新着情報

ホーム > 新着情報 > 介護経営情報 2015年7月24日号

介護経営情報 2015年7月24日号

2015/7/28

◆高齢者で10種類を超す多剤投与が一定割合 中医協
薬剤服用歴管理指導料などを見直すべきとの意見、多数
――厚生労働省

厚生労働省は7月22日、中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬基本問題小委員会を開催した。委員会は分割調剤の見直しや、一定期間内に繰り返し使える「リフィル処方箋」の導入について検討する方針を了承した。

この日は、薬剤服用歴管理指導料などを厳しく見直すべきとの意見が大勢を占めた。このような厳しい薬局批判が噴き出すのには残薬問題の解消のため、2016年診療報酬改定に向けて中医協で解決しなければならない。特に「調剤報酬の見直し」の議論では診療側・支払側の双方から厳しい意見が出されていて2016年度の次期調剤報酬改定に向けて、今後も厳しい議論が続く見込み。
この夏の山場となる中医協の難題は、重複投薬や残薬の是正に向けて、分割調剤の見直しに尽きる。
残薬が発生する要因は輻輳要因があって複雑多岐にわたる。最大要因は「長期投薬」。厚労省の分析では、病床規模が大きくなるにつれ平均投薬日数が長くなる、高脂血症用剤や糖尿病用剤などの慢性疾患の対象薬剤で平均投薬日数が長くなるなどが分かっている。そのため厚労省は「分割調剤」の活用を論点に

7月22日、中央社会保険医療協議会の「診療報酬基本問題小委員会が開かれた。(1)DPCに関する特別調査の実施、(2)残薬確認と分割調剤、(3)ICTを活用した医療情報の共有の評価――などが話し合われた。
特に(3)では、4月8日の中医協総会の議論をふまえて、残薬確認と分割調剤に関して、新たな調査結果などが示された。
前回改定では、長期投与された患者の残薬の状況などを把握し、保険薬局での適切な薬学的管理・指導が必要であると考えられるため、特定機能病院や500床以上の地域医療支援病院において長期処方された場合のあらかじめ定められた日数の分割調剤に関して、引き続き検討することにした。現在、分割調剤は長期保存が困難な場合や後発医薬品を初めて用いる場合に行われている。

また、処方日数制限に関する取り扱いは2002年4月以降、慢性疾患の増加などにともない、長期投与対象医薬品の拡大の必要性が多数指摘されたことなどから、一部の医薬品(薬価収載から1年未満の新医薬品、向精神薬など)は1回14日分を限度とする投薬日数制限の対象とするものの、原則として投薬日数制限を行わないこととなっている。

厚労省は今回新たな資料として、薬剤料に関して、処方せん1枚あたりの「投薬日数」、「薬剤種類数」、「1種類1日あたりの薬剤料」の3要素に分けて分析したところ、薬剤料の増加にもっとも寄与しているのは投薬日数の増加(長期投薬)だったと説明。また、院外処方の平均投薬日数は、内服薬は病床規模が大きくなるにつれて長くなる傾向があるほか、高脂血症用剤・糖尿病用剤等の慢性疾患の対象薬剤が長くなる傾向がある。

他方、患者に残薬を確認した結果、残薬を有する患者がいた薬局は約9割で、医薬品が余ったことがある患者は約5割。薬局や患者の調査では、残薬が発生する理由として、「飲み忘れ」や「自己判断で中止すること」、「処方日数と受診間隔が合わなかった」が多く、多剤処方や量が多いことを理由とする回答も2~3割程度ある状況。さらに、高齢者の投薬では、複数の医療機関から計10種類を超えて投薬される、いわゆる多剤投与が一定割合あった。

●分割調剤など主治医と薬局薬剤師の連携が論点

7月22日の「診療報酬基本問題小委員会」では、厚労省は、患者が次の来局時に残薬をバッグに入れて持参してもらい残薬確認と調整を行う節薬バッグ運動(福岡市薬剤医師会の取り組み)で、処方された薬剤費(総数)の約20%を削減している事例を紹介。また米国のリフィル処方せん(一定期間内に反復使用できる処方せん)の制度なども説明した。

