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医療経営情報(2015年10月22日号)

2015/10/26

◆中医協 入院医療等の調査・評価分科会における検討結果
7対1入院基本料の届出病床数 1年で約1万6千床減少

――厚生労働省
厚生労働省は10月20日、中央医療協議審議会(中医協)の入院医療等の調査・評価分科会を開催した。同分科会は診療報酬調査専門組織の一つ。分科会はこの日、平成26年度診療報酬改定に係る答申書附帯意見のうち、入院医療に関連する事項について、平成26年度診療報酬改定後の状況の調査・検証を行い、平成28年度診療報酬改定に向けた評価・検討に資することを目的として「平成26年度・27年度入院医療等における実態調査」を実施し、調査結果の分析及び技術的課題に関する検討を行った。

検討結果の概要は次の通り。(注・1.急性期入院医療と2.短期滞在手術等基本料の要旨掲載)

1.急性期入院医療について
1-1.7対1入院基本料の算定病床の動向について
平成26年度診療報酬改定では、急性期を担う病床の機能分化を図る観点から、7対1入院基本料については、特定除外制度の見直し、「重症度・看護必要度」の名称と内容の見直し、自宅等へ退院した患者の割合に関する基準の設定、短期滞在手術基本料3の対象手術の拡大等が行われた。

7対1入院基本料の届出病床数の動向について、診療報酬改定前の平成26年3月から、改定後の平成27年4月までの間に約1万6千床が減少した。7対1入院基本料の病床を10対1入院基本料、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料1に転換した医療機関の割合が高かった。

7対1入院基本料から他の入院料へ転換した理由としては、10対1入院基本料に転換した医療機関では、「重症度、医療・看護必要度の基準を満たさないため」、「看護師の確保が困難なため」「平均在院日数の基準を満たすことが困難」、一部の病床の届出を他の特定入院料等に変更した医療機関では、「より患者の状態に即した医療を提供できる」等の回答が多くみられた。また、7対1入院基本料からの転換を行わなかった理由としては「施設基準を満たしており、転換する必要性がないため」とする回答が最も多かった。

1-2.特定除外制度の見直しに伴う影響について
平成26年度診療報酬改定において、急性期入院医療を担う病床の機能の明確化等を図るため、7対1、10対1一般病棟における特定除外制度の見直しが行われた。

 7対1、10対1一般病棟で90日を超えて入院している患者について、平均在院日数の計算対象として出来高算定とするか、平均在院日数の計算対象から除いて療養病棟と同等の報酬体系とするか病棟ごとに選択することとされているが、ほとんどの病棟で、出来高での算定が選択されていた。また、療養病棟と同等の報酬体系を届け出た医療機関が少なかったことから、2室4床に限って出来高算定が可能となっている経過措置を届け出ている医療機関数や病床数も少なかった。

2.短期滞在手術等基本料について
近年、医療機関における平均在院日数は短縮していく傾向がみられるが、平均在院日数が短い医療機関の中で、患者が特定の疾患に偏った病院がみられたこと等から、平成26年度診療報酬改定で短期滞在手術等基本料の見直しが行われた。

現在、短期滞在手術等基本料の対象となっている項目のうち、調査結果から以下の特徴が観察された。
▼ 「K282 水晶体再建術」については、平成26年度診療報酬改定の前後で両眼の手術の減少、片眼の手術の増加がみられ、診療形態に大きな変化がみられた。
▼「K633 5ヘルニア手術」や「K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術」については、乳幼児等の症例が多くみられ、年齢によって出来高実績点数に大きな違いが認められた。
▼一部の手術について、全身麻酔と全身麻酔以外の方法で実施されている項目がみられたが、麻酔方法の選択に当たって、医療機関の診療方針が影響していると考えられた。その他、出来高実績点数のばらつきがみられ、算定件数が少ない項目もみられた。

包括範囲とされた部分の出来高実績点数は、平成26年度診療報酬改定後にやや低くなる傾向がみられた。また、短期滞在手術等基本料では原則として全ての基本診療料・特掲診療料が包括化されているが、他の包括入院料に例があるように、高額の医療を要する特定の部分を包括から除外することも考えられることから、透析患者について分析したところ、透析患者の出来高実績点数は平均的な症例を大きく上回っていた。

