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介護経営情報(2016年4月22日号)

2016/4/25

◆保険診療との併用認めるかを検討する制度スタート
「患者申出療養」実施に向け第1回評価会議開く

――厚生労働省
4月14日、厚生労働省の「患者申出療養評価会議」の第1回会議が開催された。患者から申し出があった未承認の医療技術について、保険診療との併用を認めるかを検討する制度の詳細な運用方法について議論する初の会議。

患者申出療養は、安倍首相自らが創設を決めた保険外併用療養制度。患者が最先端の医療技術などを希望した場合に、安全性・有効性等を確認したうえで、保険外の診療と保険診療との併用を認めるもので、2016年4月1日に施行された。社会的にも大きな関心を呼んだ患者申出療養だけあって、この日、会議室の一般傍聴席はほぼ満員になるなど今後の行方に注目が高まっている。
会議の座長には、聖路加国際病院院長の福井次矢氏、座長代理には国立成育医療研究センター理事長の五十嵐隆氏がそれぞれ選任された。委員は、医学や薬学、生物統計、臨床研究などの専門家、患者代表など、計18人で構成。
評価会議は、主にがん等に関する技術評価を行う第1分科会と、主に難病等に関する技術評価を行う第2分科会をそれぞれ設置して検討する体制で臨む。
この日は制度の詳細な運用方法について議論し、治験や先進医療といった既存の評価療養との関係を整理した。会議の冒頭で厚労省は「国内未承認の医薬品などを迅速に保険外併用療養として使用したいという患者の思いに応えるための、患者からの申出を起点とする新たな保険外併用療養の仕組み」として創設したと説明した。このことは、当制度の対象が、当初海外承認済・国内未承認薬と想定されたものの、結果的には極めて広い範囲に及ぶことを示唆しているともいえる。
患者申出療養として、前例がある医療は原則2週間、前例がない初の医療は原則6週間の速さで実施される。また、国が安全性・有効性等を確認し、保険収載に向けた実施計画の作成などの報告を臨床研究中核病院に求める制度で、国民皆保険の堅持を前提とすると述べた。

これらを踏まえて厚労省は、「申出が予想される技術等」に関して、保険収載を目指さないものを除外した上で、考えられる分類を次のように提案した。
(1)未承認等の医薬品等の使用、医薬品等の適応外使用の、いずれも伴わない医療技術
(2)未承認等の医薬品・医療機器・再生医療等製品の使用または医薬品等の適応外使用を伴う医療技術
●海外未承認の医薬品等
●海外承認・国内未承認の医薬品等で、海外で承認されていない適応
●海外承認・国内未承認の医薬品等で、海外で承認されている適応
●国内承認の医薬品等で、承認されていない適応

患者申出療養実施に該当するか否かの判断
患者申出療養の運用の詳細に関して「申出が予想される技術」のほか、「実施可能な医療機関の追加」、「他制度との連携」などを議論した。

申出が予想される技術に関して、厚生労働大臣に対する申出の際に必要となる「臨床研究中核病院が作成する意見書を提出できない場合」として、厚労省は「科学的根拠等が不足している」、「専門的な対応が可能な他の臨床研究中核病院がある」、「医薬品等が入手不可能である」ことを想定していると述べている。
また、実施医療機関の追加に関して厚労省は、臨床研究中核病院間の連携を図るため、患者の申出を受けて意見書を作成した臨床研究中核病院以外の臨床研究中核病院も原則として実施医療機関とすることなどを提案している。

一方、厚労省は患者に対して迅速に医療を提供する観点から、他の既存の評価療養を利用できる場合、十分に活用を考慮するべきと説明。さらに、患者申出療養は、将来の保険導入を目指すものであり、保険診療で用いられる医薬品等は治験を通じて薬事承認を得ていることが原則になると述べた。
このため、患者申出療養に該当するか否かの確認の流れとして、(1)治験、(2)拡大治験(日本版コンパッショネートユース)、(3)先進医療――の順に参加可能性をそれぞれ判断し、いずれにも参加できない場合に、患者申出療養としての実施を検討することを想定していると説明した。