厚生労働省は残薬確認と分割調剤の論点を、次のように示した。

●残薬解消の取り組みを強化するため、薬局での残薬確認を徹底するとともに、主治医への情報の集約や、薬局での残薬確認による処方変更を円滑にすることを、どのように考えるか。
●服用薬を一元管理するため、受診時・調剤時や、それ以外のタイミングも含め、主治医と薬局の薬剤師が連携して、残薬や多剤・重複投薬を減らすための取り組みを、どのように考えるか。
●特に大病院からの慢性疾患等の長期処方などをどのように考えるか。また、患者が適正に治療を継続できるよう、分割調剤の活用も含め、主治医と薬局の薬剤連携することを、どのように考えるか。
●薬物療法の安全性・有効性の向上や医療費適正化の観点から、次期診療報酬改定に向けて、これらの点に関して、今後さらに中央社会保険医療協議会総会で議論することする。

◆イオンが介護参入、スーパー内に通所施設  リハビリ中心
デイサービスを本格展開 2020年までに50事業所へ拡大
――イオン

流通大手のイオンが在宅高齢者を対象にデイサービス(通所介護)の運営に本格的に乗り出すことが、7月19日の日経、20日のテレビ東京の報道で明らかになった。この事業は葛西店(東京都江戸川区)で2013年から実験的に開始していたが、採算が見込めると判断されたため今年になり横浜店でもスタートすることを決めたという。施設名はイオンスマイルで、イオンの「高齢者シフト戦略」がさらに進みそうだ。これによりスーパー事業の業績改善を狙う専門家は分析している。

イオンはスーパーの店舗内に事業所を設ける手法で、ニーズの増大が見込まれる首都圏などで広く展開していく計画。5年後の2020年までに、首都圏を中心に50ヵ所程度へと拡大することを目標に据えている。近隣の高齢の顧客や家族の需要に応える。厚生労働省の調査では25年に首都圏で約13万人分の介護施設が不足するとの試算もある。

イオンの葛西店は東京都から認可を受けた13年秋から広さ100平方メートル、定員29人のデイサービス施設を実験的に運営してきた。午前と午後に分け、食事や入浴などは手掛けずリハビリ関係にサービスを絞って提供。14年度に黒字化したため、運営ノウハウが確立できたとみて多店舗展開を進める。

デイサービス施設はイオンの中核子会社で約350店の総合スーパーを運営するイオンリテールが直営で手掛ける。9月にも千葉県野田市にある店に広さ約200平方メートルの施設を開くのを機に本格展開し、18年度までに20~25、20年度に50施設に拡大する。
デイサービス施設は主に開業から30年前後たった店を対象とする。開業時には周辺の住宅開発などが始まったばかりで顧客層も若かった店も、時を経て高齢者が多くなる。こうした店に施設を導入し、高齢化する顧客のニーズをすくい上げていく狙いだ。
イオンのデイサービスは、状態を維持・改善させるリハビリを重視したメニューが特徴。在宅の要介護者向けに、リハビリなどを通じた身体機能の維持・強化にほぼ特化したサービスを売り物にする。効果や安全性が検証されたトレーニングマシンを導入し、理学療法士らが専用のプログラムを用意して利用者に取り組んでもらう。
具体的には階段の上り下りがしやすいよう太ももや腰の筋肉の強化や、猫背防止のための広背筋を鍛えるメニューなどをトレーナーの指示に沿って進める。認知機能を高めるためのゲームなども手掛ける。今年4月の介護報酬改定で、効果的な機能訓練を行うインセンティブがより大きくなったことも踏まえ、そうした特徴を伸ばして事業を育てていく考えだ。

イオンによる流通大手の参入により、業界の競争はさらに激しさを増しそうだ。イオンは先月、AppleやIBMとの提携を発表した日本郵政との協力により、ICT(情報通信)を活かした新たな買い物支援サービスを始めると発表したばかり。高齢者やその家族を囲い込むため、戦略の柱のひとつにしている「シニアシフト」を加速させる姿勢が際立ってきた。

