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介護経営情報 2015年7月17日号

2015/7/22

◆一定以上の所得で利用者の負担割合が1割から2割へ
介護保険―費用負担見直しで事務処理の取扱い通知
――厚生労働省

厚生労働省は7月13日、介護保険最新情報vol.490を公表し「費用負担の見直しに係る事務処理の取扱いについて」を全国関係機関へ発出した。日常的な事務発生・処理等で費用負担の見直しに係る事務処理の取扱いについて注意が必要で、vol.490は、これまで同省が示してきた主なものをまとめたもので、あえて「必見」を周知している。

介護保険最新情報vol.490では2015年8月1日より、一定以上所得者の2割負担、高額介護(予防)サービス費の負担限度額の見直し、および特定入所者介護(予防)サービス費の支給要件の見直しが施行される(介護保険法および関係政省令の一部改正にともなう)。

施行されるのは、(1)一定以上所得者の2割負担、(2)高額介護(予防)サービス費の負担限度額見直し、(3)補足給付(特定入所者介護(予防)サービス費)の支給要件見直し――の3項目。
(1)は高齢者世代内の負担の公平化のため、合計所得金額160万円以上の利用者の負担を2割に引き上げるもの。ただし、160万円以上の場合であっても、本人を含めた同一世帯の第1号被保険者全員の公的年金等の収入金額と合計所得金額の合計額が346万円(本人のみの場合280万円)未満である場合1割負担のままとする。

(2)は一定所得以上の人のうち「現役並み所得者(サービスを受けた月の属する年の前年の課税所得が145万円以上である本人を含む第1号被保険者が同一世帯内にいる者)」は負担限度額の上限を現行の3万7,200円から4万4,400円に引き上げる。ただし、第1号被保険者全員の前年の収入合計額が520万円未満の場合、負担限度額は3万7,200円。
注 一定以上所得者とは。その所得者の合計所得が160万円以上で、同一世帯の第1号被保険者(65歳以上の人)の「年金収入+そのほかの合計所得(給与収入や事業収入などから控除や経費を引いた額)」を合算した場合に、単身世帯で280万円以上、2人以上で346万円以上の人をいう。

(3)は低所得の施設入所者の食費・居住費を補填するもの。今回の改正で預貯金や有価証券等の資産勘案が実施され、一定額保有者が支給対象から除外され、単身の場合は1,000万円以下、夫婦の場合は計2,000万円以下であることが支給要件に追加された。勘案対象は預貯金、有価証券、貴金属、投資信託、タンス預金(現金)、負債。
なお、それぞれ、定期的判定、随時の判定、過誤調整などの事務処理に関しても説明がされている。このほか、厚労省は7月3日、介護保険最新情報vol.489を公表し、改正制度の修正版リーフレットを掲載、周知している。

◆多様な介護に対応する継続就業を目指す報告書素案
厚労省 「親の就労と家庭の子育ての両立」が両輪
――厚生労働省

厚生労働省は7月10日、「今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」を開催し、取りまとめの基礎となる「報告書素案」を提示した(副題~ 子育てしながら働くことが普通にできる社会の実現に向けて ~)。

この研究会は、人口減少社会にあって男女ともに労働者が、仕事と家庭を両立し、安心して働き続けることができる環境を整備するため、両立支援をめぐる現状を把握しつつ、両立を容易にするための方策を検討することなどが目的。で始まった。介護や育児に関連する個別課題の検討や有識者からのヒアリングなど、2014年度以降から今回まで12回にわたって議論を重ねている。

報告書素案の内容は、「総論」と「各論」から構成されている。総論では、仕事と育児・介護の両立に関し、① 育児休業後に両立を続けられる見通しが立たない② 男性の育児参加が不十分③ 父母と子どもとの時間が十分にとれない…など「家族を介護する労働者の現状に対応できていない」、「多様な介護の状況に対応しつつ、継続就業できる制度の実現」などの課題が指摘されている。

各論では、1.育児休業後も継続就業しながら子育ての時間確保ができる働き方の実現を提言し、次の4点の可能性と実現性を掲げている。
(1)短時間勤務及び所定外労働免除について、(2)在宅勤務について―近年のIT化の進展等を踏まえ、一部の企業では在宅勤務(テレワーク)の導入が進められている、(3)子の看護休暇について―現行の育児・介護休業法では、子の看護休暇制度は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に対し、年に5日を限度として取得することができるが、子どもの人数にかかわらず日数が一定となっているため、子どもの多い労働者にとって不公平感がある、(4)継続就業しながら子育ての時間確保ができる措置の対象となる子の年齢についてなど。

素案をまとめると、「介護離職を防止し、仕事と介護の両立を可能とするための制度の整備」として、次の項目などが示されている(カッコ内は今後の対応の方向性とされた主な事項)。
●両立支援制度の整理および介護休業(介護休業の分割取得を認めるべき。休業期間は現行のまま通算93日間とすることが考えられる)。
●介護休暇(日数の延長や取得単位について検討を進めるべき)。
●所定労働時間の短縮措置など(単独義務として措置する案や、選択的措置義務の枠組みを維持したまま期間を延長し、措置義務を課す案を含めて検討する)。
●所定外労働の制限(期間の上限を定めずあるいは定めたうえで、事業主に義務化する案や、選択的措置義務のメニューに加える案を含めて検討する)。