現在、短期滞在手術等基本料の対象となっていない手術等のうち、短期滞在手術等基本料の設定の対象となり得るものとしては、「K616-4 経皮的シャント拡張術・血栓除去術」「K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術」「M001-2 ガンマナイフによる定位放射線治療」は、在院日数が短く、出来高点数のばらつきが少なかった。

◆特定行為に係る看護師の研修制度に関するQ&A公開
厚労省 医師の指示でタイムリーに行う看護師を養成

――厚生労働省
厚生労働省は、平成27年10月1日に施行された「特定行為に係る看護師の研修制度」について周知広報するためのホームページを立ち上げた。この中から最も新しい10月13 日に公開した「特定行為に係る看護師の研修制度に関するQ&A」の要旨を紹介する。

特定行為に係る看護師の研修制度に関するQ&A(質問・回答)
(1)制度全般について
2
Q特定行為研修を修了した看護師は、処方や死亡の診断はできるのでしょうか。
A処方や死亡の診断は、診療の補助に該当しないため、特定行為研修を修了したか否かに関わらず、看護師が行うことはできません。
3
Q手順書により特定行為を実施した際の医療事故に係る医師や看護師の法的責任はどうなるのでしょうか。
A特定行為の実施により医療事故が発生した場合における責任の問題は、最終的には、個別の事例に応じて司法判断により決められるものであり、個別具体的な状況における過失の有無に応じて責任が判断されることになると思料されます。
4
Q諸事情により、直ちに特定行為研修を受けられない方への経過措置はありますか。
A本制度は、改正後の保健師助産師看護師法の施行(平成27年10月1日)の際に既に看護師免許を取得している者については、改正法の施行から5年間が経過措置の対象となりますので、当該経過措置の期間中に、早期に特定行為研修を受けていただきたいと考えています。
なお、手順書によらない場合には、看護師は、これまでと同様に、医師又は歯科医師の指示のもとで特定行為を行うことが出来ます。

特定行為研修制度の目的
1
Q特定行為研修制度の目的は何ですか。
A2025年には、団塊の世代が75 歳以上となります。高齢化が進展し、また医療の高度化・複雑化が進む中で、質が高く安全な医療を提供するため、チーム医療の推進が必要です。医療資源が限られる中で、それぞれの医療従事者が高い専門性を発揮しつつ、互いに連携し、患者さんの状態に応じた適切な医療を提供することが求められています。こうした中で、看護師には、患者さんの状態を見極め、必要な医療サービスを適切なタイミングで届けるなど、速やかに対応する役割が期待されています。
このため、診療の補助のうち、一定の行為を特定行為として規定し、これらの特定行為を医師が予め作成した手順書(指示)によってタイムリーに実施する看護師を養成する研修制度が創設されました。本制度は、今後の急性期医療から在宅医療等を支えていく看護師を計画的に養成することを目的としています。
2
Q特定行為研修制度の創設により、何が変わるのでしょうか。
A特定行為研修を受けた看護師が、患者さんの状態を見極めることで、タイムリーな対応が可能になります。また、患者さんや家族の立場に立ったわかりやすい説明ができ、「治療」と「生活」の両面からの支援の促進に貢献します。
3
Q特定行為研修を修了しなければ、特定行為に相当する診療の補助はできないのでしょうか。
A診療の補助の実施に当たっては、従前通り、看護師は、医師又は歯科医師の指示の下、特定行為に相当する診療の補助を行うことができます。
医療安全の確保の観点から、引き続き、診療の補助を適切に行うことができるよう、病院等の開設者等は、看護師が自ら研修を受ける機会を確保できるようにするために必要な配慮等を講ずるよう努めていただきたいと考えています。また、看護師は、その能力の開発及び向上に努めていただきたいと考えていま
す。
4
Q今後、特定行為の追加や見直しは行われますか。
A特定行為の追加や見直しについては、改正後の保健師助産師看護師法の公布(平成26年6月25日)後5年を目処に、検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずることとしています。