イオンはこれまで、東京都江戸川区や神奈川県横浜市の店舗で試験的にデイサービスを経営し、そのノウハウを蓄積してきた。これらの事業所がある程度軌道に乗ったことが、さらなる拡大に踏み切る契機になったという。今年9月の開業(千葉県野田市)は「イオンノア店」として新たな事業所を開設する予定。
イオンのデイサービスは、状態を維持・改善させるリハビリを重視したメニューが特徴。今年4月の介護報酬改定で、効果的な機能訓練を行うインセンティブがより大きくなったことも踏まえ、そうした特徴を伸ばして事業を育てていく方針だ。

◆救急車の適正利用や搬送時間延伸の解決を検討 消防庁
熱中症搬送者 高齢者が1,525人―全体の50%超
――厚生労働省

総務省消防庁は7月17日、2015年度「救急業務のあり方に関する検討会」の初会合を開き、2015年度における検討事項を示した。この検討会は、高齢化の進展と救急需要の増大のなか、救急業務を安定的・持続的に提供していくために、「社会資源の有効活用と公平な配分」や「救急業務の質の向上を通じた救命率の向上」を目標とし、そのために必要な事項を検討する。

2015年度に関しては、2014年の救急自動車による救急出動件数が、約598万件(速報値)と過去最多となり、119番通報から病院収容までの搬送時間も、39.3分と延伸(2014年版「救急・救助の現況」)を続けていることなどが背景にある。

今回、示された検討事項は、次の通り(カッコ内は主な内容)。
(1)消防機関以外の救急救命士の活用(救急隊に引き継ぐまでの処置などを担う仕組みを構築)。
(2)救急車の適正利用の推進(限りある搬送資源を緊急性の高い事案に優先して投入)。
(3)緊急度判定体系の普及(緊急性の高い傷病者を確実に搬送)。
(4)個別事案の分析による、搬送時間延伸の要因の解決(現場対応が困難な事例を調査分析)。
(5)救急業務に携わる職員の教育(養成に関するテキストの完成)。
(6)蘇生ガイドラインの改訂への対応(各種要領などの改訂)。
(7)2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会への対応(外国人対応や熱中症対策などについて実態調査に着手し、具体策を取りまとめる)。

検討会は今後、11月に第2回会合、2016年3月に第3回会合を開き、その後、報告書の公表を予定している。

●6月の熱中症による救急搬送は全国で3,032人 消防庁
総務省消防庁は7月22日、2015年6月の熱中症による救急搬送の状況(確定値)を公表した。消防庁によると、2015年6月(1日~30日)に熱中症で救急搬送された人は、全国で3,032人(前月比128人増)。
この数値について消防庁は、「前年同月と比べ(2014年6月は4,634人、1,602人減)減少しているが、今後梅雨明けとともに気温が上昇してくる可能性が高いため、引き続き警戒が必要」と分析している。
搬送者を年齢区分別に見ると、高齢者(65歳以上)が1,525人(全体の50.3%) ともっとも多く、次いで成人(18歳以上65歳未満)が1,010人(33.3%)、少年(7歳以上18歳未満)が457人(15.1%)、乳幼児(生後28日以上7歳未満)が40人(1.3%)の順。
医療機関での初診時における傷病の程度を見ると、軽症2,002人(66.0%)、中等症928人(30.6%)、重症64人(2.1%)、死亡2人(0.1%)などとなっている。
また、都道府県別人口10万人当たりの救急搬送人員は、沖縄県が18.81人でもっとも多く、次いで岡山県が4.42人、佐賀県4.00人の順。なお、都道府県別の救急搬送人員総数は、沖縄県が262人でもっとも多く、次いで埼玉県191人、東京都178人の順だった。


◆医師が高齢者らの自宅を訪問、「専門診療所」解禁へ
厚労省、来年4月の診療報酬改定に盛り込む方向
――厚生労働省

厚生労働省は来年4月をめどに、医師が高齢者らの自宅を定期的に訪れて診察する訪問診療の「専門診療所」を認める方針だ。地域包括ケアシステムの構築を目指す厚生労働省は、在宅への訪問を専門として外来患者を受け入れる設備を十分に持たない診療所を、来年4月から新たに認める方向へ大きく舵を切る「解禁」に向け動き出した。
訪問診療を広げる背景には、入院ベッド(病床)の不足がある。内閣官房が6月にまとめた推計によると、このまま改革をしないで放置すれば「団塊の世代」が75歳以上となる2025年には約17万床が不足する。訪問診療の患者の8割以上は「要介護」と認定された高齢者だ。外来で病院に行くことが難しいという現実的な課題がある。