続いて、実施を検討する際は、(ⅰ)欧米での承認など実施可能なエビデンスがあるか、(ⅱ)医薬品の入手が可能か、(ⅲ)実施体制などの観点で実施可能か――の順に確認し、いずれも満たす場合に実施するとしている。しかし、今後検討しなければならない重要事項は残っている。例えば、個別新薬の安全性、臨床中核病院や特定機能病院の体制、保険収載までの工程、メーカー是認の可能性、患者負担相場額などの細部の詰めが急がれる。

◆遠隔モニタリングに関する診療報酬改定内容を報告
内閣府【心臓ペースメーカー指導管理料】改定など

――厚生労働省
離島など離れた場所にいる医師と患者を情報通信機器でつないで行う「遠隔診療」。対面診療が時間や距離といった物理的に困難なケースを除きこれまでは原則禁止だった。医師法第20条への抵触という壁があったからだ。しかし、この先入観が大きく変わりそうだ。

内閣府は4月14日、規制改革会議の下部組織の「健康・医療ワーキンググループ(WG)」を開催し、「遠隔モニタリングの推進」を議論した。遠隔医療に関して、医師法第20条で「医師は、自ら診察しないで治療をしてはならない」とされている。
しかし厚労省は、1997年12月24日付の厚労省通知で、直接の対面診療が困難で、有用な患者情報が得られる場合、ただちに抵触しないとしていた。ここにきて、政府が遠隔診療を推進する動きを見せ始めていることから、医療界では「遠隔診療解禁」ととらえる雰囲気が盛りあがっている。

厚労省はこの日のWGで、(1)在宅酸素療法およびCPAP療法(経鼻的持続陽圧呼吸療法)の在宅管理料等の適正な評価、(2)遠隔モニタリングによる心臓ペースメーカー指導管理料――などについて、2016年度診療報酬改定での評価を報告した。
(1)では、2016年度診療報酬改定で【在宅酸素療法材料加算】を新設。診療の評価と材料費の評価を分けた上で、医師の判断で受診しない月を含め、最大3カ月まで、チアノーゼ型先天性心疾患の場合は780点、その他の場合は100点を算定できるとした。
また、CPAPでは、睡眠時無呼吸症候群のCPAP療法と心不全のASV療法(二層式気道陽圧呼吸療法)に対して【在宅持続陽圧呼吸療法用治療器加算】と【在宅持続陽圧呼吸療法材料加算】を新たに追加。診療の評価と材料費の評価を分けた上で、医師の判断で受診しない月を含め、最大3カ月まで、ASV療法では3,750点、CPAP療法では1,100点、材料費として100点が算定できるとした。

(2)では、2016年度診療報酬改定で、【心臓ペースメーカー指導管理料】を見なおした。着用型自動除細動器以外の患者について、前回受診月の翌月から今回受診月までの期間、遠隔モニタリングを用いて療養上必要な指導を行った場合、【遠隔モニタリング加算】として、60点に該当期間の月数(指導を行った月に限り、11カ月を限度とする)を乗じた点数を加算できるとした。

◆北九州市の「ユニット型指定介護老人福祉施設」を認定
沖縄県・愛知県の医療関連の特例を認定 特区諮問会議

政府は4月13日、「国家戦略特別区域(特区)諮問会議」を開催した。今回は、(1)区域計画の認定、(2)1次指定6区域の評価――などが議題に上がった。この評価については様々な意見、要望が出てきている。
指定区域拡大や事業認定の増加を望む声も起こっている。中でも2020年の東京オリンピック・パラリンピックに直接的に関係する東京都が、大田区の民泊特区など都民の関心を盛り上げる企画を特区にからませてトレンドを起こそうとしている。東京都は東京圏として神奈川県、千葉県と成田市とともに同一グループ。

国家戦略特区は、内閣が掲げる成長戦略で、指定された区域の規制を緩和して産業の国際競争力を強化し、国際的な経済活動の拠点をつくることなどが目的。今回は、(1)区域計画の認定、(2)1次指定6区域の評価――などが議題に上がった。現在、認定事業は171事業。