(2)手順書について
1
Q手順書は、これまでの医師の指示と何が違うのでしょうか。
A手順書は、医師又は歯科医師が看護師の診療の補助を行わせるための事前指示の1つであり以下の①~⑥が記載されているものをいいます。
①看護師に診療の補助を行わせる患者の病状の範囲
②診療の補助の内容
③当該手順書に係る特定行為の対象となる患者
④特定行為を行うときに確認すべき事項
⑤医療の安全を確保するために医師又は歯科医師との連絡が必要となった場合の連絡体制
⑥特定行為を行った後の医師又は歯科医師に対する報告の方法

2
Q複数の医療機関で同一の手順書を共有し活用することはできるのでしょうか。
A複数の医療機関が、同一の手順書を活用することができます。なお、手順書を個々の患者に適用するかどうかは、医療現場の医師の判断となります。

(3)特定行為について
1
Q在宅医療の場で提供が想定される特定行為にはどのようなものがありますか。
A在宅医療の場であれば、例えば、「気管カニューレの交換」、「胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換」、「末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入」、「褥瘡又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去」、「脱水症状に対する輸液による補正」、「感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与」、「インスリンの投与量の調整」、「抗不安薬の臨時の投与」等が想定されますが、これらの行為に関わらず、様々な特定行為のニーズが
あるものと考えています。

(4)研修機関について(中略)
厚生労働大臣が指定する指定研修機関は、厚生労働省のウェブサイトに掲載されている(下記サイト参照)。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000087753.html

(5)修了者について
1
Q特定行為研修を修了すると資格を取得できるのでしょうか。
A手順書により特定行為を行う場合に、特定行為研修の受講が義務づけられるが、新たな資格は取得できません。
2
Q特定行為研修を修了した看護師は日本中の医療現場で特定行為が行えますか。
A特定行為研修を修了した看護師には、指定研修機関から、特定行為研修修了証が交付されますが、当該研修修了後に当該看護師が特定行為を実施するかどうかの判断は、それぞれの医療現場で医師が行います。

3
Q特定行為研修を修了した看護師の名称は各施設で自由につけていいのでしょうか。
A特定行為研修を修了した看護師の名称については、規定はありませんが、特定行為研修を修了した看護師であることが患者・家族・医療関係者にわかるように各施設で配慮していただきたいと考えております。

4
Q特定行為研修修了を修了した看護師に関する情報は公表されますか。
A]特定行為研修修了者の名簿については、指定研修機関より厚生労働省に届けられますが、看護師の個人名を厚生労働省で公表する予定はありません。

5
Q特定行為研修を修了した看護師が、実際に患者さんに対して特定行為を行う前に留意しておくべきことはありますか。
A特定行為研修を修了した看護師は、当該特定行為を安全に行うことができるよう、以下の点に留意することが望ましいと考えています。
・実際に患者に対して特定行為を行う前に、当該特定行為に係る知識及び技能に関して事前の確認を受けること
・医療に関する安全管理のための体制等も活用しつつ、特定行為を実施する前には、使用する手順書の妥当性を検討すること
(厚生労働省医政局看護課 看護サービス推進室)

◆約90%の企業、メンタルヘルス不調者の相談体制整備
東京労働局 都内中堅企業のメンタルヘルス対策の状況

――厚生労働省 東京労働局健康課
厚生労働省 東京労働局健康課は、平成27年度、東京都内所在の労働者数100人以上150人未満の事業場(4,213事業場)に対して、メンタルヘルス対策の取組状況について調査を行い、回答事業場(2,212事業場)の状況を取りまとめ発表した。
「平成27年度 企業におけるメンタルヘルス対策の取組状況」の顕著な特徴は「90%近くの事業場が、メンタルヘルス不調者の相談体制を整備するものの、事業場内メンタルヘルス推進担当者の選任は、53%に止まっている」ことだ。

東京労働局は、第12次東京労働局労働災害防止計画(平成25年度~同29年度)(注1)の目標の一つとして、「安全衛生管理体制の構築が必要なすべての事業場(注2)でメンタルヘルス対策に取り組む」ことを掲げ、メンタルヘルス指針(注3)などの職場のメンタルヘルス対策を推進している。
今回の調査では、89.3%の事業場がメンタルヘルス不調者の職場内相談体制の整備に取り組んでいた。しかし、職場のメンタルヘルス推進担当者を選任している事業場は、53.3%、休業者の 職場復帰支援プログラムを作成している事業場は、47.4%に止まっている。
なお、平成27年12月1日からストレスチェックの実施が義務化されることについては、94.4%の 事業場が知っていると回答している。
東京労働局では、今後、労働者数100人未満の事業場に対しても順次、同様の調査を行い、より多くの事業場でメンタルヘルス対策に取り組んでもらえるように、引き続き、事業場への指導、周知啓発を進めることにしている。