塩崎厚労相が7月10日、閣議の後に行った記者会見で「解禁」の意向を表明し、「年末に向けて中身を詰めていく」と語った。さらに同厚労相は「最低限守らなければいけないことなどの議論を深めていく」と、含みを持たせた表現で説明したが、実行する時期については、「診療報酬の改定(来年4月)に合わせてというのが基本的な考え方になる」と述べた。厚労省は居宅への訪問診療を推進し、患者を地域で診られる受け皿を拡充したり、費用の抑制につなげたりすることが狙いだ。

今後、診療報酬改定を控えている中医協(中央社会保険医療協議会)で詳細を議論する方針だ。8月以降に中医協で議論し、来年4月をめどに訪問診療だけの専門診療所を認める通知を出す。

厚労省はこれまで、一定の広さの診察室を設けて医療機器を揃えることなどにより、外来に応じる体制を整えておくよう診療所を指導してきた。訪問だけを専門にした運営は認めておらず、政府内でも規制の緩和を求める声があがっていた経緯がある。
厚労省は来年度からルールを変え、高齢化で進む医療ニーズと費用の増大に対応していく考え。今後は、診療報酬改定の内容を固める来年の1月頃までに、具体的な基準や単価をどう設定するかが焦点となる。
厚労省は、2025年対策へ「訪問診療解禁」へ踏み出すためには様々な規制緩和に加えると並行して、いくつかの条件を付けるようだ。例えば施設ごとに担当の地域を決め、住民から依頼があれば訪問することを義務付ける。重症の患者を避けて軽症の患者だけ選んで診察するようなことがないようにする。患者が来たときに診察の日程などを相談できるよう診療所に事務員を置くことも求める方針だ。
ただし専門診療所には医療サービスの公定価格にあたる診療報酬を見直す2016年4月に、訪問診療の評価をどこまで上げて金銭的な動機を与えられるかが、普及に向けたカギを握るとみられる。
入院した患者が自宅での訪問診療に移れば、医療費が減るとの見方もある。政府の試算では訪問診療にかかる自己負担と保険給付を合わせた医療費の総額は1人あたり月に約32万円で、慢性期患者の入院(約53万円)より4割安い。入院するとささいな体調不良でも治療を施すため、医療費が膨らみやすいとの指摘がある。

しかし訪問診療とは、名称がひとり歩きした名ばかりだった経緯がある。健康保険法の規定を杓子定規に解釈して、必ず外来診察ができる「設備」を用意させていたのが実態だ。

本来の定義は患者の自宅や介護施設を長期にわたって計画的に訪れて診察や治療をすることをいう。主に寝たきりの患者や神経難病で体を動かしにくい患者、病院の待合室で長時間待てない認知症の患者らを対象にする。血圧・脈拍の測定や点滴のほか、健康相談やリハビリに対応する。1回10分あまりで、月に2、3回の訪問が多い。急病などで患者に呼ばれて医者が出向く「往診」とは区別する。
今、厚労省の検討する専門診療所は往診にも対応する。何をどうすれば超高齢社会への対策になるのか、この訪問診療解禁で高齢者に必要な医療・介護の体制も大きく見直す必要が出てきた。
厚労省は、財務省とも連携しながら、できるものは岩盤規制を強引に壊してまでも「2025年」対応に迫られている。

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お問い合わせ・ご相談はこちら

お電話
  • 【フリーダイヤル】0120-136-436
  • Tel.06-6222-0030
執務時間
  • 月曜日~金曜日
    午前9:00~午後5:30

お問い合わせメールフォーム

些細なことでも気兼ねなくお問い合わせください。「はい、日本クレアス税理士法人です」と電話を取ります。その後に「ホームページを見て」と言っていただけるとスムーズに対応できます。