総括すると、① 働き方の見直しによる仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現、② 「親の就労と子育ての両立」と、「家庭における子育て」を包括的に支援するため、保育サービス等の社会的基盤となる「包括的な次世代育成支援の枠組み」の構築の二つの取組を「車の両輪」として同時並行的に取り組んで行くことが必要不可欠とされている。

◆今後は高齢者の労働参加率向上が緊急課題
日本健康会議発足 2020年までの目標を発表
――厚生労働省

健康寿命の延伸・医療費適正化の実現を目指す団体「日本健康会議」が7月10日、正式に発足した。社会保障費が膨らみ続けるなかで、最大の懸案である医療費の抑制に向けて、経済団体・保険者・自治体・医療関係団体など民間組織の代表らが集合した。厚労省や経済産業省の協力のもとで、実行委員には、日本経済団体連合会や健康保険組合連合会、全国知事会、日本医師会などの代表者が揃い登壇した。
発足式では、日本商工会議所・三村明夫会頭は主催者を代表して、「さまざまな工夫で医療費の削減を実現している自治体などの事例を広く周知し、健康寿命の延伸と医療費の適正化を同時に実現するため、実効的な活動を展開していきたい」とあいさつした。

健康会議発足の趣旨について同会頭は「日本では、今後は高齢者の労働参加率の向上が喫緊課題、そのためには健康維持が欠かせない。それには企業は、従業員の健康管理を経営的な視点(「健康経営」)で考えなければいけない。目的は、医療費削減のみならず、生産性向上や従業員の能力発揮につながるものだ。従いコスト側面だけでなく経営戦略の一環として捉えてもらいたい」と発想の転換を強調した。

喫煙など3リスク対応で4兆円効果
この発足式で、「健康経営」の取り組みに向けてキーノートスピーチを行ったのは、東北大学大学院医学研究科の辻一郎教授。辻一郎教授は「健康経営」の重要性について、次のように説明した。

宮城県の「大崎国保コホート研究(1995年~2003年)」の結果として、喫煙、肥満、運動不足の3つのリスクがある集団の医療費は、いずれもない集団と比較して、医療費が1.43倍となるデータを示した上で、4兆円の医療費策下につながるとの試算を示した。
ただ、生活習慣を変えるためには、個人の努力による行動変容が難しいことに加え、1日当たりの歩数が多い都道府県は、兵庫県や東京都、神奈川県など公共交通の発達した地域であることから、辻氏は「健康行動を支える社会環境づくりが重要」と述べた。
企業にとっての健康づくりの取り組みの重要性も指摘。経産省が調査した「健康経営」に優れた企業の上位20%の株価は、TOPIXを上回っているのに加え、「健康経営銘柄」に選ばれた22社は、さらに株価が高いことを指摘し、保険者、事業主が一体化して加入者に健康づくりを働きかけるように求めた。
この結果から、「健康経営を行うと企業の業績向上や株価の向上が期待できる。今後はインセンティブの導入を検討しており、ポピュレーション戦略(地域に根ざした生活習慣病等の予防策)を加速させたい」と述べた。

来賓あいさつで出席した塩崎厚生労働大臣は、「予防・健康作りは、国民運動で意識を一にして取り組むことが重要だ。各界のリーダーが手を携えたことは画期的であり、厚生労働省としても強力に支援したい」と述べた。この会議では、糖尿病の重症化予防など先進的な取り組みを行う市町村を、2020年までに今の10倍以上の800以上に増やすことを目指すなどとする8つの宣言をまとめ、今後作業部会を設置し、具体的な推進策を検討することになった」と意気込みを見せた。

「健康なまち・職場づくり宣言2020」の活動方針
具体的な活動指針は「健康なまち・職場づくり宣言2020」として達成にむけた数値目標を含む次の8項目を発表した。

宣言1:予防・健康づくりについて、一般住民を対象としたインセンティブを推進する自治体を800市町村以上とする。
宣言2:かかりつけ医等と連携して生活習慣病の重症化予防に取り組む自治体を800市町村、広域連合を24団体以上とする。その際、糖尿病対策推進協議会等の活用を図る。
宣言3:予防・健康づくりに向けて47都道府県の保険者協議会すべてが、地域と職域が連携した予防に関する活動を実施する。
宣言4:健保組合等保険者と連携して健康経営に取り組む企業を500社以上とする。
宣言5:協会けんぽ等保険者のサポートを得て健康宣言等に取り組む企業を1万社以上とする。
宣言6:加入者自身の健康・医療情報を本人に分かりやすく提供する保険者を原則100%とする。その際、情報通信技術(ICT)等の活用を図る。
宣言7:予防・健康づくりの企画・実施を提供する事業者の質・量の向上のため、認証・評価の仕組みの構築も視野に、保険者からの推薦等一定の基準を満たすヘルスケア事業者を100社以上とする。
宣言8:品質確保・安定供給を国に求めつつ、すべての保険者が後発医薬品の利用勧奨など、使用割合を高める取り組みを行う。