(注1) 第12次東京労働局労働災害防止計画(平成25年度~同29年度)
東京労働局が、国が策定した第12次労働災害防止計画の推進のために、東京都内の労働者の安全と健康を確保するため策定した5ヵ年の推進計画のこと。

(注2) 安全衛生管理体制の構築が必要なすべての事業場
労働安全衛生法において、衛生管理者・産業医の選任、衛生委員会の設置が義務付けられている労働者数50人以上の事業場のこと。

(注3) メンタルヘルス指針
平成18年3月に厚生労働省から「労働者の心の健康の保持増進のための指針」が公示されているが、これが本指針の略称。本指針ではメンタルヘルスの基本的な考え方、衛生委員会等における調査審議、心の健康づくり計画、4つのケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア及び事業場外資源によるケア)の推進や具体的な進め方などを示している。

平成27年度調査結果の主な内容
Ⅰ 事業場内のメンタルヘルス上の問題の把握状況
○メンタルヘルス上の理由による不調の休業者がいる事業場の割合は 52.9%(1,171件)

Ⅱ 「心の健康づくり計画」の策定状況
○「心の健康づくり計画」を知っている事業場の割合は 62.1%(1,373件)
○事業者がメンタルヘルス対策を積極的に推進することを表明している事業場の割合は 61.7%(1,364件)
衛生委員会等にて調査審議するためには、あらかじめメンタルヘルス上の休業者の有無など、心の健康問題の事業場内での現状を把握することが必要となる。今回調査では、回答事業場の52.9%が過去1年間にメンタルヘルス上の休業者がいると回答している。
なお、厚生労働省の全国調査{平成25年労働安全衛生調査(実態調査)}では、39.2%の事業場(労働者100人以上300人未満)が、過去1年以内にメンタルヘルス上の不調により連続1ヵ月以上休業又は退職した労働者がいると回答しています。

Ⅲ 事業場内部の体制の整備状況
○メンタルヘルス推進担当者を選任して いる事業場の割合は 53.3%(1,179件)
産業医や衛生管理者などの事業場内産業保健スタッフが、労働者及び管理監督者に対する支援を行い、メンタルヘルスケアが効果的に行われることが必要である。メンタルヘルス推進担当者は、産業医などの助言、指導を得ながらメンタルヘルスケアの推進の実務を担当する者で、多くは衛生管理者などから選任される。今回の調査では、回答事業場の53.3%が選任していると回答している。
メンタルヘルスケアは、継続的かつ計画的に行うこと、また、事業場の実態に即した取り組みを行うことが重要だ。 このため衛生委員会等において、心の健康づくり計画(注4)を策定することが重要ですが、今回の調査では、回答事業場の62.1%が同計画を認識し、61.7%の事業者がメンタルヘルス対策を積極的に推進することを表明している。

(注4) 心の健康づくり計画
事業者が、メンタルヘルスケアの取り組みのために策定するもので、メンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明、心の健康づくりの体制の整備、問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施、メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用、労働者の健康情報の保護、計画の実施状況の評価及び見直しなどを盛り込んだもの。

Ⅳ メンタルヘルスケア推進のための教育・研修状況
メンタルヘルスに関する研修会を開催 した事業場の割合は 60.8%(1,345件)
管理監督者への教育研修を実施した事業場の割合は 61.2%(1,353件)

Ⅴ 職場復帰支援プログラムの作成状況
○職場復帰支援プログラムを作成して いる事業場の割合は 47.4%(1,049件)
○予防策だけでなく、メンタルヘルス不調に陥った労働者が発生した場合の対応について、相談体制の整備等に今回の調査では、回答事業場の90%弱が取り組んでいる。

