正し、「保険者(公的医療保険を行っている団体)は、健康・医療情報を活用してPDCAサイクルに沿った効果的・効率的な保健事業の実施を図るための保健事業の実施計画(データヘルス計画)を策定し、計画に基づく保健事業の実施及び評価を行う」とした。
*PDCAサイクルとは―人材マネジメント用語。 〔plan(立案・計画)、do(実施)、check(検証・評価)、action(改善)の頭文字を取ったもの〕。行政政策や企業の事業活動にあたって計画から見直しまでを一貫して行い、サイクルのように繰り返して進める。

有識者検討会の構成員は総数17名。厚労省が描く検討会で議論を交わしてほしい点は、保険者機能強化のために求められる新たなサービスの在り方だ。例えば ①データヘルスの推進 ○ レセプトデータを地域別・業態別・世代別に分析し、保険者の健康度や疾病管理の状況を診断 ○ 医療・介護レセプトデータと健診データの連結による生涯を通じた健康、疾病管理 等が挙げられる。
次にデータヘルス事業に必要な分析の研修等のサポート、コンサ ルティング等も予定される。例えば②医療の質の向上 ○ 健診や医療機関選びに必要なデータ提供 ○ 地域の医療提供体制や医療費の分析等に関する保険者機能の向上 ○ 韓国HIRAをモデルとした、医療機関の質の評価、審査・分析、ソフトウェアの開発の検討等だ。ビッグデータの活用をはじめとする保険者のガバナンスの在り方も想定されている。

◆介護保険事業状況報告の概要 (平成28年1月暫定版)
今年1月の要介護者は618.3万人、給付費7,494億円

――厚生労働省
厚生労働省は4月26日、2016年1月の介護保険事業状況報告の概要を公表した。要介護者(要支援者含む)は618.3万人で、65歳以上の要介護認定者の割合は約18.0%。介護保険給付費の総額は7,494億円だった

1.第1号被保険者数 (1月末現在) 第1号被保険者数は、3,368万人。
2.要介護(要支援)認定者数 (1月末現在) 要介護(要支援)認定者数は、618.3万人で、うち男性が191.2万人、女性が427.2万人。 第1号被保険者に対する65歳以上の認定者数の割合は、約18.0%。(保険者が、国民健康保険団体連合会に提出する受給者台帳を基にしたもの)

3.居宅(介護予防)サービス受給者数(現物給付11月サービス分、償還給付12月支出決定分) 居宅(介護予防)サービス受給者数は、393.5万人。(居宅(介護予防)サービスのサービス別受給者数とサービス別利用回(日)数は、国民健康保険団体連合会から提出される データを基に算出した値)

4.地域密着型(介護予防)サービス受給者数(現物給付11月サービス分、償還給付12月支出決定分 地域密着型(介護予防)サービス受給者数は、41.6万人。地域密着型(介護予防)サービスのサービス別受給者数とサービスの利用回数は、国民健康保険団体連合会から提出されるデータを基に算出した値)

5.施設サービス受給者数(現物給付11月サービス分、償還給付12月支出決定分) 施設サービス受給者数は91.3万人で、うち「介護老人福祉施設」が51.0万人、「介護老人保健施設」が34. 7万人、「介護療養型医療施設」が5.9万人。(同一月に2施設以上でサービスを受けた場合、施設ごとにそれぞれ受給者数を1人と計上するが、合計には1人と計上して いるため、3施設の合算と合計が一致しない)

6.保険給付決定状況(現物給付11月サービス分、償還給付12月支出決定分) 高額介護(介護予防)サービス費、高額医療合算介護(介護予防)サービス費、特定入所者介護(介護予防)サービス費を含む保険給付費の総額は7,494億円。

(1)再掲:保険給付費 (居宅、地域密着型、施設) 居宅(介護予防)サービス分は3,880億円、地域密着型(介護予防)サービス分は840億円、施設サービス分は2,319億円。(特定入所者介護(介護予防)サービス費は、国民健康保険団体連合会から提出される現物給付分のデータと保険者から提出される償還給付分のデータを合算して算出した値)
(2)再掲:高額介護(介護予防)サービス費、高額医療合算介護(介護予防)サービス費、高額介護(介護予防)サービス費は166億円、高額医療合算介護(介護予防)サービス費は5億円となってい る。
(3)再掲:特定入所者介護(介護予防)サービス費、特定入所者介護(介護予防)サービス費の給付費総額は285億円、うち食費分は181億円、居住費(滞在費)分は104億円となっている。(特定入所者介護(介護予防)サービス費は、国民健康保険団体連合会から提出される現物給付分のデータと保険者から提出される償還給付分のデータを合算して算出した値)

介護給付費等実態調査月報(平成28年2月審査分)
全国の受給者総数は、複数サービスを受けた者については名寄せを行った結果、介護予防サービスでは 1146.1 千人、介護サービスでは 4025.6 千人となっている。受給者1人当たり費用額は、介護予防サービスでは 36.4 千円、介護サービスで は 184.4 千円となっている。

介護給付費等実態調査は、介護サービスに係る給付費等の状況を把握し、介護報酬の改定など、介護保険制度の円滑な運営及び政策の立案に必要な基礎資料を得ることを目的とし、平成13年5月審査分より調査を実施している。
各都道府県国民健康保険団体連合会が審査した介護給付費明細書、介護予防・日常生活支援総合事業費明細書、給付管理票等を集計対象とし、過誤・再審査分を含まない原審査分について集計している。ただし、福祉用具購入費、住宅改修費など市町村が直接支払う費用(償還払い)は含まない。

2016年1月の後期高齢者医療制度加入者は約1,612万人 
厚労省は2016年1月現在の「後期高齢者医療毎月事業状況報告(事業月報)」を公表した。これは、後期高齢者医療制度の運営状況について加入者数を5歳刻みで集計し、毎月報告しているもの。その事業月報によると、同制度の加入者数は、全国で1,612万9,877人(前年同月比2.9%増)だった。また、65歳以上75歳未満の障害認定者数は34万6,901人。100歳以上の被保険者数は6万1,329人。被扶養者であった被保険者数は165万737人だった。

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