これら8つの宣言をKPI(主要業績目標)とし、目標を達成するために次のワーキンググループ(WG)を設置し、厚労省・経産省とも協力して具体的な推進方法を検討していくとしている。
1.ヘルスケアポイント等情報提供WG
2.重症化予防(国保・後期広域)WG
3.健康経営500社WG
4.中小1万社健康宣言WG
5.保険者データ管理・セキュリティWG
6.保険者向け委託事業者導入ガイドラインWG
7.保険者からのヘルスケア事業者情報の収集・分析WG
8.保険者における後発医薬品推進WG
9.ソーシャルキャピタル・生涯就労支援システムWG

◆2015年度実施の政策案を有識者が評価 厚労省
総合評価は「A(目標達成)」と判定 医療・衛生WG
――厚生労働省

厚生労働省は7月13日、政策評価に関する有識者会議の「医療・衛生WG(ワーキング・グループ)」を開催し、2015年度に実施する政策評価案を議題とした。
政策評価に関する有識者会議ワーキンググループの編成について は次のような仕組みで進めている。

1 趣旨
「政策評価に関する有識者会議開催要項」の規定に基づき、政策評価に関する有識者会議の参集者の協力を得て、個別の評価書の評価手法等の妥当性の検証を行うために、「労働・子育てワーキンググループ」(以下「労働・子育てWG」という)、「医療・衛生ワーキンググループ」(以下「医療・衛生WG」という)、「福祉・年金ワーキンググループ」(「福祉・年金WG」という)を編成する。

2 各WGの担当分野
労働・子育てWGは主に労働・子育て分野を、医療・衛生WGは主に医療・衛生分野を、福祉・年金WGは主に福祉・年金分野を担当する。

3 検討事項
各WGにおいては、次に掲げる事項を中心に議論する。
①評価項目、指標の設定等、評価設計の妥当性について
②データの解釈、外部要因の解釈等、解釈の妥当性について
③外部からの検証可能性について
④その他評価の妥当性について

この日、医療分野では、(1)健康な献血者の確保を図り、血液製剤の国内自給、使用適正化を推進し、安全性の向上を図ること、(2)革新的な医療技術の実用化を促進するとともに、医薬品産業等の振興を図ること、(3)医療情報化の体制整備の普及を推進すること――の3施策の評価案が示された。

(1)は、健康な献血者の確保を図り、血液製剤の国内自給、使用適正化を推進し、安全性の向上を図るもの。血液製剤によるHIV感染者やエイズ患者等に対して、調査研究事業や健康管理支援事業を実施している。
評価書案では、医療機関の血液製剤等の需要にもとづき、血液製剤の作成に必要な血液量(原料血漿は血液から抽出される)を確保する必要があるが、有効期間の短い血液製剤もあるため、廃棄しないよう確保する必要がある。2014年度の血液量の指標は195万リットルで、目標の205万リットルに届いていないが、原料血漿の確保の指標は92.4万リットルで、目標の92.0万リットルを達成しており、需要に応じた供給ができているため、「A(目標達成)」と評価している。

(2)は、新医薬品・医療機器の研究開発を促進し、治験環境の整備を図り医薬品・医療機器産業の動向を的確に把握するもの。
評価書案では、2014年度の治験届出件数のうち、主要な指標である「医師主導治験の数(目標20件)」が22件と達成しており、その他の指標の「国際共同治験の割合(目標28.1%)」が29.6%、「新たに大臣告示された先進医療Bの件数(同10件)」が17件などで概ね目標を達成していることから、施策の目標に向けて現行の取り組みが有効・適切に実施されていると考えられるとして、総合評価は「A(目標達成)」と判定している。

実績評価書(今回の評価案の例を原文で紹介)
(1)感染症の発生・まん延の防止を図ること(施策目標Ⅰ-5-1)
【施策の背景】 国内の衛生水準や医療水準の向上により、かつてに比べ多くの感染症が克服されてきた一方、肝炎や結核などの感染症には今なお多くの人が感染していることや、新型インフルエンザなど新たな感染症が発生する可能性があることを踏まえ、引き続き感染症の発生・まん延を防止する取組みを進めていく必要があります。

【施策の枠組み】○ 感染症対策については、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)、検疫法(昭和26年法律第201号)等に基づき、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を講じることにより、感染症の発生を予防し、及びそのまん延の防止を図っています。○ 予防接種施策については、予防接種法(昭和23年法律第68号)に基づき、伝染のおそれなどがある疾病の発生及びまん延を予防するために、市町村が予防接種を行うとともに、予防接種における健康被害の迅速な救済を図っています。○ 肝炎対策については、肝炎対策基本法(平成21年法律第97号)に基づき、対策の基本理念を定め、国、地方公共団体、医療保険者、国民及び医師等の責務を明らかにし、並びに肝炎対策の推進に関する指針の策定について定めるとともに、肝炎対策の基本となる事項を定めることにより、肝炎対策を総合的に推進することとします。(以下、略)

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