Ⅵ メンタルヘルス不調者の早期発見と対応の状況
○メンタルヘルス不調者の相談体制がある事業場の割合は 89.3%(1,975件)
○メンタルヘルス不調者を医療機関に取り次ぐ体制がある事業場の割合は 84.3%(1,865件)
○長時間労働者に対し、面接指導(注5)を 行う仕組みがある事業場の割合は 72.5%(1,603件)
○メンタルヘルス不調により休業した労働者が円滑に職場復帰できるように、職場復帰支援プログラムを今回の調査では、回答事業場の47.4%が策定している。
(注5) 長時間労働者への面接指導
労働安全衛生法により、事業者は長時間労働により疲労が蓄積し健康障害発症のリスク が高まった労働者(月100時間超等の時間外・休日労働を行い、疲労の蓄積が認められる者 (申出))について、医師による面接指導を行わなければならないこととなっており、その面接時にメンタルヘルス面のチェックも行われる。メンタルヘルスケアは、労働者によるセルフケア、管理監督者を含むラインによるケア等を併せて推進していくことが重要で、それぞれの職務に応じた教育研修・情報提供を今回の調査では、回答事業場の60%強が実施している。

◆塩崎厚労相、社会保障改革具体化へ検討項目を説明
経済財政諮問会議 ゲートオープナー機能の確立めざす

――内閣府
内閣府は10月16日、「経済財政諮問会議」を開催し、(1)経済・財政一体改革の具体化・加速、(2)アベノミクス第2ステージに向けて―などを中心に議論した。
(1)では、塩崎恭久厚生労働大臣が「社会保障分野における改革の具体化・加速」について資料提出し、骨太方針2015の「経済・財政再生計画」(2016~2020年度)を踏まえ、今後の検討項目である(ⅰ)診療報酬・調剤報酬改定、薬価を含む医薬品等の改革、(ⅱ)負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化――などを説明している。方針の中で、2016年度診療報酬改定に向けて検討を進める課題として、中心の一つに地域の「かかりつけ医」的な機能を持つ「ゲートオープナー」機能の確立などを挙げたのが注目される。

(ⅰ)では、今後、病床機能の分化・連携、機能強化に関して、急性期・回復期・慢性期などの「病床機能に応じた評価」を行うと説明。また、かかりつけ医普及・適切な在宅医療の評価に関して、「かかりつけ医機能」のさらなる強化を検討し、地域のかかりつけ医が患者の状態・価値観も踏まえて、適切な医療を円滑に受けられるよう支援する「ゲートオープナー機能の確立」をすると述べた。
また、調剤報酬の見直しなどに関しては、薬学管理や在宅医療などの評価・適正化のため、「いわゆる門前薬局の評価見直し」、「医薬品適正使用の推進」、「残薬や多剤・重複投薬を減らすための取り組み推進」を実施。さらに、後発医薬品の使用促進・価格適正化に向けた「診療報酬・調剤報酬上の使用促進策」、「薬価水準」を検討するとしている。

(ⅱ)では、医療保険制度の患者負担に関して、「かかりつけ医」の普及のための「診療報酬上の対応」や「外来時の定額負担」を検討する。また、世代間・世代内での負担の公平を図り、負担能力に応じた負担を求めるため、医療保険における「高額療養費制度」や「後期高齢者の窓口負担」のあり方などを検討。
他方、介護保険制度の利用者負担に関しても、世代間・世代内の公平性や負担能力の観点から、「高額介護サービス費制度」や「利用者負担」のあり方について検討すると述べている。

(2)では「アベノミクス第2ステージに向けて」などを議題とした。アベノミクス第2ステージは安倍首相が打ち出した「強い経済」、「子育て支援」、「社会保障」を新3本の矢とする政策。
民間有識者の伊藤元重議員(東京大学大学院教授)らは、第2ステージでは、従来の3本の矢を強化することで、民需主導の好循環を確立することが重要と指摘。また、「1億総活躍社会」は、少子高齢化という最大の構造問題に取り組むことで、供給の強化のみでなく、消費・投資を喚起するなど需要面も含めた経済構造が 強化されると述べている。このため、「強い経済の実現」、「官民双方による資源配分等の見直し」が必要とし、経済・財政一体改革(財源確保の観点を含む)と並行して取り組むとしている。
このうち、資源配分の見直しに関しては、(ⅰ)少子化対策の安定財源の確保、(ⅱ)介護離職者ゼロの実現、(ⅲ)公的サービスの産業化、民間資金の導入――を掲げた。

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