(1)では、沖縄県の「病床規制に係る医療法の特例」を認定。社会医療法人友愛会が、豊見城中央病院で、早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後の細胞シートを活用した再生医療などを実施するため、新たに病床18床を整備する。
また、愛知県の「保険外併用療養に関する特例」を認定し、名古屋市立大学病院が、先進6カ国で承認済だが日本では未承認・適応外の医薬品等を用いる技術全てを対象に、迅速に先進医療を提供できるようにする。
さらに、福岡市・北九州市の「ユニット型指定介護老人福祉施設設備基準に関する特例」を認定。北九州市内のユニット型指定介護老人福祉施設(特養老人ホーム)で、介護職員の補助などをするロボット実証を行う場合に、2つのユニットを独立して設置された「共同生活室」として一体的に利用できるようにする。
  
(2)では、2015年度の東京圏・関西圏等の評価案が示された。東京圏・関西圏の「保険外併用療養に関する特例」に関し、それぞれ本来の趣旨の「国内の未承認薬にかかる保険外併用」の実績は全体として未だにないとして、特例を直ちに活用することが喫緊の課題と指摘している。

内閣府地方創生推進室はテレビ電話による服薬指導の特例、革新的な医療機器の開発迅速化、障がい者雇用率の算定特例の拡充、過疎地等での自家用自動車の活用拡大、医療イノベーションの推進、農業の競争力強化などの課題に取り組んでいる。

◆新たに「モーター駆動の歩行器」を介護保険給付対象へ
厚労省 制度一部改正 見守り支援ロボットなどは見送り

――厚生労働省
昨年の介護保険改正により、新たに保険給付対象に加えられることが決まった「モーター駆動による歩行器」だが、このほど、その制度改正が通知された。足腰の不自由な高齢者にとって朗報となる。

厚生労働省は4月14日、介護保険最新情報vol.543を発行し、この中で「介護保険の給付対象となる福祉用具および住宅改修の取り扱い」の一部改正に関する同日付の通知を掲載した。これは厚労省が福祉用具について、各都道府県などに対し、新たにモーター駆動による歩行器を介護保険の福祉用具貸与の対象に加えたという意味で通知したもの。通知では、「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の取扱いについて」(2000年1月31日老企34号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)を改正したことを周知している。

改正では、(9)歩行器の項に、「なお、上り坂ではアシスト、下り坂では制動、坂道の横断では片流れ防止およびつまずき等による急発進防止の機能(自動制御等の機能)が付加されたものであって、左右のフレームとこれを連結する中央部のパイプからなり、四輪又はそれ以上の車輪を有し、うち2つ以上の車輪について自動制御等が可能であるものを含む」と追記している。

「モーター駆動による歩行器」を新たに保険給付対象に加えるかどうかの検討会は昨年11月の「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」において適用対象の方向が決まった。この検討会では全国から寄せられた福祉用具や住宅改修製品にさまざまな角度から検討が加えられたが、その中で「モーター駆動による歩行器」が対象に入っていた。
「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」はこれまで、介護報酬の改定時期に合わせて3年に1回のペースで開催されていたが、2015年2月に政府の日本経済再生本部が決定した「介護分野におけるロボット新戦略」を受け、随時開催されるように変更された。

「モーター駆動による歩行器」は、従来の歩行器が介護保険の対象機器であること、そこにモーター駆動などのロボット技術を加えることで安全性が増すと考えられるため、検討会を構成する委員の間でも「保険給付対象にしてはどうか」と前向きな意見が多かった。厚労省ではこの議論の結果を受け、2016年度から「モーター駆動による歩行器」を保険給付に加えることを目指して準備を進める方針を決定したもの。

また、今回の「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」では、服薬支援ロボットやコミュニケーションロボット、GPSを活用した見守り支援ロボットなどについても、保険給付対象に加えるべきか否かが議論された、しかし結論は「時期尚早」と判断されている。保険給付対象になるために検討会の推移を注意深く見守る必要がありそうだ。
「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」はこれまで、介護報酬の改定時期に合わせて3年に1回のペースで開催されていたが、2015年2月に政府の日本経済再生本部が決定した「介護分野におけるロボット新戦略」を受け、随時開催されるように変更された。保険給付対象分野の技術は日進月歩で進化するためロボットなどAI(人工頭脳)に代表されるように検討会のスピードを上げる必要があった。

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